アンダーカレント
喫茶店で探偵の山崎が言う。
『人からどう見えるかというのは何をするかという事とあまり関係ないことだからなあ』
本当、そう。
ましてや、言葉なんてどうにだってなる。けど、その人の行動には、嘘がない。
家族だろうと、恋人だろうと、人は見たいものしか見ようとしないものだ。だから、わかったフリをして生きていく。
欲しい言葉を与える事が出来る人。
耳障りのいい言葉を聞いていたい人。
本当の事なんか、誰も知りたくない。痛い事からは逃げたい。避けたい。私もそうだった。
【ストーリー】
父親から受け継いだ銭湯「月乃湯」を、夫婦で切盛りしていたかなえ(真木よう子)だが、夫の悟(永山瑛太)が突然
失踪する。しかし、いつまでも閉めてもいられず月乃湯を再開。おばと2人で何とかやっていたが、突然住み込みで働きたい男、堀(井浦新)がやってくる。寡黙な堀と不思議な同居が始まった。
スーパーで買い物していたら大学の同級生菅野(江口のりこ)と再会。夫とも顔見知りだったので、失踪の話を聞いて知り合いの探偵、山崎(リリー・フランキー)を紹介される。
【みどころ】
このリリーさんが、一見抜けててやる気ない人に見えるんだけど、発する言葉がもうね、核心突きまくり。おまけに実は凄いキレ者だってのが、また良いんですよねー。
この作品は、大好きな今泉力哉監督が澤井香織さんと共同で脚本も書いていて、変わらず笑いのツボは押さえてくれてました。
リリーさんが、夫の捜索報告の為にカラオケボックスを利用したシーン。あの時、せっかくだから歌いましょうって『裏切り者の旅』をチョイスして、熱唱したのたまらんかった笑
【ここがポイント】
この作品は『死』をテーマにしている。だからまずまず重くて暗い。
『水』これもポイントになっている。
全体的に、どの役者も声を張るようなところは少なくて、オフビートな演技を見せる。しかし、それが退屈な訳じゃなく、まるで水の流れが2度と同じじゃないように、静かに揺らぎ、気持ちを表現していた。
【ちょっと裏話】
映画化するにあたり、原作者の豊田徹也氏と今泉力哉監督が、初対面ながら4時間も話をしたと言う。豊田氏は『僕はいいので、原作ファンと登場人物たちが嫌な思いをしない映画にして下さい』
と言い残して、作品を託されたんだとか。
また印象的に響く楽曲は、細野晴臣さんによるもの。エンドロールはアンダーカレントの意味である「暗流」の暗さに負けない力強さを感じさせる。監督も「全てが解決したわけではなく、温かさと寂しさが混在し、不穏さも残っている」と自身が想像しなかった以上の曲だったと述べている。
【この作品、オススメは?】
人間なんて人に見せてる顔なんか、ほんの一部だと思う。会った人によって対応を変える事はないだろうか。
仲良しの人と職場の人とは違う話し方になるし、表情だって違う。それは嘘にはならない。そーやって皆、生きている。だから、この作品はものすごく人間の深部を描いている時思った。
上映時間、2時間23分と長いと思うだろうが、必要な時間であり、正直私はまだまだ観る事が出来た。原作漫画があって、私は読んだ事がないけど、リスペクトと愛を感じる事が出来たし、映像化する意味というのも、しっかりと表現出来ていたと思う。
消えた夫。
突然現れた男。
探偵、山崎と出会い動き出す。
かなえの心の底にあった、真実。
全てがわかった時、もう涙が止まらなかった。
素晴らしい作品です。超絶オススメ!!
10月6日から公開中。是非、劇場へ!
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投稿を表示これ良かったよねー☺️✨長いけど本当にそれだけの時間が必要な作品!途中でサスペンスなのか?って疑ってしまったけど、今泉監督がそういうのは作らないだろうなぁって。これ原作少し読んだんだけど、めっちゃセリフあるのよ!あえて削って余白を大事にしたんだなぁって感じた。井浦さんの涙で泣いちゃったよ💦
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