力ずくでも怖がらせる清水崇監督の本気『あのコはだぁれ?』
■あのコはだぁれ?
《作品データ》
『呪怨』『犬鳴村』などのホラー作品で知られる清水崇監督の最新作で、2023年の『ミンナのウタ』の続編作品! 自分の作った曲を聴いた人間を自分の世界に引き込む新たなホラーアイコン少女「高谷さな」シリーズの2作目にあたる。
30年前に飛び降り事故が起きた中学校を舞台に、学校に残る怨霊「さな」が新たに巻き起こす惨劇を描く。主演は元NMBの渋谷凪咲、共演に山時聡真、早瀬憩、染谷将太、そしてさな役には引き続き穂紫朋子がキャスティングされている。
・丸の内ピカデリー他全国ロードショー中!
・配給:松竹
・公式HP: https://movies.shochiku.co.jp/anokodare-movie/
《『あのコはだぁれ?』レビュー》
宣伝文で「『ミンナのウタ』のスタッフが再集結!」と書かれても「それ、誰が喜ぶ?」と疑問がメガ盛りな再集結の『あのコはだぁれ?』。昨今では「怖くないホラー」問題が顕著なJホラー界隈ではあるが、雑な展開ではあるが久しぶりに
「意地でも怖がらせてやろう!」という気概がムンムンな作りで、最近の清水崇監督作品では比較的楽しめたかも。
30年以上前に起きた校舎からの飛び降り事故が起点となる学園ホラーで、前半は30年前のシーンと、現代の駅前のロータリーで起こった交通事故など、エピソードに繋がりが見られずに不満な立ち上がりで、その上、『ミンナのウタ』でもあったサイモン&ガーファンクルの「Sound of silence」の出来損ないのようなピアノや鼻唄に苛つかされる。
が、意外にもその「Sound of silence」の出来損ないソングとカセットレコーダーを上手く使い、呪い系のホラー映画の展開になっている。ボロい屋敷や「Sound of silence」もどきの曲、あとマキタスポーツなど『ミンナのウタ』との共通点がありながらも微妙に続編のようなアナザーストーリーで、まさかの進化版になっている。一見、関係なさそうな染谷将太のシーンも無理矢理ではあるが繋がりもあり、ホラーになっている。呪いのやり方は『着信アリ』に近いがあそこまでしっかりしてないし、後半はファンタジー要素も多い。
しかしながら、監督の「見る人を怖がらせよう!」という思いはヒシヒシと伝わってくるので、最近の同監督の作品の中では一番頑張っている。けど、もう少し1992年のシーンとの繋がりをスムーズにすればもっとのめり込めたかも。思いきってマキタスポーツを主演に抜擢すれば最高のコメディーホラーが出来るんだけど、惜しい。