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Stella
2024/09/16 18:16

「ボレロ 永遠の旋律(Borelo)」

◆はじめに

 本日9/16の♪シネマ・フランセで、「ボレロ 永遠の旋律」等について、鑑賞イベントが無事終了したので、そのまとめを行います。8/9 公開のフィクションを含む伝記映画「ボレロ 永遠の旋律」は、まだまだ上演中ですので、お見逃しなく、ご鑑賞下さい。

 ちなみに、ラヴェル[1875-1937]は、来年生誕150年で、戦前に亡くなっている

 

◆「ボレロ 永遠の旋律(Borelo)」(2024)

 1928年パリ。スランプに苦しむモーリス・ラヴェルは、ダンサーのイダ・ルビンシュタインからバレエの音楽を依頼される。彼は失ったひらめきを追い求めるかのように自身の過去に思いを馳せながら、試行錯誤の日々を経てついに傑作「ボレロ」を完成させる。しかし自身のすべてを注ぎ込んで作り上げたこの曲に、彼の人生は侵食されていく。

 「黒いスーツを着た男」(2012)のラファエル・ペルソナがラヴェル役で主演を務め、ラヴェルの生涯にわたるミューズとなったミシアをドリア・ティリエ、ダンサーのイダを「バルバラ セーヌの黒いバラ」(2017)のジャンヌ・バリバールが演じた。

 監督は「ココ・アヴァン・シャネル」(2009)、「夜明けの祈り」(2016)のアンヌ・フォンテーヌ。ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による「ボレロ」に加え、ヨーロッパを代表するピアニストの1人のアレクサンドル・タローがラヴェルの名曲の数々を演奏した。

◆◆印象深いシーン

◆工場での音楽

 工場での音によるオーケストレーションにインスピレーションを受け、イダにうんちくを語るシーンで始まる。まさに緻密で数学的なラヴェルの“スイスの時計職人”(ストラヴィンスキー談)ぶりがうかがわれる。

 ◆ローマ賞落選

 1900年から5回にわたり奨学金付与制度のローマ大賞を勝ち取ろうと試みる。1902年、1903年は本選入賞を逃し、1904年はエントリーを見送った。翌1905年は、年齢制限によりラヴェルにとって最後の挑戦となったが、予選段階で落選してしまった。すでに「亡き王女のためのパヴァーヌ」(ピアノ曲、1902初演)等の作品を発表していたラヴェルが予選落ちしたことは大スキャンダルとなった。この「ラヴェル事件」で、パリ音楽院院長のテオドール・デュボワは辞職に追い込まれ、後任院長となったフォーレがパリ音楽院のカリキュラム改革に乗り出す。ローマ賞は1884年にドビュッシー等が獲得している。

 映画では、ちょっとぼんやりして自分の世界に入る傾向のあるラヴェルだったため、メンタルの問題もあったかもしれないが・・・。

パンフレットの画像を抜粋

 ◆ピエール・ラロからの酷評

 1904年の弦楽4重奏曲の初演で、有名なスペインの作曲家のエドワード・ラロの子息のピエール・ラロから酷評されるが、ラヴェルの仲間内では気にしていない様子が描かれている。ピアノのアレクサンドル・タローがラロも演じていて、誰かと思い、ちょっと驚いた。

パンフレットの画像を抜粋

 ◆1928年の北米ツアー成功

 1928年アメリカに渡り4か月に及ぶ演奏旅行を行なった際のシーンが印象的。黒人霊歌やジャズ等の新しい音楽にも影響を受けている。この演奏旅行の成功によりラヴェルは世界的に有名になる。

 ◆1928年のボレロ完成と初演

 ロシアのダンサーのイダ・ルビンシュタインの委嘱で、やっと完成させたボレロは、セクシーな表現が自分の創作を超えていて、気に入らなかったと言う。成功とは別にトラウマになって行く。ジャンヌ・バリバール自身が踊りを披露している。

●●ボレロ

  3/4拍子を特徴とする舞曲で、2つのメロディを18回繰り返し、クレッシェンドで展開する約17分の楽曲。スネアドラムのリズムでフルートから始まり後半に弦楽のヴァイオリンが入り層が厚くなる。

パンフレットの画像を抜粋

◆郊外の別荘での撮影

 パリ郊外のランブイエの森にほど近いモンフォール・ラモリーにあるモーリス・ラヴェル記念館での撮影が許可された。キッチュなインテリアや当時のピアノ等も置かれていて素敵。

パンフレットの画像を抜粋

●感想

 ラファエル・ペルソナが主演をしているが、かなりピアノや指揮の勉強をしており頭が下がる。アラン・ドロンの再来と言われるほどのイケメンだが、ドロンと違いアクション系ではないので、こういう知的な役柄も演じられるのが期待できる。アンヌ・フォンテーヌ監督自身が、父親が音楽学者・オルガニストだったこともあり、音楽に精通し音楽家とも交流しているので、こういう作品を手掛けることができたのだろう。

 

◆関連作品

「愛と哀しみのボレロ(Les Uns et les Autres)」(1981)

 1930年代から1980年代にわたり、パリ、ニューヨーク、モスクワ、ベルリンを中心とするフランス、アメリカ、ロシア、ドイツにおいて交錯する、2世代4つの家族の人生を描く。

   クロード・ルルーシュ監督の代表作品。クライマックスで、モーリス・ベジャール振付のジョルジュ・ドンによるバレエのボレロが有名。

●歌のレパートリー

 個人的にはラヴェルとプーランクが好きなので、随分前に、僭越ながら、歌曲集「博物誌」の中から「白鳥」を選曲し歌ったことがある。ラヴェルのミューズだったミシアに献呈している事を知り興味深い。最近では声楽曲のシェヘラザードから「魔法の笛」を歌ったが、気に入っている作品。

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