ポスターからはとても想像できない結末で、何故？！という思いが観賞後も頭を巡った『The Son／息子』今回はストーリーに沿って濃厚レビュー？を執筆させて頂きました😊

                           ➖あらすじ✍️➖

家族と充実した日々を過ごす弁護士ピーターは、前妻ケイトから17歳の息子ニコラスの様子がおかしいと相談される。ニコラスは心に闇を抱えており、絶望の淵にいた。息子を受け入れて一緒に暮らし始めるピーターだったが、親子の心の距離はなかなか埋まらなかった。

 9月からレンタル開始した本作は劇作家でもあるフロリアン・ゼレール監督による家族3部作、「ファーザー」（2020）に続く第2弾！

人生に絶望を感じ自傷行為を繰り返し、急性うつ病を患ってしまう息子の気持ち、それとどう向き合うか…父親の苦悩とすれ違う愛情が描かれている。

息子ニコラス役をオーストリアの若手俳優ゼン・マググラス、母親ケイト役をローラ・ダーン、そしてニコラスの父親ピーター役をヒュー・ジャックマンが演じる。ヒューは脚本に惚れて出演を熱烈逆オファーしたそうだ。

物語は前妻ケイトとの息子、ニコラスの不登校などでケイトの手に負えなくなり、ニコラスが父親のピーターと一緒に住むことから始まる。実はニコラスはピーターに助けを求めていた。ピーターはリズと再婚し子どもが産まれたばかりで幸せな生活を送っていて、仕事も好調だった。

最初から子育ての難しさを実感させられるのだが。

ニコラスの不登校の原因は高校生活にある、転校させセラピーを受けさせれば良くなると信じ、実行するピーター。

たとえそれが一般的で正解だとしても、自分の子どもに当てはまるとは限らないし根本的な解決にはならない。でもニコラスにも最善の方法だと思い込んでいる。すでに解決済みの案件となった。

その間にもニコラスの心の傷は悪化していく。ピーターが説得して止めたはずの自傷行為だが、ニコラスはベッドにナイフを隠し持っていた。

心の傷は両親の離婚にあると伝えたいが、上手く伝えることができない、だから助けを求めているのだ。

……悲しいことだが、伝えたところでピーターには理解できないだろう。

一方でピーターも父親との間に、40年前の母親の死をキッカケに大きなミゾがあった。それを埋められないまま結婚して父親になったのだ。

久しぶりに再会した父親がピーターに、自分は良い親だとアピールしに来たのか？

40年も経ってもなお10代の頃の感情を乗り越えられていない！と言いきったのが強烈だった。

その過去が原因で、理想の父親像、子ども像というのが出来上がり、無意識のうちに押し付けていたのかもしれない。

因みに父親役はアンソニー・ホプキンス。ワンシーンでも登場すれば、作品に深みが増すところはさすがだ！

話しを戻して、

ニコラスはピーターの再婚相手リズともすれ違っていく。

その対応も含め、愛情を込めて接しているのに全て裏目にでてしまうピーターは、遂に言ってはいけない言葉をニコラスに放つ。

過去の自分と比べて自分の時はこうだった！お前のために尽くして結婚生活を続けた、他の人を好きになる事が罪か？俺の人生にも権利がある！！と捲し立てる。内容は違うがピーターの父親とそっくりだ。

さらに人生の絶望を味わい、急性うつ病と診断されるニコラス。

精神科医は多くの患者を見てきているのだから任せるのが一番だと思うが、帰りたいと泣いて懇願するニコラスを入院させず、自宅でケアすることを決めるピーターとケイト。ここでも両親の見当違いに見ていて辛くなってしまった。

以前のように幸せで楽しい家族に戻れた、と思っていたが(両親は…)

ラスト、私たちは悲しい伏線を回収することになる。それはニコラスの願いを叶えたことになってしまった。

子育てにはルーティンがない。何が正解で、何が不正解なのかわからない。

親も子も完璧な人間ではないし、内容が伴ってなくても寄り添えば子育てをしているという自己満足が生まれる。愛情だけではどうにもならない事もあるから本当に難しい。

ピーター家族とは違うパターンでも、子育てをしている限りいつか自分にも起こりえる内容なのかもしれない。

もし、わたしだったらどうするか？

ズッシリ重いけど、とても考えさせられた映画だった。

気が早いが家族3部作の第3弾「ザ・マザー」の公開が待ち遠しい。

【最後に】

いやいや、今回はかなりヘビーなレビューになってしまいましたが、読んで頂きありがとうございました😊

たまにはこういった逃げ場のない映画もわたしには必要だなぁ、と思いました😄

では次のコラムでまたお会いしましょう♫

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