ここでしか観られない珠玉の短編作品
最近はジブリパークばかりが話題に上がりがちですが、2001年に開館した“三鷹の森”の映像展示室「土星座」では、ここでしか観賞出来ない宮﨑駿脚本・監督作品が10作品(2024年時点)も上映されています。私は未だにコンプリート出来ていません・・・
①やどさがし(原作・脚本・監督:宮﨑駿)
↑の少女がごらんの荷物を詰め込んで山中を旅する話ですが、全編タモリさんと矢野顕子さんの擬音だけで話が進みます。絵も緻密に描かれるのではなくデッサン自体がゆるいパターンの、「みんなの歌」形式とでも言いましょうか、いずれにしろ短編ならではの実験的な作品。
②水グモもんもん(原作・脚本・監督:宮﨑駿)
「千と千尋の神隠し」で、式神に追い立てられる龍の動きをリアルに描く為に、監督がスタッフに蛇の生態や動きを懸命に説明するメイキングの映像が印象に残っていますが、こちらの短編もそんな宮﨑節満載の佳作です。擬人化されながらも昆虫達の特性がアニメならではのダイナミズムで生き生きと描かれると共に、水面を浮遊感たっぷりに疾走してくれます。
③星をかった日(脚本・監督:宮﨑駿)
井上直久氏の原作にインスパイアされた宮﨑さんが独自の世界観に再構築しており、大人が観ても心揺さぶられるSFファンタジー的宮﨑ワールドが広がります。
星を買って育てる・・・もうこれだけでも心躍ります。何だか誰もが夢見るようで実は思い付きもしない、けれどそんなシーンを目の当たりにすると、子供心そのままに羨望のまなざしで魅入ってしまいました。"On Your Mark"がくたびれた大人のファンタジーだとすれば、こちらは子供目線のそれにあたります。
一度きりでは理解しづらいところもあり、何度も観たい作品です。
④めいとこねこバス(原作・脚本・監督:宮﨑駿)
よく同人誌なんかで人気アニメのその後を描いたような話が載ってたりしますが、こちらはまぎれもなく本家が描くトトロの森のその後のエピソード。
また監督がしばしば「子供の為に」と自らの作品作りの動機について語ってらっしゃいますが、この作品を前にしたら、大人も子供も完全に同じ目線、同じ精神年齢でスクリーンを見つめてしまう事になる。
メイに、ネコバスに、そしてトトロに再び会えたその瞬間に、隣のお姐さんも前の子供も、そして当然いい歳をした私も、計ったように歓喜の声が同時に湧き上がってしまいます。
⑤パン種とタマゴ姫(原作・脚本・監督:宮﨑駿)
土星座8作目にあたる作品。音楽は久石譲氏が担当。
監督の十八番的な組立て方式の上に成り立っているお伽の世界。風呂敷を広げ過ぎず、詰め込み過ぎず、登場人物だけでなく、作品自体が躍動するような楽しさ。自由感と開放感。そしてそのディテールは、細部までこだわって組み立てられたジオラマ模型のようでもあり、想像力も掻き立てる。
実験的な要素も少なく、宮崎ワールドを満喫できるショート・フィルムとして楽しめました。少々過去の引き出しを再利用した感もありはしますが、逆にそこがまたファンには嬉しい要素だったりもします。
ジブリ美術館の入場券が、そのまま土星座の観賞券に。当日使用せず、次回訪問時の利用も可能です(利用時にスタンプ押してくれます)。
私が土星座で観賞した作品は、まだこの5作品のみ。未見の作品があと5本も残っています。老後の楽しみですw。
私にとっての宮﨑アニメ体験は東映まんがまつりの「長靴をはいた猫」、クライマックスの塔を駆け登るあの胸のすくシーンから始まりました(当時は誰が描いたなどという認識は当然全くありませんでしたが)。それと比べても、今の子供達はなんと幸せな幼児体験が出来るだけの作品に恵まれている事だろうと、しみじみ思います。
未だDVDになる予定を聞かない、宮崎監督自身の手による短編作品の数々。ジブリ美術館を訪れなければ絶対に観ることが叶わない珠玉の作品群は、この美術館最大のキラー・コンテンツであり続けてもいます。
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投稿を表示今年、ジブリパークには行ったんですが、いつか三鷹の方も行きたいと思ってました✨こんな短編が10作品も観られるの?知らなかったです!!
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投稿を表示ジブリパークは行ったことあるのですが、美術館の方はまだ行けておらず、今回記事読ませていただき、とても行きたくなりました!
コンプリート目指したいです!!
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