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私の好きな映画

cine-ma
2023/10/04 16:24

愛と青春のホイチョイ・ムービー三部作

「私をスキーに連れてって」(1987年)
「彼女が水着にきがえたら」(1989年)
「波の数だけ抱きしめて」(1991年)

と、バブル真っ盛りのこの時期2年おきに公開されたホイチョイ・ムービー三部作。久し振りに3作品を鑑賞してみると、あの時代への懐かしさで胸が一杯になりました。
「私スキ」が公開されたその年に社会人になった私にとって、当時の仕事や遊びや恋愛の思い出が、これらの作品に漂うあの時代の匂いとめちゃシンクロしちゃいます。


①私をスキーに連れてって(1987年)

 

ホイチョイ・プロダクションによる劇場映画第一弾。
当時の若者達にとってのマストアイテムなスポーツであるスキーを題材に、幼馴染の仲良しグループがゲレンデを舞台に繰り広げる青春恋愛ムービー。

遊び上手な成蹊大出身のボンボン達(作り手側)が、余暇の楽しみ方を手ほどきしているかのような、でもって劇中登場するSALLOTなるトータルコーディネートのディテールにもちゃんとこだわりをもってブランディングを提案しているような、結局のところホイチョイらしさが作品の魅力。
当時は無かった言葉ですが、まさに“リア充”達が人生を謳歌している、そんな体でありながら、主役には恋に奥手で不器用な2人を配置するズルさ。
この愛すべき仲良しグループの遊び心が今の時代にも通用するのかは判りませんが、私らの世代にとってはユーミンの挿入歌と共に当時の思い出が去来する「不朽の名作」なのであります。この作品を観てからは、シーズン最初のスキーの前には必ず本作を観てテンションを上げる、というルーティンも生まれました。久し振りに観返して、ラストはウルウルしちゃいました。

三上博史さんは、織田裕二君同様にホイチョイ映画でブレイクしたんだ。この後フジTVのトレンディドラマで彼を見ない週がなくなるのでした。

日付:1988/4/24
タイトル:私をスキーに連れてって
監督:馬場康夫
劇場名:笹塚京王(閉館)
パンフレット:あり(¥350)

パンフレット(¥350)

この表紙をあしらった「007」風のポスターも話題になりました。
<CONTENTS>
・スキーに行くように映画を見て下さい 松任谷由実
・解説(ホイチョイの画付き)
・ストーリー
・対談 原田知世×三上博史×馬場康夫×宮島秀司/河井真也
・ヤスオ(靖男)からヤスオ(康夫)へ 田波靖男(シナリオライター)
田波氏は「若大将」シリーズの脚本を担当された方で、馬場監督がこのシリーズの大ファンである事から寄稿が実現した模様。田中邦衛さんが「田山雄一郎」という役で登場しているのも、若大将の「田沼雄一」へのオマージュですよね!
・ユーミンの歌にのせてとばす志賀→万座危ない2時間
・オシャレ気分満載のトータル・コーディネイト・システム
・ウェア・グッズ・テクニック キメて見栄スキー!
・スキーは自然体で楽しむのがイチバン 海和俊宏((株)カイワ・スポーツ・クリエイティブ代表)
・プロダクション・ノート
・プロフィール
・クレジット


②彼女が水着にきがえたら(1989年)

前作の大ヒットを受けて制作・公開された第2弾、"Urban Marine Resort Story"という和製英語のサブタイトルが付いた本作は、マリンスポーツ好きな若者達の日常と、お宝探しという非日常的冒険ロマンのテイストを融合。ヒロインには再び原田知世ちゃんがお目見えし、お相手のニューフェース、織田裕二君は前作の三上君に比べワイルドなキャラながら、実直で女性にはからきしというのは前作同様。

どう見ても相模湾とは思えない透明度の海中でダイビングを楽しむシーンは、当時の最先端グッズを紹介したい気持ちはわかりますが、これ見よがしで少々冗長に感じてしまった。手の込んだ遊びやデートプランがいかにもホイチョイらしいのですが、当時は色々と鼻に付いたに違いない。
お宝を巡る三つ巴の争いが徐々にヒートアップする中、展開が荒唐無稽になっていくのも、「絵になるロケ地」最優先のような水路での追いかけっこも、ちょっと冷めた目で観ていたのだろうと思います。

それもこれも、30年以上経って観返せば全てが微笑ましい。煙草に酒に無謀運転にと、他人に迷惑を掛けることに寛容だった時代の娯楽映画として、今は全部笑って済ませられます。知世ちゃんも織田君も伊武さんも皆若い。竹内力さんが好青年!(笑)。書き下ろしの主題歌含め、サザンのヒット曲満載なのもオジサン世代のハートをくすぐります。ノスタルジックな思いが増して当時よりも評価が上がってしまいます。
 「ベイエリアに美味いものなし」なんて当時の格言も思い出した(これも言い出しっぺはホイチョイじゃなかったっけ?)。

