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私の好きな映画

飛べない魔女
2024/03/19 17:42

歴史に埋もれた先住民虐殺事件をあぶり出した力作~キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン~

面白かった。でも、長い!3時間26分はさすがに長い!

 

スコセッシさん、作る映画がどんどん長くなってませんか?アカデミー賞でも司会者にこの作品の長さをいじられていましたよね(笑) あ、でも、2019年の「アイリッシュマン」が210分だからこの映画の方がちょとだけ短いです(;^_^A 

今年のアカデミー賞ではで作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、作曲賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、歌曲賞の10部門でノミネートされましたが、結果は無冠に終わりました。

とはいえ、歴史に埋もれた先住民虐殺事件をあぶり出した力作です。アメリカのみならず全世界で差別と暴力の連鎖を断ち切れないでいる人間たちへのメッセージが込められた作品です。多くの方に見て欲しいと思いました。(現在はAPPLR TV+のみで配信中です

 

🎦キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン🎦

2023年 アメリカ

監督:マーティン・スコセッシ

出演:レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デニーロ、リリー・グラッドストーン

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あらすじ(シネマトゥデイより)


 

実話を基にしたデイヴィッド・グランの「花殺し月の殺人--インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を実写化したサスペンス。石油を採掘したアメリカ先住民の部族から富を奪おうとたくらむ白人たちの姿を、ある男女の恋を絡めながら描く。監督は『沈黙 -サイレンス-』などのマーティン・スコセッシ。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などでスコセッシ監督と組んできたレオナルド・ディカプリオのほか、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンス、リリー・グラッドストーンらが出演する。

20世紀初頭のアメリカ・オクラホマ州。先住民族のオーセージ族は、石油を掘り当てて莫大な富を得るが、その財産を狙う白人たちが彼らに近づく。白人たちはオーセージ族を言葉巧みに操っては財産を次々と取り上げ、やがて命までも奪っていく。悪事が加速していく中、オクラホマを訪れたアーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)は、オーセージ族の女性モーリー・カイル(リリー・グラッドストーン)と出会って恋に落ちる。

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🎦みどころ、その1 ~ディカプリオの眉間の皺とへの字口~


今や演技派俳優の一人となったディカプリオですが、本作でも叔父ウィリアム・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)の言いなりで何でも言う通りに動くアーネストを熱演。終始眉間に皺をよせ、口がへの字状態で、あの美しかった青年時の面影はもはやどこにもありません。戦争帰りで叔父を頼ってこの地にやってきたアーネストは、叔父に命じられるまま、オーセージ族の女性モーリー・カイルに接近していきます。目的はカイル家が石油から得た巨額の富です。もともとオーセージ族は短命のようですが、この地では裕福になったオーセージ族の財産目当てに多くの白人男がオーセージ族と結婚しているのです。そして主人がインディアンでメイドや運転手が白人という構図がこの町では普通のことになっていました。

そんな策略の中でモリ―と結婚したアーネストですが、やがて本当に彼女を愛するようになります。叔父の言葉は絶対なので、納得いかないことも渋々引き受けるアーネストの感情があのへの字口に表れているようでした。

モリ―への愛がありながらも、叔父に命じられるままに、妻の命さえも奪うことを余儀なくされる男の苦悩の表情は見事でした。

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🎦みどころ、その2~決して目は笑っていないデ・ニーロさん~


オーセージ族の友であり相談役を装っているウィリアム・ヘイルは一見優し気な眼差しで彼らに接していますが、目は全然笑っていません。今回の一番の悪役です。自分では決して手を下さず、表に出ることなく、甥や手下に命じて人の命を平気で奪う冷血漢。目的を遂げるまでは容赦ありません。この地では顔役であり既に名声と富を築き上げているのに、より富を求めるという欲深い男です。演じるデ・ニーロさん、さすが御大、凄みある演技には圧倒されました。

