エミール・ゾラと親友のセザンヌの映画
◆エミール・ゾラのプロフィール
エミール・ゾラ(1940-1902)のプロフィールを知るには、「ゾラの生涯」(1937)という映画作品もあるが、より素顔にせまる作品としては、友人のセザンヌとの関係を描いた「セザンヌと過ごした時間(Cezanne et moi)) 」をご紹介する。
南仏のエクスに参った際に、セザンヌのアトリエに寄ったこともあり、風景や静物画を知る限りは、温和な画家の様に思えていたが、人との付き合いが苦手な人格であることがわかった。一方、苦労人のゾラに関しては、着実に功績を挙げている。
ポール・セザンヌ(1939-1906)は、ポスト印象派の画家として近代絵画の父とされているが、評価されるのは晩年になってからになる。
◆「セザンヌと過ごした時間(Cezanne et moi)) 」(2016)
ダニエル・トンプソン監督が、幼なじみの画家ポール・セザンヌと小説家エミール・ゾラの数十年におよぶ友情と決別の顛末を描いたドラマ。主演はギヨーム・カネとギヨーム・ガリエンヌ。セザンヌ没後110年を記念した作品でもある。
1852年、南仏エクス=アン=プロヴァンス。貧しい家の少年ゾラは、いじめられているところを裕福な銀行家の息子セザンヌに助けられ、ゾラはお礼にリンゴの籠を贈る。これをきっかけに2人は友情を育み、固い絆で結ばれていく。やがてゾラが詩人を目指してパリへ移ると、セザンヌも父の反対を押し切り、画家への道を決意しパリへとやって来る。しかし、なかなかアカデミーに認められず、不遇の日々を送るセザンヌ。そんなセザンヌとは対照的に、小説『居酒屋』がベストセラーとなり、作家として成功を収めたゾラ。同じくパリに出て絵を描き始めたセザンヌはなかなか評価されず、落ちぶれていく。そんな時、ゾラがある画家をモデルにした小説を発表したことで、2人の友情に亀裂が入ってしまう。
◆主演の個性
ギヨーム・カネは、マリオン・コティアールのパートナーで男児を設けていることで知っているが、監督も手掛けており、なかなかのやりての俳優の様。ギヨーム・ガリエンヌの方は「イブ・サンローラン」(2014)でピエール・ベルジュ役で好演だったので興味深い俳優と思う。