ベルモンドの「レ・ミゼラブル」観ました!
■映画作品「レ・ミゼラブル」あれこれ
「レ・ミゼラブル」の映画というと、最近みた、ダミアン・ボナール出演のラ・ジリ監督の「レ・ミゼラブル」(2019)ではなく、ビクトル・ユーゴー原作の本家の「レ・ミゼラブル」を、お正月に3作通して鑑賞してみた。ジャン・ギャバンの1957年のもの、ロベール・オッセン監督のTVドラマでリノ・ベンチェラ主演の1982年のもの、ジョゼ・ダヤン監督で、ジェラール・ドパルデュー主演の2000年のものを選んで鑑賞している。いずれも、かなり原作に忠実なので、読んでいなくてもストーリーは理解できた。(個人的には、2000年のC.ゲンズブールがファンテーン役の作品が良かった。)
■グランド・フィナーレでの上演
今回は、ジェン=ポール・ベルモンドのグランド・フィナーレで、貴重な3作のうち、「レ・ミゼラブル」の上映機会があったので、野崎歓先生の解説のある会で鑑賞することができた。
クロード・ルルーシュ監督の1995年の作品ということで、原作を思い切り変更した大河作品に驚いた。解説があっても、原作自体は劇中劇になっていて、初めてみただけでは、混乱するのだけど、戦後の現代におきかえて、ユダヤ人迫害をうけた夫婦とその娘がテーマになっているところも、現代のジャン・バルジャン的な英雄的な存在(ベルモンド=フォラン)を、晩年のベルモンド自体が演じているのは新鮮だった。「愛と哀しみのボレロ」を彷彿とする作品でもあった。
■テーマと劇中劇
アニー・ジラルドはベルモンドと「あの愛をふたたび」で共演し女優役を演じているが、本作では、ユダヤ人の弁護士を助けるフランス人女性の役を演じ、情はあるがはすっぱな演技でセザール賞助演女優賞を獲得したが、真に迫る役所が光った。
また劇中劇のところで、往年の名優で、司祭と修道院長の役を演じた、ジャン・マレーやミシュリーヌ・プレールも登場し豪華な配役となっているのも見もの。ちなみに2000年の「レ・ミゼラブル」では、修道院長役をジャンヌ・モローが演じている。
■最後に
クロード・ルルーシュ監督というと、「男と女」等のふわっとしてきれいな作品を取り、商業ベースではうまく行った人でもあり、フランシス・レイとのコンビで、さらにその魅力が増している。一方、ヌーベルヴァーグの芸術性を評価した映画人には、評価されないのは当然だが、こういった歴史的なロマンを綴れる映画人としては、奥深いところがある。
既にグランドフィナーレでは、「おかしなおかしな大冒険」も鑑賞したが、やはりベルモンドはあまり3枚目的な演技をしなくてもイケルので、「華麗なる大泥棒」のかっこよさの方が数段好きだ。