貴重なフランス映画作品「落下の解剖学」 鑑賞しました!
■「落下の解剖学(Anatomie d'une Chute)」(2023)
2024年のアカデミー賞脚本賞を受賞した本作は、既に、多くのシネマニストの方々が投稿されているので、今さら感があるが、1か月近く上映されていたので、見逃す事のない様に本日鑑賞した。
広告の動画が英語だったこともあり、フランス映画といいながら、英語版なのか・・とやや期待外れに思っていたが、そんなことはなく、ドイツ人の女性とフランス人の男性のカップルとして英語も使われるが、法廷等の主要な場面でフランス語も登場したので安心した。
45才の若手ジュスティーヌ・トリエが監督・脚本を手掛けたが、女性の監督としては史上3人目の受賞者とのこと。主なキャストはドイツのザンドラ・ヒュラーでアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。監督も主演も、決してポピュラーな存在ではない様に思うが、シリアスなミステリー映画で、フランス国内では観客動員数100万人を突破したというのは素晴らしい。
■話題の本質を考えると・・。(意外に面白い)
多くの方が指摘されている様に、本作は誰が殺したのか?ということは本題ではないのは、タイトルからしても自明。あくまでも、人が落下したという事象に対し、事件(または事故)かを分析することが目的であろう。それを解明するにあたり、USBに収められた録音データや、亡き父親が子供に語った記憶された言葉は証拠の一部ではあるが、それによる主観的な意見は除外されるのは、法廷の長いシーンでわかる。当然、小説のストーリーの内容は遠い情報でしかない。ただ、それらの証拠が出るにあたって、主人公の言動がカメレオンの様に少しづつ変化してくるのは、とても面白い。“最初に女学生が訪れ主人公がワインを飲みながら楽しそうに会話する”とか、”知り合いの親しい弁護士との微妙な関係性”なども、静かで淡々とした山荘の生活のスパイスになっていた。
■音楽のこと
最初のシーンで大音量で流れる曲は、ドイツのファンク系のスティールパンのバンド(Bacau Rhythm & Steel Band)による『P.I.M.P.』で、カリビアン音楽の特徴的な音色を奏で印象的。
また視覚障害のある11才の子息がピアノを、母と連弾したり、ソロで弾いたりする曲は、イサーク・アルベニスのスペイン組曲 第1集 作品47 – 第5番 アストゥリアス(伝説)との事。音楽の担当者の記載はないが、大胆な選曲がされていると思った。
■フランス映画の法廷シーン
フランス映画で法廷が現れるのは、古くはアンドレ・カイヤットの「裁きは終わりぬ」(1950) で、最近では実際にあった殺人事件をもとにした「私は確信する」(2018) 、19Cの冤罪事件“ドレフュス事件”をもとにした「オフィサー・アンド・スパイ」(2019) 、少しだけ法廷場面が登場する「パリタクシー」(2022) 、「私がやりました」(2023)等が思い浮かぶ。
■最後に(フランス映画に愛を込めて!)
ジュスティーヌ・トリエ監督も、これからのフランス映画で活躍する若手プレイヤーの一人。3月20日の「横浜フランス映画祭 2024」のオープニングの「愛する時」のカテル・キレヴェレ監督も若手の女性監督で、フランス映画も若手が活躍する世代に徐々に移行している様に思う。★いずれも、丁寧にシリアスなドラマを紡いでいるので、今後は、コミカルや、遊び等の新しい要素が加わってくると、フランス映画がおもしろくなってくる様に思った。
<余談ですが、20日は「愛する時」の主演ヴァンサン・ラコストが来日しオンライン配信の会場を最後の1席で予約できたのはラッキーだった。>
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投稿を表示犯人特定ではなく、事件を解剖する内容なので賛否両論ありますが、とても良い作品でしたね!脚本賞も納得です😄👍誰もが信じたい事を真実とする、色々と深い映画!
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