【映画】『KIDDO キドー』感想・解説・レビュー
『KIDDO/キドー』
母と娘の逃避行が描く
親子の絆と成長の物語
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』の
ショーン・ベイカー監督も「子どものような好奇心と大人のリアリティに満ちた見事なデビュー作!」と絶賛した映画『KIDDO キドー』。
監督を務めたのは、そのビジュアルセンスと遊び心あふれる作風で注目を集めているオランダの新星、ザラ・ドヴィンガー。
ベルリン国際映画祭に正式出品、カンヌジュニア映画にも選出され、60~70年代音楽が彩る、アメリカン・ニューシネマ風ロードムービーが誕生した。
この度、本作の配給宣伝会社カルチュアルライフ様からのお声掛けで、マスコミ試写会へ参加させて頂きました。

【あらすじ】
ママがやって来る!児童養護施設で暮らす11歳の少女ルーのもとに、離れ離れだった母親のカリーナから突然連絡が入る。自称ハリウッドスターのカリーナは、再会を喜ぶルーを勝手に施設から連れ出し「ポーランドのおばあちゃんのところへ行く」と告げる。カリーナにはルーとずっと一緒にいるための、ある計画があったのだ。「人生はゼロか100かよ、キドー(お嬢ちゃん)」。ルーは破天荒な言動を見せるカリーナに戸惑いながらも、母親と一緒にいたいという思いでついていくのだが。
『KIDDO キドー』公式より引用
母と娘の関係は、ときに言葉では表現できないことがある。血のつながりがあるからこそ深く、厄介でもある。それは、ただ家族だからという一言で片付けられるようなものではない。
本作は、そんな繊細で揺れ動く母娘の関係を、ユーモアと愛情を交えて描いた作品だ。
登場するのは、児童養護施設で暮らす11歳の少女ルーと、久々に現れた実の母カリーナ。
再会してすぐにルーを連れ出し、ふたりでポーランドを目指すロードムービーが始まる。
でもただの旅ではなく、「母としてのやり直し」を願うカリーナと、「母という存在を探し続けて」きたルーとの、心の距離を縮める感情の旅でもある。


カリーナは決して「理想の母親」ではない。
自称“ハリウッドスター”で、どこか浮世離れした存在。精神的に不安定で、子育てを放棄してしまうこともある。
しかし、ルーの母になりたいという願いが彼女を突き動かしていた。
そんな彼女のモットーは「人生ゼロか100」常に100%で愛そうとする姿は、痛々しくもあるが、同時に人間味にあふれている。
もし0%になってしまったら、突然姿を消してしまいそうな危うさも秘めている。
一方のルーは、母親との思い出がほとんどない中で、どこかで“普通のママ”を求めている。
再会した母はあまりにも型破りで、二人の間には価値観や記憶のズレが横たわる。
言葉にできない寂しさや戸惑いを抱えながらも、手探りで心を通わせようとする ルーの姿に胸を打たれずにはいられない。そんな不器用で切実な思いが、温かく描かれている。


また、監督のインタビューにもあるように、
本作の特徴は子どもの視点を大切にしていることだ。
アニメーションや効果音、ポップな演出は、
シリアスになりがちな物語にユーモアがプラスされ、子供らしい感性を表現している。
衣装チェンジを楽しんだり、ボニー&クライドになりきる姿は、束の間の幸せを楽しんでいるように見える。
そして何より心に残るのは、完璧じゃない親子の姿だ。
大人になりきれない母カリーナと、子どもながらに現実を見ている 娘ルー。
そんなアンバランスな二人が、物語のラストには、言葉にしなくても通じ合える空気をまとっている。確かな絆が生まれていたのだ。
『KIDDO キドー』は、人生や子育てに“正解”なんてないことを教えてくれる。ときには逃げてもいい、完璧でなくてもいい、大切なのは自分なりに誰かを大切に思う気持ちなのだと。
今、何かに迷っている人、自分のままでいいのかと悩んでいる人にこそ、この映画を観て欲しい。そして思う。次はどんな“逃避行”を見せてくれるのか。ルーとカリーナにまた会いたくなる、愛おしい作品だった。
映画『KIDDO キドー』は4月18日より全国の劇場で順次公開予定です。
監督:ザラ・ドヴィンガー
出演:ローザ・ファン・レーウェン、フリーダ・バーンハード、マクシミリアン・ルドニツキ、リディア・サドウカ 他
原題:KIDDO|オランダ|2023年|91分|カラー|オランダ語・英語・ポーランド語|フラット|5.1ch|PG12
日本語字幕:近田レイラ|字幕監修:松本俊
後援:オランダ王国大使館、ポーランド広報文化センター
配給・宣伝:カルチュアルライフ
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投稿を表示かこさんの記事拝見し、とってもみたくなりました✨カリーナのキャラが、スゴく興味深いですね✨私は子どもたちとの関係、タメ息の連続(大切に思う気持ちとか、本当、伝わらない😱)ですので、元気をもらいたい✊誘拐⁉️くらいのカリーナの存在感というか、勢いが、作品みるまえから伝わってきますね
ショーン・ベイカー監督も絶賛されてるとのことで、なお気になります😆