
身の毛もよだつホラー映画なサントラ PART1
皆さんこんにちは!
椿です
あけましておめでとうございます~
から、もう、ひと月・・
月日が過ぎるのは早いですねぇ~っ
今月の話題、結局間に合わなんだ・・。
さぁ!そんなわけで(どんな訳で?)
今日は、音楽のこわ~い、または、そのこわ~い音楽で映画を思い出してしまう、そんな映画と曲をご紹介しちゃいましょう!まぁ、椿の趣味で、古い映画が多くなってしまうのはご愛敬っ
【ホラーを盛り上げる音楽の大切さ】
まぁ、これはホラー映画に限らずではありますが、映画と音楽は切っても切り離せない関係にあります。しかし、やはりホラー映画のように人に恐怖の感情をえぐるような作品には、どうしてもその感情に直接訴えかけてくるような音楽は必須です。
その音楽とは、ぐわん!と大きな音で脅かすようなものもあれば、軽妙洒脱な音楽であったり、静かながら不穏さを感じさせる曲など様々。
映画を観に来た人の印象に残る音楽、音楽を聴いて映画を思い出して身震いする(興奮する)くらいな感じになれば大成功でしょう・・。
そんな映画の数々をご紹介します
Ⅰ 不快なストリングスが印象的・・
ストリングス、とはクラシカルな弦楽器によるアンサンブルのことで、ここでは、大規模なオーケストラではなく、小規模の弦楽器の合奏による、キッ!キッ!と硬質で高くキツめの音により、観る者の恐怖心を煽るような音楽のついたホラー映画作品を紹介します。
『サイコ(1960)』


◆監督:アルフレッド・ヒッチコック
◆音楽:バーナード・ハーマン
◆出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、マーティン・バルザム
【あらすじ】
不動産会社のOLマリオンは客の金を横領し不倫相手と逃亡を図ろうとしていた。ところが途中泊まったベイツモーテルで入浴中に何者かに殺害されてしまう。店主のノーマンは同居する、精神が不安定な母親の仕業と思い、証拠隠滅を図る。しかし、横領された客がやとった私立探偵や、マリオンの妹が、マリオンを探しにベイツモーテルへやってくる。そこでまた血の惨劇が・・・
もう言わずと知れた、サイコスリラー映画の古典にして金字塔。前半、横領して逃亡するマリオンと、見ている観客も同化してヒリヒリする精神的ストレスを感じさせるほどの巧みな演出と、一転、マリオン殺害後はモーテルに住む美形だがなんとなく怪しい青年ノーマンとその謎の母親を軸としたサイコスリラーとなり、あっと驚く為五郎~♪的なクライマックスは、現代のホラー、スリラー映画にまで強い影響を残しています。
実は殺害された犠牲者の数は少ないのに、殺害シーンが強烈に感じるのは、もう『サイコ』といえば、このシーン!といえるほどの「入浴中の殺害」シーンが素晴らしのです。シャワーを浴びているマリオンの後ろ、カーテン越しに見える何者かが勢いよくカーテンを開けたかと思うと、彼女の白い肌に包丁の鋭い刃を突きつける。何度も何度も・・。
犯人はシルエットになっていて顔が見えないが老婆のようだというのは分かる。突きつける刃と同じくらいの回数で激しくカットが割られ、手も足も出ずされるがままに刺され、やがて息絶える・・。
直接刃物が、彼女の肌に刺さったりするようなショットはないのですが、その残虐性や痛覚は刺激され観ている者に大いなる恐怖を感じさせます。
しかし、これはヒッチコックの演出力だけでなし得たシーンではありません。明らかにバーナード・ハーマンが作曲した、弦楽器を、何かの叫び声のようなキッキッキッ!というひっかくような不快な音楽があったからにほかなりません。きっと『サイコ』をご覧になられた方ならあのシーンと音楽は切り離せないものと思っていただけると思います。
作曲のバーナード・ハーマンは第二次大戦中から活躍していた作曲家で『市民ケーン』『地球が制止する日』『ジェーン・エア』『キリマンジャロの雪』『地底探検』といった、映画史に残る様々な作品に曲を提供しています。中でも特筆すべきはアルフレド・ヒッチコックとの仕事です。『北北西に進路をとれ』『めまい』『知りすぎていた男』『ハリーの災難』などなど、ヒッチコックが脂ののっていたころに制作した作品のほとんどを彼が作曲しています。ヒッチコックとは『引き裂かれたカーテン(1966)』での意見の食い違いで関係を解消してしまいます。しかし、その後も精力的に作曲にいそしみ、第二のヒッチコックとの異名もあったブライアン・デ・パルマ監督の『悪魔のシスター』『愛のメモリー』で曲を付けました。名作『タクシードライバー』が遺作となりましたが、この『愛のメモリー』と『タクシードライバー』が1977年のアカデミー作曲賞に同時ノミネートされました。
