フランス映画

Stella
2025/05/10 15:29

ベルト・モリゾの映画とフォーレの歌曲「ゆりかご」

はじめに

 「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密」を鑑賞していて、画家をあきらめて結婚したベルトの姉のエドマが伴奏なしで歌うフォーレの「ゆりかご(Les Berceax)」に興味をもったので、フランス歌曲が使用されている映画としてご紹介する。今回は1曲だけだが、昨年、♪シネマ・フランセでも取り上げたフォーレのこの曲が全面演奏される短編映画「ゆりかご」(1931)もご紹介する。フォーレの曲としては比較的有名な歌曲で3つのメロディ Op.23 (1879)の第1曲で、歌詞はシュリュ=プリュドムが付けている。

 ベルト・モリゾ!

 ベルト・モリゾ(1841年1月- 1895年3月)は、エドゥアール・マネの絵画のモデルとしても知られる、19世紀印象派の画家。夫はエドゥアールの弟ウジェーヌ・マネ。

「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密(Berthe Morizot) 」概要(2012)

  「ゆりかご」などの作品で知られる女流画家ベルト・モリゾ。彼女はエドゥアール・マネの「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」のモデルとしても有名で、ルノワール、モネ他とも交流があり、19世紀印象派の中心人物であった。自分らしさを探りながらも愛の中で生きるモリゾの姿を綴る。        1865年、パリの16区に暮らしているベルト・モリゾは、サロンに出品する作品を手がけていた。姉のエドマとともにルーヴル美術館で摸写をしているとき、画家のマネに出会う。モリゾの美しさと才能を見込んだマネからモデルをしてほしいと頼まれ彼のアトリエに通う。お互いの存在が刺激となり、複雑な関係に発展する二人。そして普仏戦争となった世の中に翻弄されながらも、モリゾは絵画への情熱を止めることなく進む。

 また偶然なのか、ベルトの代表作の「ゆりかご」は、姉のエドマがモデルになっている。

映画作品の感想

 姉が歌う「ゆりかご」は、物憂げで、切々と歌われる。お腹には子供を授かったが、戦争が勃発する直前でもあり緊張感があるのは当然。画家をあきらめ、幸せをもとめていたが、妹が自由に絵を描く様子を見て、一緒に絵を描いていたい気持ちもあるのだろう。一方、ベルトの方は、数少ない女流画家として活躍していたものの、一人でやりきる不安も強い時期であったのだろう。 

ベルト・モリゾーがキャストで!

 また、エミール・ゾラと親友のセザンヌとの交友関係を描いた「セザンヌと過ごした時間」(2016)に、画家のセザンヌの友達の一人としてベルト・モリゾーは、元気いっぱいの様子で少し登場するがキャスト一覧にはなかった。いろいろ調べ、キャロル・ラブーズ(Carol Labouze)という情報が見つかり嬉しくなった。たぶん、この赤い帽子の人だった。

(C)2016- G FILMS - PATHE - ORANGE STUDIO - FRANCE 2 CINEMA - UMEDIA - ALTER FILMS

◆参考

・「ゆりかご」ジャン・エプスタイン監督作品(1931):バリトン歌手André Gaudinの6分の歌で演奏されたビデオ・クリップ。

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