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Stella
2024/10/14 19:29

映画作家 ジャンヌ・モローの作品(上映中)

◆はじめに

 ジャンヌ・モローの監督作を一挙上映する「映画作家 ジャンヌ・モロー」が10月11日から開催され、短い期間ながら上映されるので、ご案内する

   70年代から80年代にかけて作られた、女性(たち)をめぐる3つの監督作を上映し、監督第1作「リュミエール」とドキュメンタリー作品「リリアン・ギッシュの肖像」は日本の劇場では初めてのロードショー公開となる。第2作の「ジャンヌ・モローの思春期」の方は、2年前に公開された際にInstagramに投稿していたものを、そのまま転載する。

◆「リュミエール (Lumiere)」1976

 4人の女優の欲望と葛藤、そして連帯をあざやかに描いたドラマ
南フランスの別荘へバカンスにやって来たサラ(モロー自身)、ラウラ、ジュリエンヌ、キャロリーヌの世代の異なる4人の女優たち。親密な友情で結ばれた彼女たちは、1年前のパリでの思い出を語り始める。若き監督トマや医師グレゴワールと浮き名を流しながらドイツ人作家ハインリヒへの情熱に生きるサラ、夫と子どもを世話するだけの生活に焦るラウラ、自身のイメージの殻を破ろうと試行錯誤するジュリエンヌ、今後のキャリアや束縛する恋人との関係に悩むキャロリーヌ。それぞれの愛と人生の形を振り返っていくなかで、サラの前に現実の死と孤独が迫って来た。
 ドイツの名優ブルーノ・ガンツがハインリッヒ役で共演し、音楽はタンゴ音楽に革新をもたらした作曲家アストル・ピアソラが手がけている。

LUMIERE(c)1976 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THEATRE, LE CINEMA ET L' ENFANCE. TOUS DROITS RESERVES
LUMIERE(c)1976 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THEATRE, LE CINEMA ET L' ENFANCE. TOUS DROITS RESERVES
LUMIERE(c)1976 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THEATRE, LE CINEMA ET L' ENFANCE. TOUS DROITS RESERVES

◆「ジャンヌ・モローの思春期(L' Adolescente)」(1979)と所感

 ・・・中旬から女性監督のフランス映画作品イベントがあり、昨日ジャンヌモローの2番目の監督作品「ジャンヌ・モローの思春期」を観に行った。あまり知られてない様だけど、戦争直前のフランス人の平和だった生活の一片を描いていて、女の子が大人になる時期の初恋と美しい母親の一時の不倫を重ねた、淡い思い出を南仏を舞台に描いた美しい作品だった。音楽もフィリップ・サルドで美しいバイオリンの弦楽が作品を格調高いものにし、最後は主題歌に合わせたシャンソンが歌われた。大好きなジャンヌ・モローのナレーションも聴きもの。(後でシャンソンの日本語歌詞も発見)
 また祖母役の名女優シモーニュ・シニョレの貫禄と存在感は、アランドロンとの共演の「帰らざる河」を思い出す。<しかしイヴ・モンタンと結婚した頃の「嘆きのテレーズ」(ゾラ原作)は絶頂期の美しさを残していると思う。>

★トリュフォーの映画「突然炎のごとく(JULES et JIM)」で歌われる「つむじ風(Le tourbillon)」が入ったCDも買って聞いていたところ。

L' ADOLESCENTE (c)1979 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THEATRE, LE CINEMA ET L' ENFANCE. TOUS DROITS RESERVES
L' ADOLESCENTE (c)1979 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THEATRE, LE CINEMA ET L' ENFANCE. TOUS DROITS RESERVES
L' ADOLESCENTE (c)1979 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THEATRE, LE CINEMA ET L' ENFANCE. TOUS DROITS RESERVES

◆「リリアン・ギッシュの肖像(Lillian Gish)」( 1983)

 サイレント映画期からハリウッドで活躍した歴史的女優リリアン・ギッシュに迫ったドキュメンタリー。1893年にオハイオ州で生まれたリリアン・ギッシュは、「國民の創生」「散り行く花」などD・W・グリフィス監督作への出演でサイレント映画期を代表する俳優となり、トーキー映画の時代に入ってからも、ジョン・ヒューストン監督作「許されざる者」など数多くの作品で活躍、71年にはアカデミー名誉賞を受賞した。83年の夏、モローはニューヨークでギッシュにインタビューを敢行し、彼女との対話を通して、その好奇心に満ちた人生と映画の歴史を浮かび上がらせていく。

LILLIAN GISH (c)1983 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THEATRE, LE CINEMA ET L' ENFANCE. TOUS DROITS RESERVE
LILLIAN GISH (c)1983 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THEATRE, LE CINEMA ET L' ENFANCE. TOUS DROITS RESERVE

◆◆「リュミエール」の所感

 リュミエールの方は、「映画の父」と称されるリュミエール兄弟にオマージュをささげた作品「リュミエール!」(2016)と共通するが、フランスでは、「思春期」の方が多数の観客を動員できた様である。南仏のモローの別荘が撮影場所となっていて、趣味の良い調度品やマティスの絵画等が登場し、優雅な気分になる。

 1年前の悲しい事件を回顧する際に、モローは自身の作品の撮影の時に、ピストルを見せられて号涙するのだが、それは「雨のしのび逢い」の際に最後に叫ぶシーンを想起してしまう。

 全般、4人の女優の群像劇の仕立てではあるが、モローの恋愛劇が主体となっており、ブルーノガンツと愛を交わした後にイングマール・ベルイマンの映画を話題にする等も、なかなか秀逸な演出だと思う。思春期もそうだったが、モローの音楽への拘りもあり、情熱的なアストラ・ピアソラの楽曲が起用され刹那的な生きざまを感じさせる。

 

◆◆「リリアン・ギッシュの肖像」の所感

 サイレント映画時代の巨匠とされるD・W・グリフィスの大作の主演者であることを確認したが、最近「八月の鯨」の2回目を鑑賞したこともあり、親しみを持ってみることができた。リリアン・ギッシュ(1893年生)とベティ・デイヴィス(1908年生)は15歳の年齢差があったが妹役として出演している。妹の方は、口うるさい姉と違い優雅で愛らしく可愛いタイプの女性であった。

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1 件の返信 (新着順)
Black Cherry
2024/10/14 22:59

ジャンヌ・モローに監督作品があるとは…!👀知りませんでした
リリアン・ギッシュのドキュメンタリーも撮っていたのですね、興味深いです☺️