B級映画の宝箱 AIP映画
オススメ教えて!で「B級映画」をクリックしたところ、まだ趣味は映画さんしか投稿されておりませんね。洋画さんのラインナップを拝見すると二本立ての添え物という感じの作品をB級映画と定義されているようです。そもそものB級映画はそうなのですが、私の場合、最初からロー・バジェット(低予算映画)として消費財的に制作されたものをB級映画と定義して、その代表格であるAIP(American International Pictures)映画をいくつかご紹介いたしましょう。
AIPは50年代頃からSFや恐怖映画(イマドキならホラーと言うんでしょうね。)、犯罪物など低予算の娯楽ものを中心に配給を行ってきました。60年代後期のニューシネマなどにも影響を与え、フランシス・フォード・コッポラ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン、スティーブン・スピルバーグ、ジェイムズ・キャメロンなどの才能を育てたロジャー・コーマンがプロデューサーや監督を務めたことでも有名です。
これから紹介する三作は、現在、50代後半以上の方なら、もしかしてテレビで放映されたものをご覧になっているかもしれませんね。
《巨大アメーバの惑星》 (1959年)
火星に行った4人の宇宙飛行士が帰ってきたら2人だけになっていて、しかも隊長の腕には得体のしれない物体が貼り付いていて人事不省。もう一人の女性科学者も記憶を失っており、彼女の記憶を甦らす過程で火星探検隊に何が起こったかが分かるというのがプロットです。
まぁ、娯楽作品なので、途中々々で出現する火星の怪物の方がメインだったりします(特に男の子にとっては)。ジャケ写の怪物は昔の少年マガジンあたりで「コウモリグモ」と紹介されていたので私の脳内ではそのように名前が浮かんできました。
他には火星の湖みたいなところから出てくる小籠包みたいなのが映画の邦題にもなっている巨大アメーバです。こいつは漫画家あさりよしとおの「宇宙家族カール・ビンソン」にも台風だかで出てきます。
これらの怪物たちもなんだか怖くないというか、どこかのんびりした感じです。イマドキのCGで創造されたエグい怪物を見慣れている若い人なら笑っちゃうでしょうね。


《タイム・トラベラーズ》 (1964年)
これも、その昔、テレビ放映されたときには『未来怪人対原始怪人』なんてB級らしい邦題がついておりました。科学者のグループが過去や未来の風景を見ることができるテレビみたいな装置を開発しているうちに偶然、100年後の世界につながってしまい、さらに映像だけと思われた装置を通ってその場所に入りこむことができることが分かります。そこで止しとけばいいのに全員が未来世界へ入りこんでしまいます。さっきまで装置が不安定だと言っていたのに。
案の定、全員が未来世界に入って間もなく装置が作りだしていた現在と未来をつなぐ窓というか画面というかが閉じてしまいます。慌てる科学者たちを奇妙な外観の集団が襲ってきます。彼らから逃げていた科学者たちが逃げ込んだ洞穴で未来人に助けられ、地球は核戦争のため住むことができず知性のないミュータントだけしかいないこと、わずかな生き残りは地下に住み、移住可能な惑星を求めて旅立つための宇宙船を建造していることを告げられます。科学者たちは未来人に協力して生き残る道を求めます。しかし、ミュータントが建造中の宇宙船を見つけて侵入しようとしたため破壊されてしまいます。未来人と科学者たちの運命は、というところであらすじはおしまい。このあとを書いてしまうとマジでネタバレですから。
プロットを読むとスペクタクルと思うでしょうが、そこは低予算映画、未来人の使役するアンドロイドは変な顔をしていて、しかも製造は家内制手工業レベル、手作業で組み立てています。ミュータントの見かけもチープだし、その辺りはツッコミどころでしょうね。


