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Stella
2024/02/22 17:03

女性監督アニエス・ヴァルダの活動のアートの世界 「アニエスによるヴァルダ」

女性映画監督アニエス・ヴァルダの遺作(ドキュメンタリー)

   2019年3月(90才)に乳癌により永眠した、生涯現役を貫いた女性映画監督アニエス・ヴァルダの遺作で、長編劇映画監督デビュー作「ラ・ポワント・クールト」(1955)から、数々の映画賞に輝いた「顔たち、ところどころ」(2017)までの作品を通し、60年以上にわたるキャリアをヴァルダ自身の言葉で、劇場の聴衆の前で振り返った映像になる。

 彼女の映画に対する信条は“ひらめき・創造・共有”。

(c)cine tamaris 2018

 

アニエス・ヴァルダとは?

   ベルギー生まれ。第二次世界大戦を逃れフランスに渡る。映画監督になる前は写真家としてジェラール・フィリップ等の役者の写真等を残している。映画業界のキャリアはなく長編デビューした。

   映画監督の「シェルブールの雨傘」(1964)のジャック・ドゥミと1962年に結婚し、彼と共に「ヌーヴェル・ヴァーグ左岸派」と呼ばれた。

 1965年の『幸福』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、1985年の『冬の旅』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞している。2017年の第90回アカデミー賞で、長年の功績を称え名誉賞が授与された。

 

■アニエス・ヴァルダの作品(共作は除く)[Wikipediaを引用]

黄色の部分は、見た事がある作品。

  • ラ・ポワント・クールト La Pointe Courte(1955) - デビュー作、編集アラン・レネ
  • コートダジュールの方へ Du côté de la côte (1958) - 短編
  • マクドナルド橋のフィアンセ(1961)
  • 5時から7時までのクレオ Cléo de 5 à 7 (1961)
  • 幸福 Le Bonheur(1965)
  • 創造物 Les creatures(1966)
  • ブラックパンサーズ Black Panthers(1968)-短編
  • イランでの愛の悦び Plaisir d'amour en Iran (1976)
  • 歌う女・歌わない女 L'Une chante, l'autre pas(1977)
  • 壁画・壁画たち Murs, murs(1981)
  • ドキュモントゥール Documenteur (1981)
  • 冬の旅 Sans toit ni loi (1985)
  • カンフー・マスター! Kung-Fu master (1987)
  • アニエスv.によるジェーンb. Jane B. par Agnès V. (1987)
  • ジャック・ドゥミの少年期 Jacquot de Nantes (1991)
  • Les demoiselles ont eu 25 ans (1993)
  • 百一夜 Les Cent et une nuits de Simon Cinéma(1995)
  • 落穂拾い Les Glaneurs et la glaneuse(2000)
  • 落穂拾い・二年後 Les Glaneurs et la glaneuse... deux ans après (2002)
  • Quelques veuves de Noirmoutier(2005)
  • アニエスの浜辺 Les Plages d'Agnès(2008)
  • 顔たち、ところどころ Visages, Villages(2017)

 

■主要な作品と感想

(1)5時から7時までのクレオ(1961)

 本人も代表作と言っているが、低予算という制約で、短時間でパリで取った作品。ヒロインは歌手のコリーヌ・マルシャンがシャンソン歌手役で出演するが、ピアニストでミシェル・ルグランも出演している。挿入歌「Sans Toi」が気になっていたが、マイナーな曲のため楽譜は見つからなかった。

 パリの街で、バスで移動、帽子を買う、公園を歩く等のシーンのモノクロ映像が、おしゃれで美しかった。

(c)agnes varda et enfants 1994

 

(2)幸福(1965)

 幸せな家庭に、突然忍び込んだ夫の不倫・・・。ガラスが割れた様な結末に大きな痛みを感じる。ヴァルダは“夏の桃の果実に潜入した虫”というたとえをしているが、なるほどと思う。使用するモーツアルトの曲についても、通常は明るいイメージの作品とされているが、死を感じるとコメントがあった。 

(3)百一夜

 各種映画を博物館の様に収集しているオムニバスの作品ミシェル・ピコリが主演になるが、多くの著名な女優や俳優が登場し、映画祭の様に華やかな作品。これだけの人を吸引できるのはアニエス・ヴァルダの総合力によるところが大きいと思う。動く映画写真集の様だ。

 

■これから観たい作品

 数年前に、女性監督作品の上映シリーズが企画されたが、あまり鑑賞できなかった。今回の本作でも解説があったので、サンドリーヌ・ポネール主演の「冬の旅」を鑑賞してみたい。改めてアニエス・ヴァルダの作品は、「幸福」等は別として、ドラマ性が少ないので、構成、制作過程等を中心に鑑賞するのが面白いと思った。

 

■その他

 ヴァルダの仏語は聴き取りやすかった。写真を皮切りに、音楽のセレクト、ヴィジュアルアートへのチャレンジ等のアートのセンスは抜群。自身のバイ・カラーのヘアスタイルもおしゃれで、個性が際立っている。

 

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