災いの元となる“扉”を閉めていく少女の解放と 成長を描く『すずめの戸締まり』


【すずめの戸締まり】
2022年11月11日/121分/青春、アニメ、アドベンチャー、ファンタジー/日本
配給:東宝
映倫区分:G
《STAFF》
監督・脚本:新海誠
音楽:RADWIMPS、陣内一真
《CAST》
原菜乃華(岩戸鈴芽)
松村北斗(宗像草太)
深津絵里(岩戸環)
染谷将太(岡部稔)
伊藤沙莉(二ノ宮ルミ)
花瀬琴音(海部千果)
花澤香菜(岩戸椿芽)
神木隆之介(芹澤朋也)
「君の名は。」「天気の子」の新海誠監督が、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる「扉」を閉める旅に出た少女の冒険と成長を描いた長編アニメーション。
2023年・第73回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品され、同映画祭で最高賞の金熊賞を受賞した「千と千尋の神隠し」以来21年ぶりとなる、日本アニメーション作品のベルリン映画祭コンペ入りを果たした。
私は飽きっぽい性格なので、あまり同じ映画を繰り返し観ないタイプなのですが、新海監督のアニメは時々無性に観たくなります。
映像が美しいし、スピリチュアルな要素も感じて見る度に新しい発見があるからです♪
この作品は、実際に起きた震災がキーパーソンとなっています。その為、公開当時の評価は賛否両論。監督自身も批判を覚悟の上で映画化したそうです。
たしかに、被災地の様子や親と離れて彷徨っている子どもの泣き声など...実際に被災された方が見たらとても辛いだろうシーンが含まれていました。ボランティアの方が被災地の惨状を見て「かわいそうなんて軽々しくて言えない、かける言葉が見つからない。」と仰っていたことを思い出します。
私は神奈川に住んでいるので、実際に被災したわけではないのですが....その当時の事は鮮明に覚えています。
4階建の古いビルの最上階に住んでいたので、家が壊れるかと思うほど激しく揺れました。縦に激しく揺れて、様々な家具が前に移動するのを横目で見ながら、まだ小さな娘と赤ちゃんの息子を抱いてダイニングテーブルの下に避難しました。
体感ですが....とても長い時間揺れたように感じて、もう終わりだと思うくらいに怖かったです。ものすごい音がしてたし、息子がギャーギャー泣き続けて、地獄のようでした。
被災地の方は、この何十倍も怖い体験をしたんだ...と思うと想像するだけで涙が出ます。PTSDなど発症された方も大勢いることでしょう。
当時、被災者の方々のインタビューで、『亡くなった家族との最後の会話は「行ってらっしゃい」でした。』と語る方が大勢いました。地震が起きたのは昼すぎくらい。つまり、「ただいま」を言えなかった人が大勢いたということです。
作中、そこにいた人々の「行ってきます」「行ってらっしゃい」の声が繰り返されていました。これは亡くなられてしまった方々の家族・友人・恋人との最後の言葉だったというメッセージになると思います。
また映画ポスターにも、すずめが扉の前に立ち『行ってきます。』と書かれたものと、登場人物三人の後ろ姿に『おかえりなさい。』と書かれたものがあり、深いメッセージが込められたこの言葉に、新海監督の想いが伝わってくるような気がしました。





ここまで震災の話ばかりに触れてきましたが、決して悲壮感溢れる話ではなく、コミカルでファンタジー要素溢れるキャラクター(歩く椅子や子猫のダイジンなど)が出てきますし、登場人物が優しく温かい人ばかりで、ほっこりします。
そして様々な出会いや経験を通し、1人の少女が精神的に成長し、辛い過去を乗り越えていくというストーリーでした。
“心の傷をなかった事にするのではなく、深く傷ついた自分を認めてあげる事。抱えたままでも大丈夫だと未来の自分が教えてくれる。”
人によって感じ方は様々だと思います。でも私は、新海監が伝えたかったのは【希望】だと思いました。
以下、新海監のメッセージ。
「苦しみや困難の先には希望がちゃんとあるし、過去の自分に「だから大丈夫だよ」と言える未来の自分がきっといる。そんなことを伝えたくてこの作品を作りました。」

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投稿を表示基本的に映画館はひとりで行くのですが、この作品、200席くらいのシアターにお客は私のみ😱正真正銘のボッチ鑑賞した思い出があります(貸し切りは人生初!)
さすが田舎です笑 広い館内にひとり、緊急地震速報が鳴り響いたりでとても怖かった💦
私の住む地域も「被災地」だったので、恐ろしい記憶がよみがえりました
にしても「世界は光にあふれてる」といわんばかりの映像美✨素晴らしいですよね😭✨
「希望」そうですね!
亡くなった方が大勢いて💦震災からまだ10数年しか経過していないなか、生き延びた命にエールを送るのはとても勇気の要ることと思います 新海誠監督の覚悟とパワーを感じる作品でしたね✨