クロード・ソーテ作品から「愛を弾く女(Un Coeur en Hiver)」
❤ おすすめする恋愛映画とは?
恋愛映画というと、お薦めするには、ハッピーエンドを期待するのだけど、色々なパターンがある様に思う。大人の恋愛を描くには、右にでるものがいないクロード・ソーテ監督作品で探してみた。キャストと音楽の美しさという意味で「愛を弾く女」だと思った。
2010年代はクラシック音楽に関係する映画をよくみていたが、そんな時期の、この作品は、エマニュエル・ベアールが輝く様に美しく、また実生活での夫のダニエル・オートゥイユも端正な美男俳優の一人と思った。
■「愛を弾く女(Un Coeur en Hiver)」(1992)の作品概要
新進女性ヴァイオリン奏者と、彼女をめぐる二人の男との恋を描く恋愛ドラマ。音楽はモーリス・ラヴェルの「ピアノ三重奏曲」と「ソナタ」を全編に使用した。音楽監督はフィリップ・サルドが担当。主演は「美しき諍い女」のエマニュエル・ベアール、「ロミュアルドとジュリエット」のダニエル・オートゥイユ、「メロ」のアンドレ・デュソリエ。
1992年ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞、国際批評家連盟賞、1993年セザール賞監督賞、助演男優賞等を受賞している。
原作の「冬の心」というタイトルからも、主人公が悲恋を経験した状況が伺える。
■ストーリー
美貌の新進ヴァイオリン奏者カミーユ(エマニュエル・ベアール)は、パリのレストランで二人の男性に出会う。一人は自分の愛人で楽器工房経営者のマクシム(アンドレ・デュソリエ)、もう一人はマクシムとコンビを組む楽器の“外科医”ステファン(ダニエル・オートゥイユ)。
音に関して天才的な感覚を持つステファンは、カミーユの持ち込んだヴァイオリンの魂柱をわずかに細工して彼女の望み通りの音を作り驚かせる。カミーユは自分に注がれるステファンの強い視線を意識し、マクシムとでは味わえない高揚感を与えられるようになった。
カミーユはマクシムに別れを告げ、ステファンに愛を告白するが、彼は「君のことを愛してはいない……」と言う。苦しみを乗り越えたカミーユは前にも増して美しくなり、音楽家としても成長し、その苦しみが自分の人生と音楽を大きく成長させたことを知るのだった。
■感想
改めてフランス映画は三角関係のものが多いと思った。ハッピーエンドではなくても、この映画の様に、“人を好きになる・切ない気持ちで終わりにする”課程が美しく描かれていることが重要だと思う。特にクロード・ソーテ監督の美学ともいえそう。べアール主演の「とまどい(Nelly)」もしかり。