あなたも狙われているかもしれない
ネット内での怒りが突然姿をみせる!
集団心理の恐ろしさを描いた
『Cloud クラウド』
他人事ではない、今を象徴した映画
黒沢清監督2024年公開の作品では
「蛇の道」「Chime」に続き3本目のとなります、『Cloudクラウド』も面白かったです!
こちらの3本は、監督の好きなもの、怖いと思うもの、やりたいことを全て詰め込んだ作品だと実感致しました。
【スタッフ】
監督、脚本:黒沢清
撮影:佐々木靖之
編集:高橋幸一
美術:安宅紀史
音楽:渡邊琢磨
【キャスト】
菅田将暉 古川琴音 奥平大兼 岡山天音
赤堀雅秋 吉岡睦雄 三河悠冴 山田真歩
矢柴俊博 森下能幸 千葉哲也 松重豊
荒川良々 窪田正孝
【目次】
1.すでに何かが起きている
2.切迫した生活を送る人々
3.前半パート、後半パート
4.作品に欠かせないアイテムと音
5.まとめ
【あらすじ】
転売屋を主人公に描くサスペンス・スリラー。転売行為を繰り返す中で少しずつばらまかれた小さな憎悪が、ネットの闇を通るうちに巨大な悪意へと成長し、集団狂気となって真面目に転売業に勤しんでいた主人公の日常を破壊するさまをスリリングに描き出す。
工場で働きながら副業で転売屋をしていた吉井。工場を辞め本格的に転売業に精を出し、少しずつ軌道に乗り出した矢先、彼の周囲で不審な出来事が起き始める。
(allcinemaより引用)
1.すでに何かが起きている
冒頭から不穏な空気が充満しています。
主人公の転売屋・吉井良介と、彼に振り回される人々との間にすでに気持ちのズレが生じています。吉井は感情がないと言ったほうが正しいのか、感情が動くときは物が売れ、
sold-outの文字を見たときです。
本人は真面目に転売をしているだけですが、売れば売るほど画面の向こう側で冷静ではいられない人々が増殖し続けているのです。
まさにタイトルのCloud、雲のように。
2.切迫した生活を送る人々
ネットカフェで生活する人物、新しい事業を始めたいが行動できない人物、家族に損害を与えた人物、収入面でも切迫した生活を送る人々が多数登場します。その切迫した気持ちを表現しているのが、荒れた部屋です。
今回は監督作品の象徴ともいえる揺れるカーテンが見当たらない。家庭がテーマではないので当たり前かもしれませんが、部屋が荒れていく様子は本作のポイントで、切迫した状態から抜け出せずもがく様子を表現しています。吉井は転売は好調でも、いくつかの不穏な出来事が彼の生活をかえて行きます。
吉井=(イコール)一人勝ち!という恨み嫉みが集団狂気となり、遂に目の前に現れます。
それを吉井にぶつけるのが、黒沢作品常連の俳優や演技派俳優が演じているのだから見応えあり、彼らの行動は狂気の沙汰です。
3.前半パート、後半パート
前半が静なら、後半は動。後半はガンアクション中心です。
監督は念願叶ってのガンアクションという事ですが、監督作品初見のかたは、あまりの変わりように置いていかれます。
しかし、知らないところで怒りをかい、その怒りが突然目の前に現れた、と考えたら分かりやすいと思います。
他の作品でも見られる廃工場、しかも至近距離で銃を打つ様子は黒沢作品では珍しくありません。銃撃戦にも関わらず淡々と進められる様子は、残酷でも迫力があります。
4.作品に欠かせないアイテムと音
歴代作品を鑑賞済みのかたは気付くかもしれません、黒沢作品ではおなじみの共通アイテムが存在します。
「トウキョウソナタ」「Chime」などでは、揺れるカーテン。ピアノの音色や薄暗い部屋でとる食事。ほかにも無機質で白を基調とした病院内などが多くみられます。
では今回は何が登場するのか、
先程も触れた廃工場と囚われた主人公を中心に置く構図、そしてビニールカーテンなど。
特にビニールカーテンは「散歩する侵略者」「回路」などにも登場、薄汚れた様子と物語の不透明さがマッチしていて、黒沢ファンにはたまらないアイテムだと思います。
ビニールカーテンが登場した時、驚きと嬉しさを隠せなかった自分がいます。
それに加えて不協和音も映画をより不穏にする為には必須!セットで黒沢作品です。
5.まとめ
黒沢監督は、得体のしれない何かに主人公が翻弄され、徐々に変化していく様子を描くのが得意だと思います。
本作はそれが"怒りの具現化"いうことで比較的理解しやすい内容となっていました。
今回のレビューでは、細かい人物像、かなり意外な重要人物については触れていないので、劇場で確かめて頂けたら幸いです。
またラストシーンも色々な解釈ができます。
例外なく主人公の吉井は何かに翻弄されてしまったのか、それとは反対に吉井を悩ませていたものから解放されたのか、語りたくなる作品でした。
すでに次の作品が楽しみです!それまでは過去作を再鑑賞したいと思います。
読んで頂きありがとうございました😄
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示ビニールカーテン、ヤバい映画の定番アイテムですね。ラース・フォン・トリアー監督作品『ハウス・ジャック・ビルト』や、あと確か『武器人間』でも出て来た。
ラストの二人のあのシーンもカタルシスがありますよね。あれこそまさしくカタルシスだと思います。
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示黒澤清監督はまだ触れていないので、かこさんの記事でより気になりました
得体のしれない何かに主人公が翻弄され、徐々に変化していく様子を体感したいです!(^^)!
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示