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私の好きな映画

cine-ma
2025/04/07 11:40

2025年に観た映画(18) 「片思い世界」

合唱の魅力ってなんでしょう?うちの娘も小学生時代にやっていて、練習を参観したり発表会を聴きに行ったりしたものでしたが、一生懸命に口を大きく開けて歌う姿も可愛らしいし、その歌声が心に沁みるんですよね。合唱という演奏形態でエバーグリーンな名曲といえば、やっぱり「旅立ちの日に」とかですかね。
この作品で劇中歌として歌われる「声は風」も、とっても胸に響きます。もう涙涙です。

花束みたいな恋をした」から4年、撮影中の事故による公開延期といったトラブルを乗り越えて、土井裕泰 × 坂元裕二が紡いだ世界は、それはそれは後を引く、切なくて哀しくて愛おしくて、健気で優しさに心締め付けられる素敵なお伽噺でした。

前作同様、スクリーン上の情報量がとても多い監督さん。ディテールへの拘りが半端ない。徐々に観客の視界が広がる坂元さんのストーリーテラーとしての如才のなさも遺憾なく発揮されていて、この世界の生みの親としての作家性も感じてしまう。一生懸命他者に寄り添う彼女たちに、観客もまた寄り添おうと試みる。それが叶わぬと知りつつ。
「広瀬さん、杉咲さん、清原さんの3人でお話を作れないかな」という坂元さんの発案から出発したそうですが、こういう形で作品が結実すると、脚本家冥利に尽きるのではないだろうか。個人的には広瀬すずさんの女優としての円熟振りが一際印象的でした。

観賞後、私は大好きな筒井康隆先生の七瀬シリーズを思い出した。続けようと思えば続けられる、彼女たちのその後。もし可能なら一緒に見守り続けたい。そんな気持ちにさせる作品でした。

№18
日付:2025/4/6
タイトル:片思い世界
監督:土井裕泰
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN4
パンフレット:あり(¥1,200)
評価:7

(c)2025『片思い世界』製作委員会
(c)2025『片思い世界』製作委員会
(c)2025『片思い世界』製作委員会
この値段を安いと感じる超分厚いパンフレット(¥1,200)

<CONTENTS>
・解説
・物語
・インタビュー 広瀬すず
・インタビュー 杉咲花
・インタビュー 清原果耶
・『片思い世界』に寄せてレビュー 山崎ナオコーラ(小説家、エッセイスト)
・キャスト
・『片思い世界』に寄せてレビュー 荻野洋一(映画評論家)
・インタビュー 横浜流星
・インタビュー 田口トモロヲ
・インタビュー 西田尚美
・インタビュー 坂元裕二
・インタビュー 土井裕泰
・『片思い世界』に寄せてレビュー ケラリーノ・サンドロヴィッチ(劇作家、演出家)
・インタビュー 鎌苅洋一(撮影)
・インタビュー 小林拓(撮影)
・インタビュー 佐久嶋依里(美術)
・インタビュー 立花文乃(衣装)
・『片思い世界』に寄せてレビュー 西森路代(フリーライター)
・スタッフ
・プロダクション・ノート
・合唱曲
・クレジット

 

 

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1 件の返信 (新着順)

合唱をやっている者からしたら、合唱がモチーフになっていると知ると、やたら興味を持ってしまうんですよね。
今度、こどもたちと歌うのですけど、彼、彼女らは楽譜を持たず暗譜で歌います。
大人たちは楽譜にかじりついています。ある指揮者の方は、指揮をしていても
大人は楽譜を見て、指揮をみてくれないけど、こどもたちは指揮を見て歌ってくれる。こどもたちのほうが伸びしろを感じて、やりがいあるーと言ってました…


cine-ma
2025/04/08 11:30

コメントありがとうございます。
確かに子供達のつぶらな瞳は全員指揮者の方を向いてますもんね!バッチリ視線合っちゃいますね(笑)
本作にとって、合唱はとても大事で大切なモチーフでありプロットでもあり、合唱が本来持つ魅力が映画を救ってもいるような、そんな気がしています。
劇中歌の「声は風」を聴きに、もう一回劇場に足を運びたいなーと思ってます。