2025年に観た映画(15) 「ドマーニ!愛のことづて」

うちの近所(神奈川西部)だとイオンシネマ茅ヶ崎のみで上映されていた本作。なんとなく気になって劇場に足を運びました。
第2次大戦終了直後の伊ローマを舞台に、夫、義父、年頃の娘と幼い兄弟2人と共に暮らすデリア(パオラ・コルテッレージ)の日常を描いたモノクロ映画。
知ってました?「夫唱婦随」ってググると、未だに夫婦の仲が非常に良いことを意味する四字熟語として紹介されているって。ちょっとビックリ。
夫唱婦随≒男尊女卑だったのは何も昭和以前の日本だけの常識に非ず。夫にこき使われ、娘に蔑まれる“スーパー主婦”デリアの悲惨な日常の連続を、イカす音楽とダンスを交えて時にコミカルに、時にシリアスに描く。
古き良き?悲惨な笑い話?(どれもみんな疑問符が付く)を、なんでこんなにも格好良く描けるのか。監督、脚本、主演を務めるパオラ・コルテッレージは、俳優、声優、脚本家、コメディアン、歌手といった肩書がずらりと並ぶ、伊の国民的人気女優であると紹介されています。そして本作はそんな彼女の初監督作品。いやはや恐れ入りました。性格が滲み出てくるような人間描写の巧みさと、颯爽としたテンポの良い演出。私の世代においてもお勉強映画の対象に過ぎない“ネオレアリズモ”や“イタリア式コメディ”といったかつてのムーヴメントを、鮮やかに今の時代に蘇らせたかのような。古き良き伊映画へのリスペクトの念も感じつつ、最後は胸がすく痛快な作品でした。
欧州非英語圏の作品はどうしても観る機会が限られてしまいますが、配給会社にも感謝です。この日が茅ヶ崎での上映最終日でしたが、駆け込みで観に行ってホント良かった。これからもっと上映館数増えて欲しい作品です。
№15
日付:2025/3/27
タイトル:ドマーニ!愛のことづて | C'E ANCORA DOMANI
監督・共同脚本:Paola Cortellesi
劇場名:イオンシネマ茅ヶ崎 screen5
パンフレット:あり(¥900)
評価:6.5





<CONTENTS>
・イントロダクション
・ストーリー
・確かなヴィジョンを備えた映画作家パオラの誕生 野村雅夫
・監督プロフィール/コメント
・キャスト・プロフィール/コメント
・スタッフ・プロフィール
・プロダクション・ノート
・パオラ・コルテッレージ監督インタビュー
・トーク・イベント報告
・音楽にも配慮した周到な映画作りで魅せる“女性の物語” 大森さわこ
・彼女たちはすでに自由が何かを知っていた… 睡蓮みどり
