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2024/10/04 16:32

10月11日公開   マイケル・ケインの引退作『 2度目のはなればなれ 』

10月11日公開の『 2度目のはなればなれ 』

 

  

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退役軍人のバーナードは妻のレイと暮らす老人ホームを抜け出した

89歳の老人が行方不明のニュースは大騒ぎとなったが、彼はノルマンディー上陸作戦70周年式典にどうしても参加すべく抜け出した

彼が妻とはなればなれになるのは人生で2度目のことだった。

実話に基づく物語で 原題は『 THE  GREAT  ESCAPER  』 あの『 大脱走 』( THE  GREAT ESCAPE )と掛けたタイトルですね。

 

マイケル・ケインの引退作ですが、もう一つの注目ポイントは妻レイを演じたのがグレンダ・ジャクソン( 1935 ~ 2023 )で、彼女の最期の出演作であることです。

                            

                        予告編はこちら

 

と言っても グレンダ・ジャクソンって誰 ? という方が現在は大半かと思います。

彼女は先ごろ亡くなったマギー・スミス(1934~2024),ヴァネッサ・レッドグレイブ(1937~ )ジュリー・クリスティ(1940~ )らと同世代で、1960年代後半から70年代にかけてブレイクしたイギリスのトップ女優の一人。

たとえば『 クインメリー /愛と悲しみの生涯 』(1971年)ではヴァネッサ・レッドグレイブがメアリー・スチュワート、グレンダ・ジャクソンがエリザベス1世を演じました。

( エリザベス1世は彼女の当たり役でエミー賞2回受賞 )

 

さらにトニー賞4回ノミネート、そしてアカデミー主演女優賞に1970年代前半の5年で4回ノミネート(1971年『日曜日は別れの時』 と1975年『 Hedda 』 )され、うち1970年『 恋する女たち 』 と1973年『 ウィークエンド・ラブ 』 で2回受賞しています。

 

映画『2度目のはなればなれ』公式サイト (hanarebanare.com)

 

 

 

と書いたものの、ぼくも彼女の作品を観たのはこれまで2つだけ、それもテレビの吹替版のみ

 

1つはオスカー受賞作の1つ『 ウィークエンド・ラブ 』( Touch of Class 1973年 )

離婚歴があり自立した女性であるヴィッキーはタクシーの取り合いでスティーブと出会うが、妻帯者の彼から大人の割りきった関係を持つことを提案され、 二人でスペインに旅行に行くことにしたが・・・。

みどころの一つは旅行先での派手なケンカのシーンだが、笑わせながらやがてせつないロマンチック“ 不倫 “ ラブ・コメディ。

おかっぱ頭にパンツスタイル。男に伍してはっきりものを言う彼女はキャサリン・ヘップバーンの再来と評されましたが、その片鱗は予告編のネット動画で観ることができます

 

   #     DISCASさん リクエスト希望 

 

もうひとつは「 パトリシア・二―ル・ストーリー 」(1981)というテレビ映画。

パトリシア・二―ルは『 ハッド 』(1962)でアカデミー助演女優賞を受賞している俳優ですが、1965年5人目を妊娠中に脳卒中で倒れ、そこから夫の介抱と励ましもあって回復するまでを描いた作品ですが、内容はほぼ忘れています。

夫で作家のロアルド・ダ―ルを演じたのはダーク・ボガート( なんともシブいキャスティング )

 

グレンダ・ジャクソンが日本でなじみがないのは、舞台ではピーター・ブルック、映画ではジョン・シュレジンジャー、ケン・ラッセル、ジョセフ・ロージーとかの監督作品に出演しエンタメ系のヒット作がないからですが、

さらに1992年~2015年の23年間イギリス労働党の下院議員をしていて女優を引退したためです。

マーガレット・サッチャーをイギリスを格差社会にした元凶と就任中から死後にいたるまで非難し続け、ブレア政権では運輸政務次官を務めたこともありますが、その後イギリスがイラク戦争に加担すると党内からトニー・ブレアをするどく批判しました。

 

2015年80歳を機に政治家を引退、女優に復帰します。

するとシェークスピアの「 リア王 」を演じて評判を集め、そして2018年ブロードウエイに戻り「 Three Tall Women 」で5度目のノミネートにしてトニー賞最優秀女優賞授賞。

 

2018年『 帰らない日曜日 』で主人公の老年期を演じました

歯に衣着せぬ物言いする役は彼女自身に通じますね。

 

 

父親がレンガ職人、母親が家政婦や店員などを掛け持ちしていた家の4人きょうだいの長女に生まれた。

家が貧しかったので、グラマー・スクール卒業後は2年間薬局で働き、王立演劇学校は奨学金を得て入学、当初はロイヤル・シェ―クスピア・カンパニーのオーディションに落ちて、受かるまでの数年はさまざまな職業を転々とした。

ワーキング・クラス出身で売れない時期はかなり経済的に苦労したのはマイケル・ケインと共通している。

残念ながら本作の全米公開前にグレンダ・ジャクソンは亡くなりましたが、マイケル・ケインとの最後の共演( 『 愛と哀しみのエリザベス 』1975年 日本劇場未公開 以来48年ぶり )が愉しみな作品です。

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