■ツイスターズ

〈作品データ〉

1996年に公開されたヤン・デ・ボン監督作品『ツイスター』の続編で、『ミナリ』を手掛けたリー・アイザック・チョンが監督を手掛けた災害アクション＆アドベンチャー映画。主人公ケイト・カーターは地元オクラホマで仲間らとストームチェイサーとして竜巻を追っていたが、ある日、あまりにも大きな竜巻で仲間を次々と失い、命からがら生き延びる。5年後、ケイトは仲間のハビに誘われて、再び地元に戻り竜巻を追うようになるが、他にもSNSやYouTubeで有名になっていたタイラーらも別のチームを作り、複数のグループが竜巻を追うようになっていた。主人公ケイトをデイジー・エドガー＝ジョーンズが演じ、他グレン・パウエル、アンソニー・ラモス、ブランドン・ペレア、キーナン・シプカ、デビッド・コレンスウェット、モーラ・ティアニー、サッシャ・レイン、ハリー・ハッデン＝パットン、ダリル・マコーマック、トゥンデ・アデビンペ、ケイティ・オブライアン、ニック・ドダーニ、ポール・シェアーが出演。

・８月１日（木)よりTOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー

・上映時間:122分

・配給:ワーナー・ブラザース映画

【スタッフ】

監督:リー・アイザック・チョン/脚本:マーク・L・スミス

【キャスト】

デイジー・エドガー＝ジョーンズ、グレン・パウエル、アンソニー・ラモス、ブランドン・ペレア、キーナン・シプカ、デビッド・コレンスウェット、モーラ・ティアニー、サッシャ・レイン、ハリー・ハッデン＝パットン、ダリル・マコーマック、トゥンデ・アデビンペ、ケイティ・オブライアン、ニック・ドダーニ、ポール・シェアー

 原題:Twisters/製作国:アメリカ/製作年:2024年

公式HP:https://wwws.warnerbros.co.jp/twisters/

〈『ツイスターズ』レビュー〉

1996年の『ツイスター』は『スピード』シリーズを手掛けたヤン・デ・ボン監督が手掛けてたけど、本作はヒューマンドラマ映画『ミナリ』を手掛けたリー・アイザック・チョン監督が手掛けているので、見る前から「大丈夫かな？」と不安になった『ツイスターズ』。しかしながら、不安は見事に外れ、複数の竜巻を追うチェイサーチームがいくつもあったり、

前作以上に変化に富んだ展開で、映画がパワーアップしている！

映画において、主人公や周辺の人物がボンクラだったりバカだったりするのはある意味話を面白くする上で有り難いことだが、

この映画では良い意味でバカばかりで面白い。

竜巻を追うストームチェイサーチームが主人公らだけでなく、アーカンソーや他の州からもオクラホマに集い、完全にバカ合戦になっている。その盛り上がりたるやTシャツ等のノベルティグッズを作る者がいるは、さらには海外から取材しにチェイサーチームに同行する者がいるはで明らかにパワーアップしている。

しかも、主人公ケイトのチームも複数の車両や器具で竜巻をスキャンしようとする行動に出たり、車両ドロシー号からは竜巻に耐えるために地中にドリル状の杭を打ち込んだり、こちらもパワーアップをしている。竜巻を追うチームが複数になったことで競争も発生し、競っている描写もあり、ストーリーもより面白くなっている。

装甲車両に「ドロシー号」と名付けているのは前作『ツイスター』と同じだが、『ツイスターズ』ではブリキもカカシもあとライオンも名称で使っている。竜巻に向かう勇気と、竜巻の動向を読み切る知恵、そして後半の展開で複数のチームの理念の違いから生まれる「心」をも描き切り、より『オズの魔法使い』に対するリスペクトが強く感じられる。

竜巻バカ達による「ヒャッハー！」な挑戦を描いただけでなく、竜巻・嵐の災害としての恐怖や被災・被災直後の街の様子も描き、災害に対してより正面から描いている。襲われる恐怖や巨大災害の迫力というのはこれまでのディザスター映画にもあったが、被災した人たちの悲痛の叫びや嘆き、そこからの復興や被災者を助けるケイトらもしっかりと描き、そこにディザスター映画としての進化が感じられ、こうした所から『ミナリ』を手掛けたリー・アイザック・チョン監督の力を痛感する。

それでも映画や主人公らの基本方針はいくらか残し、竜巻バカの心を最後まで貫き通したのは見事だし、後半に襲われる場所も映画を見ている者としてはより生々しさが伝わる。前作『ツイスター』みたいにディープ・パープルとクラシック音楽をミックスさせるような音楽のセンスは本作では残念ながらなかったが、それでも中身の進化がいくつか感じられ、

ドロシー号以外でも『ツイスター』のレガシーを引き継ぐ映画である。