ハーマンの作品は、流麗なメロディも印象に残りますが、ことスリラー映画に関しては、硬質なストリングスを強調して、精神をかきむしるような高音でぐさりと来るような音楽が強烈で、『悪魔のシスター』や『悪魔の赤ちゃん』などでもその怖さを発揮しています。
▲『サイコ』より「Prelide」不穏なオープニングの曲
▲『サイコ』より「The Murder」例のシャワーシーンの曲
『13日の金曜日(1980)』


◆監督:ショーン・S・カニンガム
◆音楽:ハリー・マンフレディ―ニ
◆出演:ベッツィ・パーマー、エイドリアン・キング、ケヴィン・ベーコンほか
【あらすじ】
クリスタル湖畔のキャンプ場ではかつて、指導員の不手際により一人の少年が溺れ、消息不明となっていた。その後、キャンプ場では怪事件が立て続けに発生し、男女の指導員が惨殺されたことから長らく閉鎖されていた。しかし、数十年後、キャンプ場が再開され指導員候補の若者たちがキャンプ場に集う。かつてこのキャンプ場で起こったことを都市伝説の類としか思っていない若者たちだったが、一人また一人、また現れた殺人鬼によって惨殺されてゆく。果たして犯人は何者なのか?そして、残された若者たちは生きてキャンプ場から逃げることができるのだろうか・・・。
皆さん、よーくご存知!ホラー映画が嫌いな人でも知っている『13日の金曜日』、そして、本映画で登場する、ホラー映画のイコン、ジェイソン・ボーヒーズ。
ホッケーマスクをかぶり、大きなマチェーテを振りかざし、巨体を揺らしながら無言で追いかけてくる。この執拗さと、何をされようがよみがえる、人間を超えるような存在にまでなってしまった殺人鬼。リメイクも含めて全12作作られた大人気ホラーシリーズのまさに原点が本作。
実は、ジェイソン・ボーヒーズ、スラッシャー映画の名作『スクリーム』の中で、殺人鬼が女性にホラー映画のクイズを出すのですが、「13日の金曜日第一作めの殺人鬼の名前は?」と尋ねられ、女性が「ジェイソン」と答えてしまい、不正解のため殺されてしまうのですが、そうなんです。本第一作目にはジェイソンは殺人鬼としては登場してこないのです。
そのため、スプラッタホラーというよりは、ミステリーホラーの要素の方が強いのです。しかし、その殺され方があまりにひどく、かつ70年代後半から、特殊メイクアップアーチストたちの技術が目まぐるしく向上したため、リアルな残酷表現が可能となり、それをこれでもか!と見せつけた演出が話題となり、以降、様々な残酷な殺人鬼がスクリーンを賑わせることになります。
そんな残虐な作品を音楽面から、強烈にサポートしたのは、ハリー・マンフレディ―ニ。シリーズ12作中、彼の手にかかったのは9作。こんなに多くシリーズにかかわっている人は出演者、スタッフ双方彼以外にはいません。まさに13金と共に歩んできた作曲家といっても過言ではありません。後の作品になってくると、ロック調や電子楽器等を多用してきますが、シリーズの前半は、このストリングスによる不快なクラシック調の曲が多く、意外や意外、格調の高ささえ感じてしまうほどです。海外の映画サントラを演奏するオーケストラではたびたび演奏されるほど人気も高い曲です。特に本作は音楽、音響共に、いかに観客を不安な気持ちに陥れるかを徹底的に研究、工夫して作られています。ストリング同様、現代クラシック作曲家の音楽を参考に、音圧の強い人間の声(コーラスというか囁き?)で「キッ!キッ!マッ!マッ!」という音が入っています。この「キッ!キッ!マッ!マッ!」は、映画の中の某キャラの某セリフから引用されたものなのです。そのセリフをここに挙げてしまうと、完全なネタバレになってしまうので、しないようにしておきますね。
この後マンフレディ―ニは、数多くのホラー映画の音楽(『ガバリン』『ザ・デプス』『ウィッシュマスター』等)を作曲することとなり、本作の音楽はまさに彼の出世作となりました。
▲『13日の金曜日』メインテーマ
▲クライマックスの音楽
『死霊のはらわた(1981)』


◆監督:サム・ライミ
◆音楽:ジョゼフ・ロドゥカ
◆出演:ブルース・キャンベル、エレン・サンドワイズ、ベッツィ・ベイカーほか
【あらすじ】
アッシュら5人の若者は、とある田舎の山小屋を借りて休日を過ごす。しかし、その山小屋の地下室で不気味な本とテープレコーダーを発見し、そのテープをかけてしまう。すると彼らの周囲で不可思議な出来事が起きたかと思うと、突然アッシュの妹が白目を剥いて発狂する。皮膚がボロボロになり、奇声を発しながら仲間を襲い始める。そしてまた、襲われた者も同じように発狂し襲い掛かってくる。彼らは眠っていた死霊を目覚めさせてしまったのだ。ただ一人残ったアッシュは死霊に憑りつかれた仲間と壮絶な死闘を繰り広げることとなる・・
はいっ!こちらも皆様、よくご存じですよね?えっ?知らない??
