絶望の先に奮い立つ「レヴェナント 蘇りし者」
夏真っ盛りなこの頃、極寒の雪山を舞台にした作品はいかがでしょうか。
今回は忘れられない終わり方・ラストが強烈な映画ということで「レヴェナント 蘇りし者(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督、2015年)」をとりあげてみます。坂本龍一による音楽とともに、作品世界に呑み込まれそうになるラストはまさに強烈です。
実話ベースの
サバイバル・アドベンチャー&復讐劇
ときは西部開拓時代、アメリカ北西部。白人ながら先住民と結婚した猟師ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、妻亡き後、息子ホークを男手ひとつで育て上げます。

先住民の言葉を解すヒューと成長したホーク(フォレスト・グッドラック)は、毛皮ハンターの一団にガイドとして同行。そこへ突然、毛皮を狙う先住民たちが襲撃してきます。弓矢の雨をくぐり抜け、親子を含む生存者たちは命からがら砦を目指すことに。

その道中、ヒューはさらなる危機に直面します。巨大な熊に襲われ重傷を負うのです😱 一命を取り留めたものの動けない瀕死のヒューが目撃したのは、団の一員フィッツジェラルド(トム・ハーディ)による許しがたい凶行でした。自身の余命はわずかと思われるなか、決死の復讐へと乗り出します。
先住民や熊からの奇襲は序章に過ぎなかったとばかりに、次々と危急存亡の危機を切り抜ける展開が続き、とにかく釘付け👀
実在した猟師ヒュー・グラスを描いた「蘇った亡霊 ある復讐の物語(マイケル・パンク著)」を原作としており、これほど過酷な状況が実話ベース?!と驚きです。
奇跡の生還者ヒュー:ディカプリオ
壮絶な死闘をいくつも乗り越えるヒューを演じたレオナルド・ディカプリオは、この役で米アカデミー主演男優賞に5回目となるノミネートを受け悲願のオスカーを獲得しました。それに値すると思わずにいられない凄まじい演技に圧倒されます✨ ディカプリオ作品は必ずみる私、受賞時は心底胸アツでした。

「レヴェナントrevenant」
=蘇った存在であり、つまり生者の世界へ戻ってきた死者(亡霊)を意味しています。
ちょっとネタバレになりそうですが、この作品のラストについては、ひとによって解釈が変わるものではないかしら・・と感じています。彼は生還したのか、それとも・・?
ラストカットの、吸い込まれそうなヒューの表情は、とても意味深です。
この作品をみた他の方は、どんなふうに感じたか、ぜひきいてみたい・・!
愛は死んだ。憎しみだけが生きている。
死んでもおかしくないほどの難局を何度も生き延びたヒュー。
彼は「俺は死など恐れない。もう死んでいるから」と言います。大切なものをすべて失い凍てついた彼の心は、死んだも同然なのです。
本作のキャッチコピー「愛は死んだ。憎しみだけが生きている。」もやはり絶妙ですね・・!
絶望を超えて奮い立つヒューの心情を、見事に表していると感じます。


