男はつらいよ!入門編?ファン目線による渥美清の魅力とは!
渥美清=寅さん。
男はつらいよ!の主人公、車寅次郎を演じた※渥美清。芸名より「寅さん」として認識された喜劇役者。※本名は田所 康雄(たどころ やすお)
渥美清が語る役者、理想的な演者とは?
役者とは「舞台の上、スクリーンの中だけで勝負をするもの」。を心情にしていた。
演者の渥美清が語る理想の演者については「一番いいのは歳やその人の素性(どこの出身、何をしてきたか)がわかんない方のがいい。よくあの人は愛妻家でとても子煩悩であたたかい家庭があって、芝居もうまい・・・観る側はつまんね~と思う。それよりも何が何だかわからない、ひょっとして泥棒でもしたきた方のがおもろい」と語った。そんな渥美清はプライベートを明かさなかった。
渥美清ファンが感じる!3つの魅力とは?
〇活舌の良さ
寅さんの真骨頂として口上(こうじょう)や啖呵売(たんかばい)のセリフのテンポと活舌の良さがたまりません。
渥美清は東京上野で産湯をつかり、子ども頃は闇市で見た※テキ屋が話す、口上や啖呵売を聞きいつの間にか覚えてしまった。
本人曰く、「口上や啖呵売なんてのを覚えても何の役にはたたねぇ~」と思っていたが、まさか映画の主人公になり披露することになるとは。人生には無駄な経験はございませんぜ。
※口上 ・・口頭で述べたり、伝えたりすること。歌舞伎や落語家の襲名披露を説明すること。
※啖呵売・・大声で威勢よく、巧みな話術でその商品の効能を述べて物を売ること。
※テキ屋・・人が多く集まる場所、人通りが多い場所で露店や興業を行う人の事。
主な啖呵売口上
- 四谷(よつや)・赤坂(あかさか)・麹町(こうじまち)、ちゃらちゃら流れるお茶の水、いきな姐ちゃん立ちションベン
- 白く咲いたが百合(ゆり)の花、四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水臭い。
- たいしたもんだよ!かえるの小便、見上げたもんだよ屋根屋のふんどし。
- やけのやんぱち、日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが、わたしゃ入れ歯で歯が立たないよ。
- 結構毛だらけ猫灰だらけ、おしりの周りはクソだらけ。
※啖呵売のシーンでは1.5倍速は厳禁でございやす。
映画『男はつらいよ』(第1作) 予告編映像
すたみなのちょいと豆な話:この啖呵売(たんかばい)を口伝(くでん)または大きな紙に書き、食事前に 唱和(しょうわ) すると唾液分泌を促し誤嚥を防ぐ効果?と笑いに包まれ楽しい雰囲気にもなります。
〇表情の豊かさ
渥美清の顔は一度見たら忘れない印象を与え、喜劇役者として最大の武器をもっています。男はつらいよ!を演じる時にもその武器を最大限に発揮し、変幻自在にあやつり、シーンごとに変わる表情を見るだけでも男はつらいよ!を見る価値があります。
特に印象に残る表情のシーンは「新・男はつらいよ 【第4作】」では競馬で大勝した寅さんが叔父夫婦とハワイへ行くことになり、オリンピック選手団のような国旗入りのジャケットを着た時の表情はなんとも言えない高揚感を感じる表情が印象的です。
〇自然体に見える演技
渥美清は元々、※浅草フランス座演芸場東洋館でコントをしていた舞台芸人でした。フランス座でも寅さんの原形みたいなテキ屋風のコントもやっていたので、映画でも何か特別演じることはなく、昔みたテキ屋像をそのまま寅さんに投影していたので車寅次郎=渥美清になっていた。
劇中、このシーンはアドリブ?と思われるシーンもあるので、そのシーンを探してみるのも男はつらいよ!を観る醍醐味かも知れません。
※浅草フランス座演芸場東洋館・・・元々はストリップ劇場。ストリップの合間のコントを演じていたのが八波むと志・渥美清・谷幹一・関敬六・東八郎・萩本欽一・ビートたけしなど。
浅草フランス座と本場フランスとの関係
ビートたけしは浅草フランス座出身でその後にフランスから「 日仏にて 大衆芸術の発展への熱心な関わり」の功績を称え、仏レジオン・ドヌール勲章を授与された。
そして今(令和5年、2023年)フランスで「男はつらいよ」が公開され大人気。「おフランスでね~世の中、何が起こるかわからねぇ~なぁ」と寅さん風に。