2025年に観た映画(53) 「爆弾」

公開日の随分前から思わせぶりな予告を繰り返し放映する、いかにもフジTVらしい戦略が鼻についていた本作。危うくスルーするところでした。
得体の知れない中年男が匂わす爆破予告。次々と的中する“予言”を前にして、警察と被疑者が繰り広げる心理戦。
まるで舞台劇のような、取調室という密室での捜査一課強行犯捜査係と被疑者との駆け引きにまんまと引き込まれました。警察同様に観客の側も、佐藤二朗さん演じる謎の被疑者の一挙手一投足に振り回される。事件のカギを握る彼が提供するヒントに誘導される警察と観客。伏せられたカードが1枚ずつめくられるように、事件の背景が徐々に明らかになる。
警察組織内の因縁や過去の不祥事を匂わせながら、混濁する善悪の境界線。密室の攻防と外界で起こる爆破事件とがクロスカットで描かれることで、同時進行のドラマとして緊張感が増す。犯人との頭脳戦に陥りがちな展開に、事件現場で嗅覚を発揮する2人の交番巡査の命懸けの行動が血を通わせる。謎多き無差別爆破事件の真相を巡る警察と被疑者の攻防に、最後の最後まで息つく暇がありませんでした。
上映時間137分はオープニングからエンドロールまでアイドリングなしのスリリングな展開。脚本担当(八津弘幸&山浦雅大)の頑張り感じます。永井聡監督作品は初体験ですが、「恋は雨上がりのように」を観に行っておけばよかったと今更(遅い!)後悔。そして主役の佐藤二朗さんは言うに及ばず、筧一郎、染谷将太、坂東龍太、伊藤沙莉、渡部篤郎、山田裕貴と、曲者俳優たちの好演も際立っていました。
観終わって灯りが点いた時点で、隣の妻と思わず顔を見合わせてしまいました。間違いなく一級品のサスペンス・クライム・ムービー。ある種邦画離れした感のある、見応え十分なエンタテインメント作品でした。
№53
日付:2025/11/24
タイトル:爆弾
監督:永井聡
劇場名:109シネマズ湘南 シアター6
パンフレット:あり(¥1,100)
評価:6.5







- CAUTION!完全ネタバレ仕様
- イントロダクション
- ストーリー
- インタビュー 山田裕貴
- インタビュー 伊藤沙莉
- インタビュー 染谷将太
- インタビュー 坂東龍汰
- インタビュー 寛一郎
- インタビュー 渡部篤郎
- キャスト
- インタビュー 佐藤二朗
- インタビュー 永井聡 × 呉勝浩
- 人物相関図
- タイムライン
- マップ
- トリビア
- プロダクション・ノート
- テーマ・ソング
- スタッフ
- クレジット
