フィンランド映画「枯れ葉」の主演アルマ・ポウスティの作品 「TOVE ト―ベ」
アルマ・ポウスティの作品
年頭に公開された、日本では絶大な人気のアキ・カウリスマキ監督の「枯れ葉」を鑑賞したので、主演のアルマ・ポウスティの作品の「TOVE トーベ」を鑑賞した。監督はフィンランド出身のザイダ・バリルート。「枯れ葉」の方は昭和な感じのバーでの演奏風景等が新鮮だったが、若手ミュージシャンの登場も素敵だった。
“ムーミン”のトーベ・ヤンソン(1914年- 2001年)
“ムーミン”の生みの親トーベ・ヤンソンの知られざる半生を映画化した伝記ドラマ。何よりも自由を愛し、厳格な父や保守的な時代に抗ってでも自らの信念を貫こうとした奔放かつ情熱的な生きざまと、そんな彼女の波乱万丈の人生を通して解き明かされていくムーミンの物語の創作の秘密が描かれる。
フィンランドはヘルシンキ。トーベは、彫刻家の父と挿絵画家の母の下で育った。彼女は第二次世界大戦の不安の中で不思議な“ムーミントロール”の物語を描き始める。戦後はアトリエで絵画の制作に打ち込むが、保守的な美術界にあっては思うような評価を得られず、その鬱屈を吹き払うように奔放な恋愛を謳歌していく。ムーミンの物語を描きながらも満たされない思いを抱き続けるトーベは、やがて舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと運命の出会いを果たす…。
映画の感想
伝記映画なので、ある程度、事実に忠実かもしれないが、トーベが持ってうまれた感性の全てを創作活動に向けた様子が描かれ、たばこをふかす様子等も、マニッシュでかっこよく、アルマ・ポウスティも、チャーミングに見えたり、艶っぽかったり、色々な表情を見せてくれた。
可愛くソフトな“ムーミン”の癒されるイメージとは異なり、戦時中ということもあって、緊張感があり、自由で退廃的な芸術の世界観も描かれていた。トーベはパリでも勉強している。そのため、使用される楽曲は、パリでも流行した「シング・シング・シング」等のジャズナンバーやピアフのシャンソン等が使われていた。
フィンランド映画
フィンランドといえばデザインの国であるが、昨年、建築家でデザイナーのアルヴァ・アアルトの魅力と数々の名作を生み出した創作の秘密に迫るドキュメンタリーの「アアルト(AALTO)」(2020)公開され、比較的長く上映していた映画館もあった。
この映画では、トーベの父親が彫刻家で、トーベの絵画作品や制作についてのシーンもあり、デザイナーではカイ・フランクの名前等も登場した。