1/25 公開のマン・レイの短編集 / 3/7 ロベール・ブレッソンの「白夜」
今回は、好きだった写真家マンレイの短編集(4作)と、高価でもあり中古版を購入できていないロベール・ブレッソンの「白夜」が上映されるので、絶対観たいと思って挙げてみた。
◆「Return to Reason/リターン・トゥ・リーズン」(2023)
マン・レイ(Man Ray, 1890年8月- 1976年11月)は著名な写真家で、シュールレアリスムの活動家でもあった。てっきりフランス人と思っていたが、アメリカ人だった。短編の映画も手掛けていた。
かなり昔、写真を趣味でやっていたころにモノクロ写真の鑑賞をしていた際、「アングルのバイオリン」等の有名な写真を記憶している。モデルとして恋人だったモンパルナスのキキが作品にも登場する。
実験的なサイレント映画の制作も手がけ、最初の作品『理性への回帰(Le Retour à la Raison)』(1923年)はダダイスムの映画版といえるもので、今回の4Kリストア版の代表作品名になっている。タイトルに反し、その中身は釘や画鋲、塩や胡椒などをカメラを使用せず直にフィルムに振りかけたりして焼き付けたイメージ群の、脈絡のないコラージュで、最後にかろうじて具象的なイメージとして女性の裸体が映される。『エマク・バキア(Emak-Bakia)』(1926年:バスク語「ひとりにしてくれ」)では、より具象的なイメージが用いられ、路上を走る車、砂浜での波などの屋外の風景も映されている。ストップモーションを用いての簡単なアニメーションなども試されている。友人である詩人ロベール・デスノスの詩に触発された『ひとで(L'Étoile de Mer)』(1928年)では、男女の悲恋の物語という抽象的であるものの核となるストーリーの確立が見られ、人物の感情の動きに焦点が当てられている。その翌年には、ド・ノアイユ子爵夫妻の依頼を受けて『サイコロ城の秘密(Les Mystéres du Château du Dé)』(1929年)を制作した。(なお『サイコロ城の秘密』以外の作品にキキが登場する。)
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◆「白夜(Quatre nuits d'un reveur) 」(1971)
画家の卵であるジャックはある夜、セーヌに身投げしようとする少女マルトを助ける。彼女には一年前アメリカ留学に発った恋人がおり、二人が再会を約束したのがその晩だったのだ。青年は苦悶に沈む彼女を美しいと思った。そして、激しい愛の衝動につき動かされながら、努めて平静を装い、彼女の心が恋人から離れるのを望み、そこに罪悪感を覚える。1957年の作品と同じく、有名なドストエフスキーの悲恋小説を現代を舞台に翻案した、ブレッソンの覚醒した世界観を窺わす痛烈な作品。

◆参考:「白夜(Le notti blanche)」(1957)
こちらは前に鑑賞しているが、ルキノ・ヴィスコンティ監督でマルチェロ・マストロヤンニ、マリア・シェル、 ジャン・マレーの出演によるイタリア映画。オーストリアの女優とフランスの俳優が共演する。「居酒屋」のマリー・シェルは、可愛い役柄が多い。