今やハリウッドの巨匠となってしまった『スパイダーマン』シリーズのサム・ライミ監督のまさにデビュー作にして出世作。本作の基になったインディーズ作品で認められこの映画を監督。一気にカルト的人気に火が付き、ホラー映画の歴史を変えるような作品として位置づけられることとなります。
肌がボロボロに腐り、気色悪い体液を吐き出し、白目を剥き卑猥な言葉を叫び、噛みつきとびかかり、鉛筆をぶっさす・・。殺すには四肢をバラバラに切断するしかない・・。悪魔(死霊)憑きとゾンビを組み合わせ、スクリーンいっぱいに血肉をばらまき、死霊に憑りつかれてからの、これでもかと次々と衝撃的なシーンで押しまくる力業には、低予算の稚拙さやチープさすら味になってしまう強烈なものでした。
私、本作を中学生の時に観ましたが、その映像のショッキングさといったらまさに驚きでした。日本に「スプラッター(血まみれ)」という言葉を持ち込んだのも本作で、以降、ホラー映画を知らない人でも「スプラッター」という言葉は知っているくらい認知度を広げたのです。
本作の音楽を担当したのはジョゼフ・ロドゥカ。ロドゥカも、『13金』のマンフレディ―ニ同様、低予算の中、実験的な作風で小規模の弦楽器のアンサンブルを中心とした音楽で、異様で不気味な世界観を音楽として描き出します。ここでも弦のストリングスの鋭い響きが効果的に使われ、現代音楽の要素も取り入れられて、次から次へと死霊に変貌してゆく仲間たちに襲われる緊張感を、時に強烈に鋭く、時に静寂にと、緩急をつけて表現しています。楽団の演奏はかなり貧弱な音ですが、それがかえって雰囲気をあぶりだしています。ロドゥカもこの後、シリーズ2作を担当したほか、ライミの諸作を中心として、主にテレビドラマで活躍、様々な賞にノミネートされています。(本作のシリーズは回を重ねるごとに予算も増え、音楽もゴージャスになりました(笑))
▲静かで不気味なメインテーマ
▲聞くだけで不穏さが伝わってくる・・弦楽器のピッチカート
Ⅱ ゴージャスなオーケストレーションで攻める
通常、ホラー映画の類は低予算のことが多いため、音楽もⅠでご紹介したように、弦楽合奏を中心とした小規模楽団やサントラ専用に集められた演奏家による演奏、シンセサイザーなどの電子音楽で構成されているのがほとんどです。
しかし、作品によっては、フルオーケストラやオーケストラで演奏されるのがふさわしいような音楽が付されているものもあります。そんな映画をご紹介します。
『ジョーズ(1975)


◆監督:スティーブン・スピルバーグ
◆音楽:ジョン・ウィリアムズ
◆出演:ロイ・シャイダー、リチャード・ドレイファス、ロバート・ショーほか
【あらすじ】
夏の海水浴シーズンを迎え賑わいをみせる海の街アミティ。ここで体がバラバラになった死体が発見される。サメの仕業と判断した警察署長ブロディは海岸閉鎖を呼びかけるが、市長や議会の反対にあい封鎖できない。そうする間に第二第三の犠牲者が出たことから、サメを退治するため、署長、サメ漁師クイント、海洋学者フーパーの3人が海洋へ向かう。しかし、3人はそこで想像を絶する巨大なサメち対峙することになる。
もう、皆さん本当によくご存じの名作中の名作。ホラー映画の枠を超えて、映画の中の映画として、映画史にその名を刻んでいます。前半はモンスターパニック映画、後半は胸アツなアクションと男三人のバチバチした人間ドラマとして、とにかく一分の隙もない完ぺきな映画です。
スピルバーグの天才さもさることながら、ジョン・ウィリアムズの音楽のすばらしさは筆舌に尽くしがたいものです。サメの姿を一切見せることをせず、サメの視点からのカメラアングルと低弦の響きがゆっくりと、そして犠牲者に近づいてくるほどに音量とテンポが増して、サメが迫ってくる様を表現。「JAWS」は「顎(あご)」のことですが、この映画のせいで、ジョーズ=人食いサメ、そして、人食いサメ=あの音楽、というのが連想できるほど、世の中に浸透しました。
スピルバーグにとってもウィリアムズにとっても出世作となり、彼らの名前を映画史に刻み込んだ作品であるとともに、以降、スピルバーグとウィリアムズの関係は盤石のものとなり、スピルバーグの監督した作品のほとんどをウィリアムズが受け持ち、映画と共に観客の耳目に焼き付けられ、数々の栄誉ある賞を二人とその作品にもたらしました。
なお、ゴージャスなオーケストレーションの分類に入れましたが、この映画時点ではフィルムオーケストラによる演奏なので音はゴージャスではありません・・。しかし後々、ウィリアムズがコンサート用に編曲するなどして、ゴージャスなオーケストレーションでコンサート等で演奏される機会が増えています。
▲有名すぎるメインテーマ
▲サメが一番最初に襲い掛かってくる場面。やはりここが一番怖いぃぃぃぃ~
『エイリアン(1979)』


◆監督:リドリー・スコット
◆音楽:ジェリー・ゴールドスミス
◆出演:シガニー・ウィーバー、トム・スケリット、ヤフェット・コットーほか
【あらすじ】
