「画家ボナール ピエールとマルト」を劇場で鑑賞!
◆はじめに
3月の横浜フランス映画祭で先駆けて上映された作品が、劇場公開されたので、秋の上映のタイミングに合わせて、忘れない様に参った。
◆「画家ボナール ピエールとマルト(Bonnard, Pierre et Marthe)」(2023)
フランス人画家ピエール・ボナール(1867-1947)とその妻マルトの知られざる半生を美しい映像で描いた伝記映画。
1888年に結成された「ナビ派」を代表する画家で、印象派とポスト印象派との間を結ぶ架け橋とみなされるピエール・ボナール。彼は生涯の伴侶となる女性マルトに出会ったとき、彼女が自分の人生と仕事になくてはならない存在になるとは思いもしなかった。「幸福の画家」であるボナールにとって、マルトは単なるミューズをはるかに超えた存在となる。2人は当時の常識からかけ離れた破天荒な愛の形を営みながら、その生涯をかけて充実した芸術的成果を生み出していく。
「夜明けの祈り」のバンサン・マケーニュがピエール、「ヒアアフター」のセシル・ドゥ・フランスがマルトを演じ、アヌーク・グランベールがミシア役、アンドレ・マルコンがクロード・モネ役で共演。「5月の花嫁学校」「ヴィオレット ある作家の肖像」等の作品を手掛けたマルタン・プロボが監督と脚本を手掛けた。
◆気になるシーン
●ミシア・セール
本当に、いろいろなことがつながっているとつくづく思う・・・・。
ボナールは幸福(Bonheur:ボヌール)の画家なのかもしれないが、既に、食べていける為のパトロンに恵まれていた。ミシア・セールというポーランド系のピアニストは、先般の「ボレロ 永遠の旋律」で、ラヴェルのミューズとしてプラトニックな関係が描かれてはいたが、実態がよくわからないので、あえて感想に入れなかったが、こちらの映画では、やり手の女性で、ボナールとの親密な関係のある女性として描かれ登場する。ラヴェルの映画では、気品のある女性として描かれていた。
会話では“最近若い作曲家にご執心だね”という会話に、ミシアは“ラヴェルね”と答えている。劇中では、ドビュッシーのピアノ曲を披露している。(上映後に確認したところ、ボナールとラヴェルは個人的にも親しくしていたことがわかった。住んでいた所も近かった様。)
●クロード・モネ
最初の郊外の家は、クロード・モネのジベルニーとも近いのか、交流があった様だが、劇中では、ボナールが珍しそうな青い色の睡蓮を庭でみつけたので、見せようとしているシーン等は印象に残る。またアンドレ・マルコンがモネ役で出演している。妻と息子に先立たれ、さみしそうな様子だった。
●浴槽にいるマルト・絵を描くマルト
病気でもあったせいで、浴槽にいる時間を沢山とったらしいマルトだったので、そのシーンを紹介する。ボナールの絵画作品も、そのシーンが多い様。
後半は、油彩ではないが、亡くなった愛犬等の絵を描き始める様になり、パリで個展を開いたりしている。
◆感想(劇場・俳優・女優)
本日は初めて吉祥寺のUPLINKに行ってみた。こじんまりした座席ではあるが、落ち着いて鑑賞できそうに思った。セーヌ河の河畔で、のびのびと裸で泳ぐピエールとマルトは、幸せそうであった。大画面で観れたのは心地良かった。
ヴァンサン・マケ―ヌは、中年の頃のボナールの写真とそっくりに思うし、自身のヘアスタイルがそのままいかされている。ジェラール・ドパルデュー的と言われる様だが、少し小ぶりながら、自然体の演技ができる魅力のある俳優である。
セシル・ドゥ・フランスも気取ったエレガントな役(「ある秘密」、「幻滅」)も似合うが、ちょっとコミカルな方が良い気がする。「シスタースマイル ドミニクの歌」はどうよ・・と思うが、「モンテーニュ通りのカフェ」の女性ギャルソン役は可愛くてかっこよいと思う。
マルタン・プロボ監督の作品は、派手さはないが、しみじみと良さが伝わる渋い作品が多い様に思う。
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秋にみたい画家がテーマの映画「画家ボナール ピエールとマルト」
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