イーサン・コーエン監督の「ひとりでできるもん!」『ドライブアウェイ・ドールズ』
〈作品データ〉
『ファーゴ』や『ノー・カントリー』を手掛けたイーサン・コーエン初の単独監督作品は女性2人がとんでもないことに巻き込まれるコメディ&ロード・ムービー!フィラデルフィアに住むジェイミーはマリアンがフロリダに住む祖母の家に行くのに便乗し、車の配送を兼ねた旅行をすることに。ところが、2人が手配した車にはある秘密があり、2人はこのためにギャングに追われることに。ジェイミー役をマーガレット・クアリーが、マリアン役をジェラルディン・ヴィスワナサンが演じ、他ビーニー・フェルドスタイン、コールマン・ドミンゴ、ペドロ・パスカル、ビル・キャンプ、マット・デイモン、マイリー・サイラスが出演。
・6月7日(金)よりTOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー【PG12】
・上映時間:85分
・配給:パルコ、ユニバーサル映画
【スタッフ】
監督・脚本・製作:イーサン・コーエン/脚本・製作・編集: トリシア・クック
【キャスト】
マーガレット・クアリー、ジェラルディン・ヴィスワナサン、ビーニー・フェルドスタイン、コールマン・ドミンゴ、ペドロ・パスカル、ビル・キャンプ、マット・デイモン、マイリー・サイラス
公式HP:https://www.universalpictures.jp/micro/drive-away-dolls
〈『ドライブアウェイ・ドールズ』レビュー(レビュアー〉
「え、イーサン・コーエン単独の監督作品って今更、“初”、なの?」
とか、
「そもそも、コーエン兄弟、コンビ解消なの?」など、
そんなモヤつく気分の中で見たイーサン・コーエン監督・脚本・製作作品『ドライブアウェイ・ドールズ』。
主人公らの計画が思わぬ方向に転がる展開は『ブラッド・シンプル』や『ファーゴ』を手掛けたコーエン兄弟監督作品となんら変わりはないが、単独作品とあってか、より軽快なクライム・サスペンス要素があるコメディに仕上がっている。
基本的にはレズビアンのジェイミーと生真面目なマリアンによる凸凹コンビのロード・ムービー。旅の目的自体はマリアンの祖母の家への旅路なんだけど、欲望全開なジェイミーのおかげでズンドコな珍道中になっている。
しかも、この旅の方法がドライブアウェイという
車の配送のお仕事を兼ねたもので、このズンドコガールズが運ぶ車にギャングが絡んで、そこからのドタバタな展開になる。
さらにはLGBTのLに特化したブラック・コメディ。追ってくるギャングの目的も別のそっちに寄ったもの。ギャングのバイオレンス描写もこれまでのコーエン兄弟作品と良い意味で変わりなく、コミカル&ブラックユーモアを交えたもの。
ジェイミーとマリアンの友達役にビーニー・フェルドスタインが出ていることもあってか、マリアンの真面目っ子が不謹慎な世界に立ち寄る雰囲気は『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』にもどことなく通じるし、ビーニー・フェルドスタインも相変わらず体格を活かした笑いを見せる。
ただ、途中挿入される謎のサイケな映像演出は意味不明でもう一つ。しかしながら、ジョージア州経由のアメリカ東部から南部のカントリーな雰囲気と、1999年の時代の空気感をサラッと入れたコメディ&ロード・ムービーは
イーサン・コーエン単独作品なからコーエン兄弟らしさは変わらず。
コーエン兄弟監督作品が好きなら押さえるべし。