ヌーヴェル・ヴァーグ① 「大人は判ってくれない 」(1959)
■「大人は判ってくれない(Les Quatre Cents Coups) 」(1959)
フランソワ・トリュフォーの長編第一作。ジャン=ピエール・レオ(当時15才)が扮するアントワーヌ・ドワネルはパリの下町に住む13歳の少年。学校ではいたずらばかりして先生に目をつけられている。原題の”(faire)les quatre cents coups(400回の打撃)”は、“無分別、放埓な生活をおくる”という意味の慣用句になる。
トリュフォーが27歳の時に撮ったこの作品は、その斬新さと特有の解放感、そして自由な活気に満ち溢れ、当時の映画人に驚嘆と喜びをもって迎えられた。カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞している。ゴダールの「勝手にしやがれ」と同時期に公開され、今では完全に定着した “ヌーヴェル・ヴァーグ”の時代を切り開いた記念碑的作品の一つ。
■本作のエピソード
多くの映画を鑑賞し文学書を読むトリュフォーの自伝的作品とも呼ばれる本作と、それ以降の4作からなるアントワーヌ・ドワネルシリーズが続く。本作では、尊敬するバルザックの書籍をあがめる為、ろうそくを灯し軽い火事を起こす・・とか、お金が欲しいのでタイプライターを盗む・・、学校をさぼった理由を“母が死んだ”と見え透いた嘘をつく等・・、“おいたが高じ”、ある意味コミカルな要素もある。
■本作を象徴するグッズ
「ヌーヴェル・ヴァーグの作家たち オリジナル映画ポスター・コレクション ポスター・アートで見るフランス映画の“新しい波"」(2022.7)から抜粋した、有名な野口久光さんのポスター画<アイキャッチ画像>は、フランス映画の象徴ともいえる。
1928年に東和商事(現在の東宝東和)を設立しヨーロッパ映画の輸入をしていた川喜多長政・かしこ夫妻の鎌倉市川喜多映画記念館には、小さいクリアファイルや絵葉書等を販売していたので、記念に、他の作品のカードも合わせて購入した。
■本作の感想
バルザック崇拝というのもあって、監督の人間観察的な視点もあり、風刺や皮肉の要素はあるものの、監督の人間愛の深さも同時に見え隠れする。
アントワーヌ・ドワネルシリーズでは、モノクロ作品のため、それぞれの映像がシンプルで美しい。最後に彼が海辺を走るシーンは特に印象的。エンドロールはエッフェル塔等が写りこむパリの街を電車から撮影しているところも素敵である。
トリュフォー作品のほとんどの音楽はジョルジュ・ドルリューが手掛けているが、本作はジャン・コンスタンタンが担当している。全体に、けだるいマイナー調の曲調になっている。
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示こんにちは。 よろしくお願いします。
個人的にはゴダールが苦手、松竹ヌーベルバーグも吉田喜重、大島渚が苦手。
現代美術、現代音楽もそうですが、理屈っぽいという印象から、素直になれず、食わず嫌いが多いです。
でもトリュフォーやルイ・マルは好きで若いころ機会があれば名画座に押しかけて観てました。
名画座川喜多長政・かしこ夫妻の鎌倉市川喜多映画記念館はあこがれの地ですがまだ行ったことがなく、ぜひ行ってみたいです。