かつての若大将シリーズもそうですが、身近なようでいて遠い存在、ちょっと憧れる生き方をしている主人公達が羨ましくもある世界を描けている点において、ドンピシャな世代の我々にはいつまでも心に残るお伽噺のような作品でもあるようです。

日付:1989/6/17
タイトル:彼女が水着にきがえたら
監督:馬場康夫
劇場名:渋谷宝塚(閉館)
パンフレット:あり(¥400)

パンフレット(¥400)

<CONTENTS>
・イントロダクション
・ストーリー
・ロケーションマップ(湘南エリアと湾岸エリア)
劇中登場しませんが、tangoなんて懐かしいお店も地図に載っていた。
・男女7人裏物語 一色伸幸
『私をスキーに連れてって』で、バレンタインの万座で矢野文男(三上博史)と結ばれた優(原田知世)だったが、春を待たずにこの恋は終わってしまった。・・・」と始まる本作の脚本家が寄せた裏話が最高に面白い!
・マリングッズ図鑑
作品に登場した最新のアイテムをホイチョイの画入りで紹介。
・原田知世
・織田裕二
・デザイン
エンディングで大量のタイアップ企業がクレジットされている本作ですが、それもその筈。「AMAZON」「Tsubame」両陣営のブランド・デザインが、ダイビング・グッズや船は言うに及ばず、グラスにタオルにヘリにまでも適用されていた。また衣装類はオンワード樫山が自社の「デニス・コナー」ブランドをカスタマイズ。このあたりのこだわりも実にホイチョイっぽい。
・キャスト
・ソングス
・スクーバ事情通
いかにもホイチョイらしい蘊蓄の数々がたっぷり4ページにわたって語られている。
・ヨット事情通(こちらは2ページ)
・クレジット


③波の数だけ抱きしめて(1991年)

この作品のみ劇場で未見。湘南茅ヶ崎を舞台に、大学生の仲良し4人組が運営するミニFM局の「湘南制覇計画」と恋の行方を、当時の洋楽ヒット曲に松任谷由美さん最盛期のヒット曲を交えて描く、切なさ一杯のハートフル・ムービー。

1991年の夏に公開された本作の舞台は、1982年の湘南茅ヶ崎。「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」もそうでしたが、10年前といった短いスパンの過去を再現するのってなかなか難しい筈。本作では時代考証として泉麻人氏のお名前がクレジットされていました。ただ今になって観返すと、1982年(40年前)も1991年(30年前)もその違いがもはや大差ないというか区別がつかない^^;。

この3作目もホイチョイらしい拘りの遊び心が随所に見て取れて、あの時代を過ごしたオジサン世代にはレコード盤とプレーヤーの扱いだけでニヤついてしまいます。
織田君演じる小杉の煮え切らなさに観ているこっちがイライラしてしまいましたが、この頃巷を席巻していたユーミンのラブソングの歌詞と当時の若者(=自分)の恋愛事情とが密接にシンクロしていたのを思い出す。いやー切ないっス。

観ている途中、別所さん演じる博報堂(実名なのがホイチョイらしい)の社員吉岡が主役っぽく感じるシーンがあります。それもその筈で、当初の脚本ではこの役が主人公のお話だったらしい。織田君と別所さんが各々相応しいポジションを得た事で、結果的に作品の成功に繋がった気がします。

本作のヒロインであるミポリンの小麦色した肌が眩しい本作。私が大学生の頃(1983~1987)はどこの大学にもDJサークルみたいなのがあって、私のダチの彼女も原宿辺りのミニFM局でDJやらせてもらってました(文化放送がミスDJなんて番組もやってましたしね)。

作中の小杉同様に、観客もあの日にタイムスリップしたくなる、切なさを呼び起こす作品。今観返して劇場で観なかったことを後悔する作品となりました。

中古で購入したパンフレット(¥400)

・イントロダクション
・1982年、夏 泉麻人
・ストーリー
・1982年図鑑 ホイチョイの得意とするところですね
・1982年の洋楽 天辰保文
・挿入曲紹介
・1982年のFM局 櫻井隆章
・「万座の恋の物語」と「潜らん哉」と「ラヂヲ曼荼羅」について 一色伸幸
三部作を担当した脚本家の監督への恨み節(笑)。「私スキ」のタイトルは「スキー天国」(企画書段階)→「白い恋人たち87」→「私をスキーに連れてって」だそうです。
・キャスト
・ユーミンの挿入歌紹介


ちなみに馬場監督へのインタビュー記事によると、彼の作品には必ず文男と真理子という実在の人物の名前が役名で出てくるのだそう(2人とも学生の頃からの親友なのだそうです)。この3作品も調べてみると、主要な役にその名が使われていました。

「私をスキーに連れてって」
 矢野文男(三上博史)
 佐藤真理子(原田貴和子)

「彼女が水着にきがえたら」
 吉岡文男(織田裕二)
 田中真理子(原田知世)

「波の数だけ抱きしめて」
 田中真理子(中山美穂)

2人共エキストラで作品にも度々登場している模様。吉岡文男氏はホイチョイの一員としてクレジットもされていました。

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