宇宙貨物船ノストロモ号は航行中、何らかの知的生命体による信号を受信。調査に向かう。発信源の惑星にたどり着き、船外調査に出たケインは、そこに無数にある不気味な卵から飛び出してきた巨大なエビのような生物に襲われる。その生物は彼の顔に張り付く。しばらくするとその生物は死に自然に顔からはがれるが、その数時間後、ケインの腹を突き破り不気味な生物が飛び出し逃げる。船員たちの必死の捜索も虚しく、ものすごいスピードで成長してゆく化物は殺人マシンと化し、一人また一人、船員たちを殺害してゆく・・。いよいよ一人生き残ったリプリーはこの化物と対峙する。
SFホラー映画の超人気作であり、いまだにシリーズが作り続けられている『エイリアン』シリーズの原点。リドリー・スコットの名を一気に高め、当時無名で、初主演としてリプリー役を務め、以降、シリーズ第4作まで同じ役で出演することとなるシガニー・ウィーバーを一躍トップ女優に押し上げた作品でもあります。
現在まで様々な、エイリアンを生み出してきたシリーズ。無敵状態の恐るべき化物の脅威を描いているという点はシリーズ共通ですが、それぞれの作り手の主義主張を大きく呑み込んで作られたそれは、強い作家性を訴える作品として変貌してゆき、本来の本作の持つ「怖さ」がすっかり鳴りを潜めてしまいました。この原点作品は、公開当時のキャッチコピー「宇宙では、あなたの悲鳴は誰も聞こえない」が示している通り、広大で無音の宇宙空間の片隅で恐ろしい目に合い悲鳴をあげたところで、すべてその空間に飲み込まれてしまう・・。そんな恐怖を感じますし、その中で誰も助けを期待することすらできず、倒すことのできない最恐の殺人生物に襲われる恐怖を、完ぺきに映像化。リドスコの演出力はもちろんのこと、H・R・ギーガーの無機質かつ性的シンボルを強調するかのようなエイリアンのデザイン、さらには当時一級の特殊効果陣に、ホラー映画のアイデアを生み出させたら右に出る者はいないダン・オバノンとドナルド・シャセットの脚本と、怖いホラー映画を作るうえで最高のスタッフが揃えられたのですから、いかに本作がすごいかわかっていただけると思います。
それは音楽にも言えて、ジョン・ウィリアムズと双璧をなす映画音楽作曲家ジェリー・ゴールドスミスが担当。静寂に包まれた宇宙空間の恐怖を、淡々としたトランペットから始まる音楽で一発で表現してしまいました。(なんとこのテーマ曲はリドスコの注文を受けて10分で作ったとか・・)その後も無調(メロディラインのない)な現代音楽の手法で何がどうなっているのかわからず、不安にさいなまれる船員たちの心を表出したり、迫りくるエイリアンの脅威をバーバリズムに表現したり、まさにゴールドスミス節が冴えわたる音楽がつけられています。本作の演奏は、録音専門のオーケストラ、ナショナルフィルが担当。オペラやバレエなどの録音で活躍のオーケストラは世界的大指揮者と共演し録音を残すばかりでなく、映画音楽でも活躍。ゴールドスミスの作品の多くにも関わっています。
(ちなみに、『エイリアン』エンドタイトルの曲をリドスコは勝手にクラシック曲に差し替えたためゴールドスミスの怒りを買い、『レジェンド/光と闇の伝説』でまた共同作業をするものの、また勝手に差し替えたため、三行半を叩きつけられてしまいます。→お詫び文を新聞広告として掲載したとか(笑)何やってんだか・・)
▲エイリアンメインタイトル。トランペットソロが印象的
▲船員二人が殺されてしまうところ。殺されるシーンもエイリアンも直接見せず、ただただ、どえらいことが起こってしまっているところを音楽で表現!
『スペースバンパイア(1985)』


◆監督:トビー・フーパー
◆音楽:ヘンリー・マンシーニ(マイケル・ケイメン)
◆出演:スティーブ・レイズルバック、ピーター・ファース、マチルダ・メイほか
【あらすじ】
宇宙空間に漂う宇宙船から、2体の男性、1体の女性(いずれも裸体で眠っている)の入ったカプセルを発見したスペースシャトル「チャーチル」からの連絡が途絶える。救援に向かったシャトルが「チャーチル」を発見するが、艦内はほぼ全焼し、船はもぬけの殻。しかし、3体の入ったカプセルは無傷のまま残っており、地球へと持ち運ばれる。その後地球で蘇った3体は人間の精気を吸い取り超能力で施設を破壊し脱走。精気を吸い取られた人間はミイラのようになりながら、別の人間の精気を求め人を襲う。そして精気を吸うと数時間元の人間に戻るが、時間がたつと再び精気を追い求め人間を襲う吸精鬼となってしまうのだ。一方、チャーチルの船員で、船に放火し脱出したカールセンが地球へと戻ってくる。彼は一度肉体関係を持ってしまった女吸精鬼とテレパシーの交信ができるようになり、特殊部隊員と共に吸精鬼の居所を探す。そうこうしている間に、ロンドンは吸精鬼と化した人々であふれかえってしまう。果たして、恐ろしいスペースバンパイアを抹殺することができるのだろうか・・。
