花束〜児童養護施設で育った若者たちが主役〜
昨日『花束』という映画を映画館で観てきました。
この映画は児童養護施設で育った8人の男女の青少年たちが主役の映画です。
映画はほぼ白黒です。
ドキュメンタリー映画ではなく、彼ら彼女は役者ではないですが、等身大で色んな場面を表現していました。時にはバイト帰りの何気ない自宅での風景、彼氏彼女との会話、公園のベンチでの会話など。ちなみに佐藤浩市さんがゲスト出演されていて驚きました。
その中で、彼らのリアルなインタビューが映し出されます。
彼らの幼少期の親との記憶、虐待の記憶、今感じていることなど…
役者たちのリアル体験を赤裸々に話しつつ、彼らが役の中では前向きに生きようとしている様を自然体で演じています。そして最後の場面でモノクロからカラーになっていきます。
この映画を観て感じたことは、たとえ何があっても子にとって親は本当に大切な存在で、どんなことがあっても憎しみだけになることはないのかなというのと、親自身も恐らく虐待の連鎖等や様々な事情でSOSを出しているが救いがない、愛し方が分からない等なのかなと思いました。
話は変わりますが実は私は児童養護施設で少しだけ働いていたことがあります。
そこでの体験は私の今までの職業人生の中で一番苦しいと感じることが多々ありました。
私は子どもと仲良く接したいが、子どもはすごく職員に対して試し行動をしてくる、人を平気で傷つけることを言う、目が鋭い、暴れる等…
私はそれに対して全てを面くらってしまい、心が苦しくなって働くことが辛くなりました。
だけどその子たちが起こしていた行動は、親からされてきたこと、そして色んな感情が混ざってそのような行動をするのかなと思いました。
それと同時に、施設の職員さんは本当に立派だなと感じました。
私は映画館でこの映画を観ているときに、自分の体験とリンクしてきて、あの時に接していた子たちを思い出し、涙が出てきました。
この『花束』という映画は、児童養護施設出身の青少年たちのインタビューと、幻想的な画面がコントラスト的に表現されていきます。私は幻想的な画面がなんとなく黒澤明監督の「夢」のようだなとも感じました。
一件普通そうに見える人達も、様々な経験・痛み苦しみを抱えていたり乗り越えてきたりしている。インタビューでもそのようなことを言っていた子がいましたが、本当にそうだと思います。
子どもの救済はもちろん、親の救済も必要だと思います。
私はこの度社会福祉士に合格したので、そういうところも含めて、何か社会の役に立てることがしたいと、この映画を通して感じました。
きっとこの映画を映画館に見に行ったのも(しかも一週間限定公開!)、何かの縁だったと思います。児童福祉・母子支援、何か小さなことでも役に立てることはないかな。
そんな気持ちを改めて思い起こさせてくれた映画でした。
これからも色々なところで上映するかもしれないので、もし興味を持たれた方がいらっしゃれば是非一度鑑賞していただければです。
【静香のHP/SNS等】
『花束』
(役者)
黄安理 黄佳琳 河野真也 栗原直也
ブローハン聡 星野舞結花 松嶋マジアル 吉住海斗
諸星風羽 サラ・オレイン / 佐藤浩市
監督:サヘル・ローズ
エグゼクティブプロデューサー:岩井俊二
音楽:SUGIZO
脚本:シライケイタ
プロデューサー:田井えみ
プロデュース:佐東亜耶
撮影:山口英徳
製作プロダクション:ロックウェルアイズ
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