アキレスと亀 「芸術という名の魔物」
アキレスと亀 平成20年 (2008)公開
北野アート3部作の最終章「 映画自体を破壊した作品」 青が印象的。
ストーリー
北野武が監督・脚本・編集を務めた劇場最新作。幼い頃に両親を亡くした孤独な画家・真知寿は、唯一の理解者である幸子と結ばれ夫婦となる。愛と希望に満たされ、さまざまなアートに挑戦するふたりだったが…。樋口可南子ほか個性派俳優が共演。(TSUTAYA DISCASより引用)
1人の人生を描く。
タイトルの「アキレスと亀」はゼノンのパラドックス(足の速いアキレスが足の遅い亀に永遠に追い越せない数学的な逆説)と芸術の人によって評価が変わる「不確実」さを屁理屈で正当化してしまうことをひっかけた。その関係性を生涯、芸術という魔物に取り憑かれた「倉持真知寿」を健気に支える妻、幸子を描いたヒューマンドラマ。
この作品を観ると「才能や実力もあるが、いくら努力をしても売れない」ある意味残酷な現実を突きつけられる。芸術以外にも芸能などのエンターテイメントの世界でも同様の事がある。
容姿端麗で演技も歌もうまいが何かしらの縁や運がなく、売れていない埋もれたタレントや芸人はたくさんいる。
北野作品として1人の真知寿という人物を幼少期から中年期まで描かれている。
青年期は3-4X10月で主演、その後他の映画出演を経てきた柳憂怜(やなぎゆうれい)が演じる。俳優柳憂怜としての存在感、演技力が増していた。脇を固めるたけし軍団の若手であるお宮の松、〆さばアタル、アル北郷、武重勉が印象に残る。作品を盛り上げる電撃ネットワークも登場する。
画と絵の「接着剤」の音楽。
北野映画のもう一つの華である音楽はアニメやゲーム音楽で有名な梶浦由記が担当し芸術を題材にした作品へ女性のもつ「繊細さと優しさ」が北野映画を包み込む。映画の画と劇中の監督の書いた絵を音楽でつなぎ止め芸術性を高めた。
次回作への布石。
今作のキャストが豪華。
樋口可南子、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉連、寺島進、芦川誠、そして当時若手俳優の大森南朋、映画「DOLLS」では西島秀俊の友人役だったが、今作では画商役で抜擢された。
次回作「アウトレイジ」の豪華キャストを起用する布石の作品でもある。
北野監督の映画観は「映画は特別なアートでそれに従事する人の入り込みは異常」と表現している。
アキレスと亀が楽しめる⁈ 観てほしい「7つのポイント」
1.キーアイテム「ベレー帽の魔力」が今作の印象付ける。 |
2.菊田昭雄(伊武雅刀)のアウトレイジな画商。その息子である画商(大森南朋)が真知寿夫婦を芸術という名の狂気に走らせる。 |
3.青年期の真知寿が作成した閉店セールのチラシ。真知寿の父(中尾彬)が自殺した風景をモチーフにしたブラックジョーク。 |
4.サイケデリックな美空ひばり、横山ノックの自画像が印象的。 |
5.漫才の相方で今やSNSの人気者「ビートきよし」が再登場。 |
6.おでん屋のおやじ(大竹まこと)が「 飢えには芸術は必要ない」と含蓄ある言葉 |
7.妻役、樋口可南子の「帰ろう」は涙腺崩壊は必至。夫婦とは?を深く考える。 |
この作品はなぜか秋をイメージさせる。満月の晩に観ることをお勧めします。
北野アート3部作が終わり、次回はあのシリーズが!
乞うご期待!!
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投稿を表示帰ろうのセリフが全てのわたしの感情を
持っていきました!狂気や難解な性格の画家の壊れ方を全て受け止めるセリフでした。次回も楽しみにしています
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