1980年代の好景気時代が生み出した非常にバブリーなSFホラー映画超大作。『スターウォーズ』や『エイリアン』の大ヒットにあやかって、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった制作会社キャノンフィルムズの制作で、SFXの著名スタッフの手による特撮、『悪魔のいけにえ』『ポルターガイスト』のホラー映画の名手トビー・フーパーを監督に迎え、『エイリアン』のダン・オバノンが脚本を書くなど、鳴り物入りで当時のホラーファンの心を鷲掴みした作品。ところが、興行収入は惨敗。壮大なおっぱいを惜しげもなく披露した、女吸血鬼役のマチルダ・メイの裸体と、ヘンリー・マンシーニのテーマ曲だけが人々の記憶に残る結果となりました。しかし、今でもその作品のクオリティの高さから、カルト的な人気を誇っている作品です。当時中学生だった椿にとってもやはりマチルダ・メイの神々しい裸体とマンシーニの音楽に熱くなりましたが、精気を求めて動くミイラやゾンビのようにさ迷い歩く吸精鬼の群れなど、かなりゾッと興奮したのを覚えています。
音楽のヘンリー・マンシーニは映画音楽の巨匠で、ムード音楽の大家としても知られている存在。オードリー・ヘップバーンの『ティファニーで朝食を』『シャレード』『暗くなるまで待って』、『酒とバラの日々』『ピンクパンサーシリーズ』『ひまわり』TV『刑事コロンボ』など、数々の名作、名曲を作曲。特にムーディな旋律は聞き手の心をしっかりとつかみ、映画音楽としての認知より、ムード音楽、ポピュラーな音楽の作曲家として知られているのではないでしょうか。特に『ティファニーで朝食を』の挿入歌「ムーンリヴァー」はクラシカルな名歌として世界中で歌われています。
そんな彼がキャリアの初期のころに『大アマゾンの半魚人』等の曲を書いてはいましたが、名声をほしいままにしていた時代に、彼のイメージにはそぐわない、金がかかったB級ホラー映画である本作にスコアを提供したのがものすごく意外でした。そして彼の音楽が、重厚なオーケストレーションの、『スターウォーズ』にも負けないような壮大なものだったので、スクリーンでこの曲が流れたときには、全身に電流が流れたかのような衝撃を受けました。オーケストラは『スターウォーズ』『スーパーマン』『レイダース 失われた聖櫃』など、特にジョン・ウィリアムズの超大作を受け持ち重厚で格調高い演奏を披露した、れっきとしたプロオーケストラ ロンドン交響楽団。
いかにこの映画に力が入っていたかがうかがわれます。
せっかく一流の人が作って、図らずもB級映画になってしまった本作。面白いので是非見てほしいです(笑)
▲メインテーマ
『八つ墓村(1977)』


◆監督:野村芳太郎
◆音楽:芥川也寸志
◆出演:萩原健一、小川真由美、山崎努、渥美清ほか
【あらすじ】
空港職員の寺田辰弥は自身が「八つ墓村」と呼ばれる片田舎に居を構える富豪 多治見家の後継であることを告げられ一度故郷を訪れる。すると、腹違いの兄久弥は余命いくばくもなく病床に臥せっていた。莫大な財産を引き継ぐことを告げられた辰也は戸惑うが、間もなく久弥が息絶えると、そこから周りの人間が次々奇怪な死を遂げる。村人たちは、辰也が戻ってきたタイミングで事件が勃発したことから「八つ墓の呪い」が辰也のせいで起きた、と彼を責める。親類筋の美也子から、戦国時代から伝わるこの村の恐ろしい「八つ墓の呪い」の言い伝えを聞く辰弥。しかし、その辰弥にも「八つ墓の呪い」の影が忍び寄ってくる・・
まさに「Jホラーの一大叙事詩」といっても過言ではない、まごうことなき大傑作。
本作については拙文
『15日までYoutubeにて無料公開中!! ジャパニーズホラーの金字塔『八つ墓村』
をご覧いただきますと嬉しいです(タイトルをクリックすると記事に飛びます)
映画自体は当時大ブームだった「オカルト映画」の系譜をたどっていて、かなりどぎついシーンもあり、見世物精神にあふれているのですが、それをもって余りある高貴な名作映画の態が保たれているのは、音楽の力にかなり拠っているところもあります。作曲は芥川也寸志。文豪 芥川龍之介を父に持つ彼は『ゴジラ』の作曲家 伊福部昭に師事。最も師の影響を受けた作曲家として、数々の純音楽で世界中で高い評価を受け、映画音楽でも『砂の器』『震える舌』『八甲田山』等、邦画の名作に携わり第1回日本アカデミー賞の最優秀作曲賞(『八つ墓村』『八甲田山』)を受賞しています。
映画冒頭、落ち武者達が追手から逃げてようやくたどり着いた村を遠景で臨む姿からの壮大なテーマ曲の素晴らしさ。そして、本作の白眉かつトラウマシーン「32人殺し」の大殺戮シーンにかかる音楽。♪ジャンジャジャーンジャジャジャ・・・は、多治見要蔵を演じた山崎努の狂気の芝居と共に、観る者にトラウマを受け付けるのに十二分なほどのシーンであり、音楽です。超一流の日本人クラシック音楽作曲家による作品を「音楽」としても楽しめるよう、演奏会用の「組曲」として現在、クラシック音楽のコンサートに乗ることも多くなっています。
▲壮大無比なテーマ曲
▲八つ墓村の祟りじゃぁ~、な、トラウマシーンにかかる曲
Ⅲ クラシック曲をアレンジしてこわっ!
