まるで私のこと?『波紋』
【これって、今の私?】
何かに没頭したいのよ。このお年頃の女性、とてもわかる。
まるで私じゃん。
子育て、旦那の面倒、介護、仕事のストレス、ご近所トラブル、対人関係。
あーー、しゃらくせぇ。全部放り出したい!
けどそんな事出来ないし、誰かに丸投げする事も出来ない。やるのは全部自分だ。なのに、あの男は逃げた。
依子(筒井真理子)の旦那(光石研)が震災の後蒸発した。家には高校生の息子(磯村勇斗)と舅が寝たきりでいる。
数年後、その旦那が帰ってくる。
「俺、ガンなんだよ」
【依子の拠り所ー宗教】
家にはもう寝たきりの舅はいない。半年前に他界していた。家中に水、水、水。それだけではない。旦那が花々で綺麗にしていた庭も、白砂や小石で枯山水の庭に様変わりしていました。
今、依子の生活の中心はこの「緑命会」という宗教。あぁ、踊りたい、一緒に。
あのクセありダンスと歌は、この作品のクスクスポイント。前のめりになったわ。
【ここで一節】
♪ 光の屈折
愛により
慈悲の心目覚めさす
信仰あらば恐れなし
旦那が居た頃、家族が居間に居たのに、今は殺風景な祭壇になり、息子は遠く九州で進学、就職をし舅も他界して1人。自分のペースで生きていくには、何かに没頭して、信じてすがりたい。そんな心の隙間に忍び込んだのが、宗教だったのかもしれないが、信じている宗教だって、本当は親身になんかなってくれていません。リーダー(キムラ緑子)は夫がガンと聞けば、どんどん高額商品を特別に勧めてきます。
結局は自分で決める事なのに、宗教に決められていく。気付いているのか、それとも現実から目を背けたいのか?
また同じ会員に、江口のりこと平岩紙が出ていますが別の作品『ツユクサ』と大違いの2人に苦笑です。あぁ、私も切磋琢磨したい。
【依子の拠り所ー息子】
私がこの作品で1番グッときたのは、息子が九州から彼女を連れて帰省してきた場面。それだけでも母からすると大事件なのに、その彼女ときたら、耳に障がいがあって手話しながらたどたどしくお話するんです。
私は、旦那の親と同居してるんです。かれこれ15年程。6年前までは姑も元気でして、そりゃあ色々あったし色々言われましたよ。嘘つき呼ばわりされたり、嫁は所詮他人だとかね〜。
だから、この依子がとった態度は何にも不思議じゃありません。ここは完璧、嫁の立場から見ちゃいました。この時、パート先の掃除のおばちゃん(木野花)に『ストレートに差別すんねー』この台詞には大爆笑。
【依子の拠り所ーパート先】
スーパーのパートには、必ず現れるクレーマー(柄本明)がいる。最初はただアタフタしていたのだが、依子とは正反対の性格な掃除のおばちゃんと話すうちに、依子の中の何かが変わる。『私の夫、ガンなんです』客との立場がぐるっと変わるのは見どころ。
ある日プールで倒れた彼女の家を片付けてに行った際、まさかの事実に依子と一緒に泣かされた。
【大団円とも言うべきラスト】
ラスト息子の言葉は、母親の事を理解してると思えた。フラメンコの手拍子は、最初からアクセントとして聞こえていたけど、あそこまでラスト突き抜けて見せてくるとは。
ふと、リューベン・オストルンド監督の作品に似てると思った。とても意地悪な描き方するんだけど、観る人によっては爆笑しちゃう。
人間の腹の底にある、黒いものを次から次へと出してくるのに、何故か笑いが止まらない。滑稽だね、人間て。
オトナの女性にぴったりな作品。
レンタルは、12月6から開始されたばかり!
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投稿を表示またまたこれも惹き付けられる文章だったわ!読んでいて楽しい✨インスタのより文章が少し変わってるよね。そっか、じゅんちゃんにしたら磯村くんが彼女連れてきた時の依子のとった態度がわかるのね。私はなんて酷くて怖い目つきをするんだって、息子の母親ってこんな感じ?ってなったけど。確かにリューベン監督の作品っぽいよね 笑 こんなストーリーなのに笑えるってとこが素晴らしかった!
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