「アウトレイジ」 破滅からの脱却。
アウトレイジ 平成22年(2010年)
ストーリー
『アキレスと亀』の北野武監督がヤクザ社会を舞台に豪華キャストの共演で描くバイオレンス・エンタテインメント。ヤクザ社会での生き残りを賭けた組同士のドンパチ、裏で渦巻く悲喜こもごもの権力争いの行方を過激な暴力描写によって紡ぎ出す。
(TSUTAYA DISCASより引用)
新しいバイオレンスのジャンル「アウトレイジ」を創った。
やくざ映画と言えば東映の十八番。鶴田浩二・高倉健の任侠もの、そして実録ものとして一世を風靡した「仁義なき戦い」が終焉し、Vシネマでやや復活した。そして新たな「やくざ」分野の「アウトレイジ」という言葉が生まれた。直訳は「極悪非道」アート系3部作が終わり、15作目は再びバイオレンスの世界へ戻ったというより戻された?北野監督。
冒頭のシーンで漆黒のベンツに浮かぶ上がるタイトル「OUTRAGE」と恐怖心を煽る音楽でキタノブルーから漆黒のキタノへ世界観が変わった瞬間でもあった。
映画館で観た初見の感想は「無駄のないアスリート的な映画」善人のいない世界。
見事なまでに無駄を省いた。感情移入するような生い立ちや家族設定などない。
配役も踊る大捜査線の温和な神田所長役の北村総一朗が関東最大の暴力団山王会組長。青春ドラマの大スター今でもさわやかな三浦友和が山王会の若頭で悪人になっていた。
初期からの北野映画ファンとしては常連の大杉連(最終章で出演)、寺島進にも出てほしかった・・・噂によるとプロデューサーの森さんが2人のキャスティングに反対していたとの事。
単なるやくざ映画ではなくヤクザ社会をフィルターに透した現代社会の人間関係を表現している。
人間は欲望を満たすためには何でもする。
お互いを牽制し、だまし、だまされ、怨念、執念、権力と金
このアウトレイジで描かれている世界観は対岸の火事ではなく、日々の人間関係をうまく表現していると思う。
悪は悪でも徹底的に他人をつかい、自らは手を汚さない悪人、体をはる悪人
それを客観的に見てバカにしている悪人、親分に忠実な悪人、やくざから金を巻き上げる悪人。
悪人キャラのオンパレード。
この作品に感動やハッピーエンドなんてないし、映画の話では済まない「身近にある恐怖」はホラー映画をも凌駕する。
「ソナチネ」や「BROTHER」は「死に場所探し」の破滅型やくざだったがアウトレイジはいかに生き残るかを模索していた。北野監督の死生観が変わったのかもしれない。
刺激が欲しい方、感動物などに飽きた方へお勧めします。
レイトショーで映画館を出た時にやたらと「馬鹿野郎、この野郎」が言いたくなる。
この作品の衣装デザインは黒澤明監督の娘さん黒澤 和子が担当する。作品のキーパーソンである池本組組長(國村準)が着るスーツの襟が2重になっている。池本組長の二枚舌を表現する遊び心がたまらない。
これであなたもアウトレイジ通?登場人物まとめ。
登場人物の関係性を整理してみました。
山王会 関内会長(北村総一朗)
加藤若頭(三浦友和)
山王会系 池元組組長(國村隼)
小沢若頭(杉本哲太)
山王会系 池元組傘下
大友組組長(ビートたけし )
大友組水野若頭(椎名桔平)
大友組石原組員(加瀬亮)
大友組安倍組員( 森永健司)
大友組江本組員(柄本時生)
大友組組員(新田純一)
村瀬組組長(石橋蓮司)池元組長と兄弟分
村瀬組木村若頭(中野英雄)
村瀬組組員飯塚(塚本高史)
警視庁組織犯罪対策課 片岡刑事(小日向文世)
グバナン共和国在日大使(ハーシェル・ペッパース)
大友の女(板谷 由夏)
水野の女( 渡辺奈緒子)
ぼったくりBARのママ( こばやしあきこ)
ラーメン屋店長 (マキタスポーツ)
アウトレイジ 夢のキャスト
ここからは少し私の妄想にお付き合いください。
監督 北野武
総本山榎本組
組長 榎本健一
若頭 森繫久弥
補佐 三木のり平 伴淳三郎
ヒットマン フランキー堺
相談役 八波むと志
浅草深見組
組長 深見千三郎
若頭 渥美清
補佐 関経六
組員 萩本欽一
組員 ビートたけし
客人 石倉三郎
ヒットマン レオナルド熊 ビートきよし
薬の売人 ポール牧
新宿三波組
組長 三波伸介
若頭 由利徹
補佐 橋達也
組員 伊東四朗
組員 戸塚睦夫
流れのヒットマン いかりや長介
客人 小松政夫
大阪浪速組
組長 横山ノック
若頭 上岡龍太郎
補佐 横山やすし
組員 南方英二
組員 桂三枝
ヒットマン 白木みのる
暴力団対策課
部長 獅子てんや(元警官)
課長 小林桂樹
担当 小沢昭一
華
佐久間良子 渥美の女 スパイ
倍賞千恵子 歌手
浅丘ルリ子 クラブのママ
大地喜和子 流れ芸者
梶芽衣子 ヒットマン
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