《デス・レース2000年》 (1975年)
本作はAIPの紹介で書いたロジャー・コーマンが制作した現在ではカルト映画となっている作品です。しかも前二作があまり知られていない俳優しか出ていないのに対して主演がデビッド・キャラダイン、脇役で無名時代ですけどシルヴェスター・スタローンが出ているという点でも珍しい作品です。
タイトルからも分かるように2000年のアメリカが舞台で、独裁国家となり果てたアメリカでは「デス・レース」と呼ばれるニューヨークからロサンゼルスまでの自動車競走を国民の不満を逸らせるために開催しております。このレースは単にゴールまでのタイムを競うだけでなく途中でどれだけの人間を殺したかによって点数がつくという剣呑なしろもの。
前回の優勝者フランケンシュタイン(デビッド・キャラダイン)をチャンピオンの座から追い落とそうとするライバルたち。その一人マシンガン・ジョーを演じているのが無名時代のスタローンです。まぁ、ステロタイプの悪役ですね。彼らの乗る車はジャケ写をご覧になると分かるようにチープというかマンガ的というか、そういうデザインで、それが本作のブラック・ユーモアに似合ってはいます。


このあと、『デリンジャー』、『ドクター・モローの島』、『ナバロンの嵐』など割と普通というか有名俳優を起用した映画も配給されるようになりますが、それがたたってかAIPの経営が傾き、消えていくことになるのは皮肉なものです。
さて、ここで紹介した三作はAIP作品ではまぁまぁ見られる部類です。中には「俺の時間を返せー!」と大声で叫びたくなるような出来のものもあります。どの作品を観れば大丈夫か?それはなんとも言えませんね。ただ、ロジャー・コーマンが演出しているものは割と見られるのは確かですね。いずれB級映画ですからシリアスな映画が好きな方にはオススメできかねますが。
最後に今回、紹介した映画に共通する人物がおります。それはイブ・メルキオー(イブ・メルキオールという表記も見かけますが私は最初に読んだ小説の作者名で覚えているものですから。)です。最初と二作目は監督、三作目では原作です。ヘンな映画を作る人ですから、この三作もヘンです。それでもよろしいという方はご覧になってください。現在、DISCASさんの在庫にあります。
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投稿を表示アイキャッチ映像を差し替えてみました。けど、ちょっとボケてますね。もう少し何とかなるかリトライだな。
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投稿を表示さっちゃんさん
Discover us ではお久しぶりですね。
冒頭に私の名前を出していただき恐縮です。
B級映画の定義は、さっちゃんさんがおっしゃっているとおりだと思います。
Wikiにも 、B級映画の定義として、「1930年代 の アメリカ で始まった短期間の撮影、低予算で、上映時間も限定されたなかで製作された 映画 のこと」と書かれていますしね。
挙げられている3作品は未見ですが、ボク個人的には、エドワード・D・ウッド・ジュニアが監督、製作、脚本。編集を手掛けた「プラン9・フロム・アウタースペース」という作品が、まさにB級の典型だと思っています。
低予算B級SFホラーの、史上最低の映画として名が通っているようです。
3年前に観ましたが、おそろしいくらい退屈でした。(笑)
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投稿を表示コメント失礼します。
あらすじが絶妙に面白そうとB級(低予算)っぽいの間でうろうろしている感じがしますね(笑)
特に「デス・レース2000」あたりは個人的に悪くない題材なんじゃないかと思ってしまいます。今はブーム去ってる感じですが、ちょっと前までディストピア系とかデスゲーム系とかの漫画やアニメが多かったですし。……そう考えるとモンスターパニック系の漫画とかもちょっと前まで多かったですし、上2つも悪くない題材なのかも……?
まぁ、素材の善し悪しはともかくやはり低予算でやるもんじゃないですね(笑)
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投稿を表示あ、しまった。アイキャッチ画像を忘れてた。という訳でとっさにシネマニスト紹介ページのアイキャッチを載っけました。
いずれ、まともなものと変えますのでぼろ隠しと思ってください。ハズカシ~。