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私の好きな映画

cine-ma
2023/06/21 19:34

2023年に観た映画(20) 「パリタクシー」

№20
日付:2023/5/27
タイトル:パリタクシー | UNE BELLE COURSE
監督・共同脚本:Christian Carion
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン3
パンフレット:あり(¥880)
評価:6

 

今から20年前に1年間だけ営業部署を担当した事があって、当時の営業って昼間は客先に出ているのが当たり前で、定時を過ぎるとメンバーが続々と帰社してそこから見積もりや提案書の作成を始める。この頃は毎日のように終電間際の帰宅が当たり前で、当時の職場だった外苑前から自宅のある神奈川県の大磯までは、高速代と深夜料金含めて2万4千円。これがなかなか快適で、わざと終電に間に合わない時間まで仕事をしたものでした。外苑前でタクシーを拾う際には、必ず個人タクシーが来るまで待ちました。何より車格がワンランク上(クラウン・クラス)なのと、運転手さんがベテランでやっぱり安心感がありました。

本作に登場するタクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)は、出来る事なら絶対に乗り合わせたくない粗野でイラチで乗客が乗っていても周りに罵声を浴びせるようなタイプ。随分と切符も切られているようで、いつ警察に呼び止めらるかとこっちが冷や冷やしてしまう。色々とお金にも困っているようなのですが、困窮振りまでは良く分からない。

そんな彼がお客として乗せた92歳の女性、マドレーヌ(リーヌ・ルノー)を目的地まで送り届ける1日を描いた本作。寡黙な運転手とのランデブーを少しでも楽しもうと話しかけるマドレーヌの身の上話に、シャルルも観客も次第に引き込まれていきます。パリ市内の主だった名所を巡るので、観光も兼ねた人生のロードムービーのようでもあります。これ、日本でも東京の街並みで簡単にリメイクできそう(山田洋次監督あたりで)。

観終わって涙に暮れながら、どこか釈然としない部分が残ります。現代を舞台にした昔話か寓話の類いなのかこれはとも思うし、晩年の彼女の社会活動を考えれば、お金の使い道に色々とツッコミたいところも出てきてしまう。
そういった作品のモチーフに対する疑問や納得感の薄さを、主役2人の味というか人間味が消し去ってくれてもいます。
人に歴史あり。情けは人の為ならず。といった映画でした。

(c)2022 - UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS, PATHE FILMS, ARTEMIS PRODUCTIONS, TF1 FILMS PRODUCTION
(c)2022 - UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS, PATHE FILMS, ARTEMIS PRODUCTIONS, TF1 FILMS PRODUCTION
(c)2022 - UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS, PATHE FILMS, ARTEMIS PRODUCTIONS, TF1 FILMS PRODUCTION
(c)2022 - UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS, PATHE FILMS, ARTEMIS PRODUCTIONS, TF1 FILMS PRODUCTION

 

パンフレット(¥880)

<CONTENTS>
・イントロダクション
・ストーリー
・インタビュー リーヌ・ルノー&ダニー・ブーン
・インタビュー アリス・イザーズ
・キャスト
・人生の最終章で未来へ託されるマドレーヌからのバトン 酒井順子(エッセイスト)
・パリ・マップ マドレーヌとシャルルが巡るパリ再発見の旅
・女性たちが闘いの末に手に入れた“今” 浅野素女(フリージャーナリスト)
・インタビュー クリスチャン・カリオン
・監督&スタッフ
・国民的スターでありながら庶民性を失わないヒューマニストとしての2人の魅力 佐藤久理子(文化ジャーナリスト)
・タクシーという特別な空間で描かれる美しき友愛物語 よしひろまさみち(映画ライター)

 

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