「首」 狂人たちの狂演 。
「首」 令和5年(2023)11月23日公開(R15+)
アウトレイジ最終章から6年、ついに新作が公開された。
公開初日の朝8時に映画館へ向かい、作品を鑑賞する。R15もあり、中高年層が多い。予告編や映画泥棒が終わり、ついに公開されるのか!と高揚感でいっぱいになった。
冒頭の題字「首」の字が力強く、まるで首を切り落とすような「残忍」さも感じる。
作品を観て思ったのが「衣装の小綺麗さ」「登場人物の色彩」が印象に残る。
衣装はあの「KUROSAWA」
今作の衣装担当は黒澤明監督の娘である黒澤和子氏。
北野監督作品では「座頭市」や「アウトレイジシリーズ」に関わる。
監督が会見で「大河ドラマ」について触れていたが、その大河では「軍師官兵衛」「麒麟が来る」の衣装デザインも担当している。
今作の台本を読んだ和子氏は「それぞれの役のキャラクターがしっかりしていて、内容もとても大胆で、今まで見たことのない面白いものができるのではとワクワクしました」と話す。
キャラクターを色別する。
まずは狂気の塊である織田信長(加瀬亮)森蘭丸(寛一郎)弥助(副島淳)は「暖色系」
信長は南蛮風の模様や海外の柄の生地を使用し、マントにも海外のアンティークの金物が使用されている。蘭丸は中性的なイメージを出すため、衣装チームで生地を桃色に染めた。弥助はあえてアフリカ風の柄物になっている。
次にお笑い(?)組的なチーム秀吉「羽柴秀吉(ビートたけし)、羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)」の衣装には青やグレー、緑といった「寒色系」
その他、物語上の重要人物である農民・難波茂助(中村獅童)や芸人・曽呂利新左衛門(木村祐一)の着物は土埃や泥で元々の生地の色も分からないほど汚れているが、黒澤さんは「この時代、一番苦しい、辛い思いをしている人たちなので、生地はしっかり汚し、そのせいであまり見えませんが、あえて柄を七宝柄、茄子柄、狛犬模様など明るく、楽しいものにしています」と語っている。
ぜひこの衣装とキャラクターを観てほしいです!!
黒澤和子さんは今年の3月、仕事中に脳腫瘍からの出血により倒れ緊急手術を受けました。一命は取りとめましたが現在は意識がなく闘病生活をされています。和子さんの1日も早いご回復を願います。
それぞれの狂人の違い。紅・黄・青(信号機)
戦国時代と言えば、織田信長、羽柴秀吉、徳川家康。
三者三様の表現として
- 信長「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」
- 秀吉「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」
- 家康「鳴かぬなら鳴くまでまとうホトトギス」
今作では同じ「狂気」でもやはり三者三様の違いを感じた。
〇深紅(しんく)の狂気:織田信長(加瀬亮)
常に赤い色をまとい、すべての人間を焼き尽くしまうようなむき出しな狂気。
〇濃黄(こさき)の狂気:羽柴秀吉(ビートたけし)
弟・羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)を従えているが、不安と緊張感のある発言で黄色信号を発する。
〇淡青(うすあお)の狂気:徳川家康 (小林薫)
天下など興味がない!と言いながらも影武者を立て冷静に様子を伺っている。真っ青より薄いグラデーションの青のイメージ。
織田信長の名言は「人生50年」から「人間生まれたときからす~べて遊びだわ!」へ上書きされた。
北野組「新旧入り乱れのキャストの妙」
時代劇では多数のキャストを要する。そのため北野組オールキャストとなった。
北野作品初期から出演していた寺島進が久々に帰ってきた!今作では般若の佐兵衛で、芸人曽呂利新左衛門(木村祐一)を助ける役目。久々の北野組で寺島進氏はやはり輝いていた。ソナチネで共演した勝村政信(斎藤利三役)との邂逅シーンは胸が熱くなる。同じソナチネに出演していた為三役の津田寛治や北野作品常連の柳憂怜・芦川誠・國本鍾建・仁科 貴・矢島健一(本多忠勝)が出演している。
新キャストとしては家康役の小林薫は新鮮かつ、北野組との相性が抜群ではないかと思う。これからは家康=小林薫と言っても過言でないほどキャストのピースとして大ハマりした。
そして、加瀬亮の振り切った演技、西島秀俊の苦悩する明智光秀像を見事に演じた。不気味な千利休の岸部一徳など個性的なキャストもこの作品の見どころ。ぜひ劇場にてご覧ください!!
公式ページはこちら
ファイナル予告
「首」に関する記事
特報! 北野武監督 最新作「首」カンヌプレミア出品へ。
https://community.discas.net/announcements/f5sp0whjjqcqkbvm
速報!! 映画「首」北野武監督 日本外国特派員協会で会見。 「首」の次は・・・セルフパロディ?
https://community.discas.net/announcements/taxrghykbcp17jrq
映画「首」を観て思った事。
ツービート時代から常に「※アンチテーゼ」を発してきたビートたけし。
そのアンチテーゼを長年描かれてきた「美化された戦国時代のものがたり」に対して「戦国時代の武将は大体がろくでなし・人でなし」を北野流のエンタメとして映像化した作品。
※アンチテーゼは反対意見、反対理論という意味
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示衣装にも注目して観てきたいと思います。。黒澤さん早く良くなって頂きたいですね。
今回は特にキャストの豪華さも目立ちますが、歴史上の人物を役者さん達がどう演じてるのかも気になるところ。
歴史の定説を監督がどんな裏切り方をするのか、どんな世界を見せてくれるのかワクワクしてます☺️
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示本日、鑑賞しました。キャラごとの衣装の色使いがとても綺麗で戦ものの生ぐささが吹き飛ばされてましたね。小林薫の家康もどハマりで楽しく鑑賞しました。色に例える狂気!ピッタリです。
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示