まだ映画などの「映像」が存在しなかった19世紀の民衆の娯楽、といえばお芝居、そして音楽でした。当時から今現在に至るまで親しまれている娯楽、「クラシック音楽」は今は「芸術」として高尚なものとして括られています。確かに宗教的なものから宮廷等の貴族の嗜みとなったものが、ベートーヴェンの登場により徐々に民衆の娯楽となり歌付きのお芝居である「オペラ」が広く普及されたことにより、多くの民衆の愉しみとして「クラシック音楽」は育ってゆきました。ですので、「クラシック音楽」とは、芸術とか高尚とか大上段に構えるものではなく、民衆の期待や要望に応えた娯楽作品であることが大前提なのです。
そのため、音楽がドラマを彩ることも多く、オペラのように直接ドラマなものもあれば、セリフも歌詞もない、ひとつの「曲」がドラマをもっているものも多く、そういった曲は非常にドラマチックに作られています。そんなこともあり、「悪魔」「地獄」などといった世界観を表現したクラシック音楽も多数あったり、直接そういうものを表現していなくとも、イメージが威圧的、恐怖を醸し出すような曲もありで、実は「クラシック音楽」と「ホラー映画」は相性がよかったりするのです。
この項では、そんなクラシック音楽をアレンジしたホラー映画の音楽をご紹介します。
『シャイニング(1980)』


◆監督:スタンリー・キューブリック
◆音楽:ウェンディ・カルロスほか
◆出演:ジャック・ニコルソン、シャリー・デュバル、スキャットマン・クローザースほか
【あらすじ】
小説家志望のジャックは、冬は豪雪のため閉鎖されてしまうオーバールクホテルの管理人の職につき、妻と息子を伴い、ひとシーズンをそこで過ごすこととなる。そのホテルはかつて、同じように冬に管理を任された男が気がふれ、家族を惨殺し自身も自殺したといういわくつき物件だったがジャックは気にしない。しかし、親子三人の生活は、見えない何者かによって蝕まれてゆく。やがて、ジャックは完全に気がふれてしまい、斧をもって妻子に襲い掛かってくる
名ホラー小説家スティーブン・キングの原作を巨匠スタンリー・キューブリックによって映画化された、言わずと知れた傑作ホラーで、キューブリックや主演のジャック・ニコルソンにとっても代名詞となった作品です。ニコルソンが、斧で突き破ったドアの隙間から「Here's Johnny!」と言ってくるシーンが衝撃的で、ニコルソンといえばあの顔、あの顔といえばシャイニング、というイメージも定着しました。(ちなみにこのセリフはアメリカ映画名セリフ100にランクイン。日本の字幕では「オコンニチハ!だった笑撃!)
本作の音楽は、やはりキューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』で音楽を担当したシンセサイザーの名手、ウェンディ・カルロスが作曲しましたが、キューブリックよろしく、クラシック音楽作曲家の既成の曲がやはり多用されています。(ベラ・バルトーク、クシシュトフ・ペンデレツキなど)
で、カルロスが作曲したメインテーマでも、フランスの大作曲家ヘクトール・ベルリオーズによる『幻想交響曲』から第五楽章「サバトの夜の夢」の旋律が効果的に使われています。この『幻想交響曲』はかなりアブナイ音楽。作曲家自身の失恋の傷心を音楽化したもの。ある男が失恋のためアヘンを大量に摂取し自殺を図る。彼は幻想の中で愛する女性を殺害し、断頭台に送られ死刑となり、そのさまよう魂は霊となって魔女たちの宴(サバト)へ・・。そこで、殺したはずの女が見るもおぞましい姿で宴に現れ絶望する、というものを音楽化しているのです。そこでのサバトの音楽を映画に起用するという作曲家のセンスが素晴らしいです。美しい雪山の道を走る車を空撮しながら、この不穏な低音のメロディが流れる。いかにも何かがこれから起きようとしている不穏な雰囲気をしっかりかもしだしている名場面でしょう。
(※『幻想交響曲』ネタは面白いので、いつか拙文コーナー「椿の偏愛熱愛溺愛劇場」にてご紹介します。期待せずお待ちいただけますと幸いです💦)
▲『シャイニング』メインテーマ
▲『幻想交響曲』全曲。チョン・ミュンフン指揮 フランス放送フィル
問題のテーマ部分は動画47分20秒あたり。是非全曲聞いてみてください
『悪魔のワルツ(1971)』

◆監督:ポール・ウィンドコス
◆作曲:ジェリー・ゴールドスミス
◆出演:ジャクリーン・ビセット、アラン・アルダ、クルト・ユンゲルスほか
【あらすじ】
ピアニスト志望だったが今は音楽ジャーナリストとして生計を立てているマイルズは、世界的ピアニスト、ダンカンへ取材に訪れた。その際、彼の指を見たダンカンに「ラフマニノフの手だ」とピアノを再び始めることを強く勧められる。ダンカンは白血病で余命いくばくもなく、ラフマニノフの曲を思うように弾けていないことに後悔を抱いており、マイルズに惚れ込みピアノを伝授する。マイルズもダンカンに心酔する。その様子を不安に思うマイルズの妻ポーラ。ほどなくしてダンカンは病に倒れ死亡してしまう。しかし、その日からというものマイルズの様子がすっかり変わり妻も顧みずピアノにいそしむのだった。実はダンカンは悪魔崇拝者で、死を悟ったため悪魔と契約を結び、死後、マイルズに乗り移ったのだった。それを知ったポーラは、単身悪魔崇拝者の集団へ反撃を開始する