アーネストが「おじき」と呼ぶと、「ビルでいい、もしくはキングと呼びなさい」と言いますが、これは「キング」と呼ばなければお仕置きよ、ってことですよね?(;^_^A いやはや、この一言の台詞にだけでも怖さを感じて鳥肌が立ちました。

スコセッシ監督とデ・ニーロさんがタッグを組むのはたぶんこれが10作目(間違っていたらごめんなさいm(__)m)。監督が「私のルーツを知っているのはデ・ニーロだけ」と言うくらいに信頼関係が出来ている二人です。因みに、スコセッシ監督とディカプリオがタッグを組むのは6作目です。監督のお気に入りの二人の俳優を起用してるところにも本作への意気込みを感じます。

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🎦みどころ、その3 ~アカデミー主演女優賞にノミネートされたリリー・グラッドストーンの渾身の演技~


アメリカ先住民族として史上初めてのオスカー主演女優賞ノミネートを果たしたリリー・グラッドストーン。有力候補とされていましたが、結果は皆さんご存じのように、「哀れなるものたち」で強烈なインパクトを残したエマ・ストーンに輝きました。疑いの思いを抱きながらも、夫アーネストを信じて生きていくオセージ族の女性モリー・カイルを見事に演じていてとても印象に残りました。アーネストが「君の瞳はとても綺麗だ、何色というの?」と聞くと「私の色よ」と毅然と答える姿が美しかったです。目力があり凛としたその佇まいには、決して男に惑わされることはないように見えましたが、次第に体が弱っていくにつれ、やつれて気弱になっていきます。彼女には糖尿病があったことから、それを利用して悪意ある画策がヘイルによってなされるのです。モリーはアーネストと離婚したあと再婚するも50歳の若さで亡くなったそうです。

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これは実話です。富を得るためなら人の命を殺めることはなんとも思っていない人間の非情な話です。本当にこんなことがあったとは酷い話です。ぜひ製作者たちの心意気を感じて下さい。(長いけど(;^_^A)

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2 件の返信 (新着順)
じゅーん バッジ画像
2024/03/20 11:26

観たいと思ったけど、やっぱりこの長さがネックで観に行きませんでしたー。なんとなーく「ゼアウィルビーブラッド」風味を感じてます。あれも長くて淡々としていて。そして役者の演技に魅了され、面白いというかなんだか虜にさせられた感じでした!Apple以外にも配信来ないかなぁ。(出来れば見放題で)


飛べない魔女
2024/03/20 12:11

じゅーんさん、コメント有難うございます♪
そうなんです。私も長いなと思い劇場に見に行く勇気がありませんでした(笑)
「ゼアウィルビーブラッド」風味というのは当たりかもしれません。
本作はそのうちDVDレンタルが始まるのではないかと思っております。

趣味は洋画
2024/03/19 22:14

新作にお強い魔女さん、さすが情報ツウですね。

リリー・グラッドストーンが出ているのですね。
しかもアカデミー賞(主演女優賞)にノミネートされたのですか...。
私は先日、「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」(2016年)を観たばかりなので、彼女の自然な演技がまだ印象に残っています。

「アイリッシュマン」も観たいけど、ネットフリックス限定のようですね。
会員になるなど、一歩踏み出せばいいのでしょうけど、なかなかDVDから抜け出せません。

新作の面白さ、素晴らしさ、アタマでは分かっているけど、ついつい古い作品を選択してしまいます。トシ取った(ずっと前からジジイですが)証拠ですね。
2024.03.19


飛べない魔女
2024/03/20 12:09

いつも読んで下さり有難うございます♪
「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」は見たことがないのでリストインしました!
というか、実は今までリリー・グラッドストーンという女優さんを知らなかったのです(;^_^A

「アイリッシュマン」ですが、私は途中で挫折しておりまして、最初から見ないとストーリーも覚えていない状態でございます。ネットフリックスの映画なので、DVDになることはないかもしれません。

ずっと前からジジイですが。。。って、大笑いしまた(^^)/