2023年に観た映画(27) 「君たちはどう生きるか」
№27
日付:2023/7/14
タイトル:君たちはどう生きるか
監督・脚本:宮崎駿
劇場名:T・ジョイ横浜 シアター4 ※Dolby Cinema
パンフレット:あり(¥820)
評価:7
作品のあらゆる情報を公開日当日まで封印した本作。情報統制はスピルバーグ作品なんかでもよく行われていましたが、ここまでの徹底振りは前代未聞。やれば出来るんだと妙に感心もしてしまうし、これが出来るのも宮崎監督作品だからこそだとも。個人的には常に事前に漏れ出る情報を排除して観賞に臨んでいるつもりでしたが、まさにゼロ状態での観賞となった。宮崎駿監督82歳。今度こそ最後の長編作品になるであろう本作を、朝の8時から最も没入可能な上映方式にて観賞。
先ずは前作を超えたアニメーションにおける群像劇の活写に驚嘆。アニメーター宮崎駿の最新作はその公開を記念してTV放映されたナウシカと観比べれば、技術面でそれはそれは圧倒的な進化を遂げています。
一方で、世界観の情報過多と登場人物の多さとが、124分では描き切れない(≒124分では薄っぺらな)関係性を生んでしまい、各エピソードが広く浅く、起承転結の抑揚を捉え難い。劇場版としての制約にジレンマも感じてしまいました。
日本アニメの創成期と共に育った我々の世代は、言わば幼少期からアニメーター宮崎駿の作品に触れてきました。「長靴をはいた猫」のクライマックスに心躍った我々からすれば、宮崎作品の成功は必然でしかなかった。金も時間も掛けた新作に出会える幸せも、これで終わりか。
「ナウシカ」や「ラピュタ」のような作品の再来を期待してやまない観客からの心ない感想が多数寄せられている本作ですが、宮崎駿監督のメッセージはこれまでの作品も踏まえれば割とストレートに伝わる。今回描かれた時代以上に難儀な時代に向けた、尊敬する先達でもある老人の最後っ屁として受け止めたくもなりました。
<CONTENTS>
・イントロダクション
・作品解説
・長編企画覚書
・クレジット
と、ほとんど活字のない内容。