モリコーネの血管にはメロディが流れている
モリコーネ 映画が恋した音楽家
(2021年・イタリア、カラー及び一部モノクロ、157分)
2020年7月6日、偉大なる映画音楽家が世を去った。エンニオ・モリコーネ、享年91歳。
彼が作曲した映画音楽は、短編映画やテレビ映画を含めると720曲を超えると言われている。驚異的な作曲数だ。
その内、私が鑑賞した作品は、たったの34本である。
本作は、エンニオ・モリコーネを師と仰ぎ、深い親交をもつジュゼッペ・トルナトーレ監督が、貴重な映像と多くの関係者のインタビューを交えて手掛けたドキュメンタリー映画。 無論、モリコーネ自身が半生を振り返りながら、栄光の映画人生を語っているのが根幹である。
とはいうものの、モリコーネが関わった代表作の名場面が次々と映し出され、そこに懐かしのメロディーが絡むのであるから堪らない。
「荒野の用心棒」(64年)、「夕陽のガンマン」(65年)、「続・夕陽のガンマン」(66年)、そして「ウエスタン」(68年)、シビレる西部劇の名シーンが続く。これらはすべてセルジオ・レオーネ監督である。
自分の鑑賞作品の中で、次に挙げる名画の音楽もモリコーネが手掛けていたこと、あらためて感慨深い。
「天地創造」(66年)、「殺しが静かにやって来る」(68年)、「赤いテント/SOS北極...」(69年)、「タランチュラ」(71年)、「エスピオナージ」(73年)、「狼たちの影」(75年)、「オルカ」(77年)、「天国の日々」(78年)、「華麗なる相続人」(79年)、「遊星からの物体X」(82年)、「アンタッチャブル」(87年)、「フランティック」(88年)、「シャドー・メーカーズ」(89年)、「カジュアリティーズ」(89年)、「バグジー」(91年)、「ザ・シークレットサービス」(93年)、「ディスクロージャー」(94年)、「Uターン」(97年)、「ミッション・トゥ・マーズ」(00年)等である。
一方で、作品のイメージから、モリコーネの音楽であると確信できる(又は想像できる)作品もあった。
「続・荒野の1ドル銀貨」(65年)、「シシリアン」(69年)、「真昼の死闘」(70年)、「夕陽のギャングたち」(71年)、「死刑台のメロディ」(71年)、「ミスター・ノーボディ」(73年)、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(84年)、「ミッション」(86年)、「ニュー・シネマ・パラダイス」(89年)、「ステート・オブ・グレース」(90年)等。
彼は2007年、第79回アカデミー賞に於いて「名誉賞」を受賞、クリント・イーストウッドが笑顔でオスカーを渡している。
又、2016年、第88回アカデミー賞に於いて、「ヘイトフル・エイト」で念願の「作曲賞」を受賞した。
遅すぎた受賞だったのか、或いは、アカデミーによるモリコーネへの謝罪の意味もあったのか...。
クリント・イーストウッドが、モリコーネの曲を評している。
‘「荒野の用心棒」は音楽が独創的で、あれほどオペラ的な西部劇の曲はなかった’ と。
モリコーネと関わりのある(あった)映画人たちのコメントも随所に登場。
監督では、ベルナルド・ベルトリッチ、ダリオ・アルジェント、オリバー・ストーン、バリー・レヴィンソン、ジュゼッペ・トルナトーレ等々。
音楽家では、ハンス・ジマー、ジョン・ウィリアムス、クインシー・ジョーンズ、ジョーン・バエズ等々。
勿論、「ヘイトフル・エイト」を監督したクエンティン・タランティーノのコメントも。
誰かが言った。 ‘彼の血管にはメロディが流れている’
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投稿を表示かずぽんさん
早速のコメントありがとうございます。
お気づきのように、本作に限ってはレビュー広場にアップしたものをそのまま投稿しました。
エンニオ・モリコーネという音楽家の一端を、少しでも多くの方々に知っていただきたいという
その思いからです。
映画マガジンはDISCASレビュー広場とは異なる空気があります。
まるでSNSのような発信の洪水に閉口しておりますが、まあボクのようなジジイでも
投稿を受け付けていただけるのですから、もうちょっと頑張ってみようと思っています。
2023.12.08