68年の『ローズマリーの赤ちゃん』を皮切りに70年代のホラー映画界のムーブメントとして発展した「オカルト映画」の中の1本。地味な作品でDVDも廃盤、TSUTAYA DISCUSでも見当たらず配信もないため、今現在、見るのが非常に難しい作品です。(配給は20世紀FOXなのでメジャー作品)
70年代オカルトホラーの定番「悪魔崇拝者」たちの陰謀と恐怖を描いた作品ですが、それ以上に、オールドファンにはあまりにも神々しい美しさのジャクリーン・ビセットが『ダイ・ハード』よろしく過酷な状況の中で悪魔崇拝者たちと対決する様に鬼気迫るものを感じ、アクションホラー的な要素も楽しめる、なかなかの佳作であり、是非、もっと身近に見ることのできる環境を整えていただきたいものです。
音楽は『エイリアン』の項でもご紹介したジェリー・ゴールドスミス。その生涯の中でかなりの数の映画音楽を作曲していますが、こと、60~70年代にかけての彼の作曲活動は群を抜いており、様々な傑作を生みだしています。この『悪魔のワルツ』も、聞いていると非常に怖い音楽です。このメインテーマはドイツの作曲家フランツ・リストによるピアノ曲で、のちに管弦楽に編曲もされた「メフィストワルツ」の第一番をモチーフに作られました。(ちなみに本作の原題も“THE MEPHISTO WALTZ”であり、リストの曲と同じです。)メフィストとは、ドイツの伝承「ファウスト」の中に出てくる、主人公ファウストを堕落の世界へ引きずり込もうt手練手管を使う悪魔。ファウストの物語を作品化したのはゲーテやハイネ、またオペラや映画(ヤン・シュヴァンクマイエル監督)等と数多く、芸術家の心をとらえて離しません。リストは詩人ニコラウス・レーナウの、ファウストを描いた詩編から発想を得ました。リスト自身、超絶技巧のピアノ曲を作曲し、その演奏姿は長身に金髪で華麗な指裁きで多くの女性の心を鷲掴みにし、「悪魔」の異名を持っていたので、実にこういう曲は得意だったのかもしれません(笑)
ちなみに『悪魔のワルツ』本編の音楽も現代音楽の手法が取り入れられ非常に怖いです。
▲『悪魔のワルツ』メインテーマ
▲リスト「メフィストワルツ」第一番(Pf:カティア・ブニアティシヴィリ)
『インフェルノ(1980)』


◆監督:ダリオ・アルジェント
◆音楽:キース・エマーソン
◆出演:リー・マクロスキー、アイリーン・ミラクル、ダリア・ニコロディほか
【あらすじ】
ニューヨークの古式ゆかしいアパートに住むローズは近所の骨董屋から買った本『三母神』を読みふけっている。この本は錬金術師ヴァレリが記したもので、「三人の母」と呼ばれる三人の魔女(嘆息の母、暗闇の母、涙の母)のためにヴァレリがそれぞれに住まいを作ったという話が書かれており、彼女の住んでいるアパートこそが、ここに記された「暗闇の母」の居住地ではないか、と疑い探索する。一方、そのことをローマで音楽を勉強している弟マークに手紙で知らせるものの行方不明に。姉を訪ねるためニューヨークにやってきたマークだったが、姉の消息を探るうち、恐ろしい事件に引きずりこまれていく
マスターオブホラーの異名をもつ、イタリア人監督、ダリオ・アルジェントがアメリカの資本を得て取り組んだ作品。彼の世界的出世作『サスペリア』からなる「魔女三部作」の中の1本。『サスペリア』がドイツの嘆息の母、3作目が『サスペリア・テルザ』で涙の母。そして本作が暗闇の母を描いた作品です。正直、正直申し上げて、何が何だか分からなくなる箇所がたくさんあり、しかも前作『サスペリア』ほどにスタイリッシュで強烈な殺人シーンがあるわけでもなく、とにかく訳も分からず殺人が行われて、その目的や意味合いがよくわからず映画としては、なかなかに破綻状態な作風となっています。(それはアルジェントが慣れないハリウッドシステムに翻弄されたから、という説が濃厚です)怖いかどうかすらわからない、しかし、その訳わからなさが異様な迫力と雰囲気を持ち合わせており、意外や意外、根強い人気を誇っている作品となっています。
音楽は、シンセサイザー界の雄、キース・エマーソン。とにかく、映画監督の中でも音楽センスにかけては随一の存在であるダリオ・アルジェントがエマーソンを初めて映画音楽に起用したのです。そして大成功をおさめ、イタリア、アメリカ、日本で映画音楽を担当し、『ナイトホークス』『幻魔大戦』『ゴジラFINAL WARS』等を担当しています。ロック、ジャズ、クラシックに精通している彼の音楽は非常に耽美で壮麗、そしてパンチの効いた強烈さもアピールされています。
本作では主人公が音大生ということもあり、イタリアオペラの大作曲家ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『ナブッコ(ナブコドノゾール)』の中の合唱曲「行け、わが想いよ。金色の翼に乗って」が非常に効果的に使われています。この合唱曲はイタリアでもっともポピュラーな曲の一つで、バビロニア王ナブッコに国を侵略されたヘブライ人達が、故郷を思って歌う歌。オペラが公開された当時、イタリアは他国に侵略されており、国家奪還を思っていたイタリア人達の気持ちを鼓舞させた曲として、今でも「第二の国家」とさえ言われている音楽なのです。これが、殺人が行われる中でガンガン鳴り響いたり、エマーソンがエレキを使ってメロディを華麗にアレンジしたりと、まさに映画の中にスタイリッシュに起用されています。
▲迫りくる魔の手から逃亡するシーンでつかわれる「行け、わが想いよ~」のメロディ
▲オペラ『ナブッコ」より~行け、わが想いよ。金色の翼に乗って
リッカルド・ムーティ指揮、ローマ歌劇場管弦楽団
『バトルロワイアル(2000)』


◆監督:深作欣二
◆音楽:天野正道
◆出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、ビートたけしほか
【あらすじ】
近未来。日本はもはや国家の態を成し得ないほどに衰退した。そのため大人たちが不良化する子供を恐れ「BR法」を制定。毎回、抽選で選ばれた中学三年の一クラスを無人島に追いやり殺し合いをさせるというもの。彼らは3日間、最後の一人になるまで殺し合いをせねばならず、逃げたりしようものなら首につけられたコンピュータ制御の爆弾が爆発するため逃げることができない。今回選ばれた香川県の中学生も、殺しあったり、仲良しで自殺をしたり、様々息絶えてゆき、いよいよ秋也と彼を慕う典子、そして数名を残すのみとなった。果たして誰が勝利するのだろうか・・
日本映画界の巨匠、深作欣二が常に追い求めていた「暴力性」を、あらんかぎりスクリーンにぶちまけた作品。これまで時代劇ややくざ映画で力量を発揮したが、中学生が殺しあうという物語が世間から問題としてみなされたものの、それがかえって話題となり大ヒットを記録。ブルーリボン賞など数々の賞を受賞したばかりか、国外でも高い評価をもって迎えられ、世界中ではやっている「デスゲーム」ものの走りとなった作品でもあります。当時の錚々たる若手役者陣の総出演と、脇をたった一人で固めたビートたけしの存在感の凄まじさが強力な作品で、日本映画の底力と、若手の役者たちの活躍により、新たなる道すじができたことでも、邦画の歴史にとって貴重な作品といえます。高見広春の原作は、「角川ホラー小説大賞」の対象候補に挙がっていたものの、審査員からの「不謹慎だ!」の総スカンに合い、結局受賞ならず。存在を知った人物が、本作の作者を探し当て、別会社で出版化した作品で大ヒット。原作から相当話題になっていたので、椿もペーパーバックの本を読みました。
音楽を担当したのは、アニメ作品やゲーム音楽で定評のある天野正道。少々ド派手に音楽を鳴らす作風は、やはりアニメ等を多く担当する人の印象が強いですが、非常にゴージャス。で、本映画のタイトルの際大合唱で響き渡るのが、先ほど『インフェルノ』の項でご紹介した、イタリアの大作曲家ジュゼッペ・ヴェルディによる『レクイエム』から「怒りの日(Dies irae)」が、非常に強烈なインパクトで響き渡ります。ものすごい印象を残す曲なので、よくテレビなどでもBGMで使われていますが、映画でここまで強烈な印象を残した使われ方をしたことは、おそらくなかったのではないでしょうか。♪ダン!ダン!ダン!ダン!!という何かの審判のようなアタックが響き渡ると本映画を思い出してしまうほどです。また、このレクイエムを含め、本作の演奏はワルシャワフィルハーモニーが担当しており、非常にゴージャスな響きがスクリーンを支配します。
▲バトルロワイアルのメインテーマ
▲ヴェルディ『レクイエム』より「怒りの日」
すみません、韓国語がわからないので演奏家等わかりませんが非常にすごい演奏だと思い載せました
はいっ、結局、今回の記事を作ってみて、一つに収めることができませんでした・・・。
読む人無視の独りよがり記事になっていたらすみません・・。
そんなことで、記事化したい内容のうち半分は治めることができましたので、とりあえず、今回をPART1とさせていただき、近日うちにPARTY2を書きたいと思います
(すみません、サントラに思い入れが強いもので・・・(;^_^A)

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投稿を表示ホラーとクラッシック音楽、けっこう密接な関係にあるのですね😳
ボリュームもさることながら、椿さんの表現力はスゴいです✨そしてパート2があるというのもスゴすぎです!
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投稿を表示どれも好きだけど、やはりサントラはジョーズかな…🤔
バトロワ入ってるの意外でしたw