特別機動捜査隊(映画版)
現在でもあるのだが、特に昔は人気のテレビドラマの映画版が製作されることがままあった。今はテレビ版のキャストを変えることは、ほぼないであろうが、昔は映画版ではキャストが一新されることも多かった気がする。
「特別機動捜査隊」は61年~77年にかけて、全801話が放送された人気刑事ドラマである。本作にも映画版が2本存在するのだが、キャストは映画版のみの顔ぶれとなっている。
映画版「特別機動捜査隊」及び「特別機動捜査隊 東京駅に張り込め」(東映いずれも63年)は、上映時間約60分で、テレビサイズより10分程度長い。
出演は千葉真一、南廣、安部徹、亀石征一郎、織本順吉の五人で彼らが特捜隊刑事を演じている。少し年配の人なら、いずれも顔は思い浮かぶメンツではないだろうか。
千葉真一は最も若手の刑事役で、普段は悪役の安部徹はギャングの親分にしか見えないが主任警部補役なのである。
テレビ版では主任、つまり当時で言えば波島進が主役なのだが、この映画版では千葉がトップクレジットなので彼が主演扱いなのだろう。
問題は彼らの役名なのだが、いくつかある映画データーベース的なサイトではいずれも、安部徹(秋山警部補)、織本順吉(倉本部長刑事)、南廣(井上刑事)、亀石征一郎(土屋刑事)、千葉真一(小松刑事)となっている。しかし、ウィキペディアでは順に立石警部補、橘部長刑事、荒牧刑事、桃井刑事、内藤刑事となっている。どちらが正しいのか。
これは見てみるのが一番早い。幸いにも録画したものがあるので確認してみた。すると、すぐに安部徹が「立石」で、千葉真一が「内藤」であることがわかり、後者つまりウィキペディアが正解であることがわかる。実は後者の役名はテレビ版と同じものなのである。
おそらく台本上では、役者も違うしゆえに役名も違うものを用意していたのではないだろうか。それをテレビ版と同じ役名にどこかの段階で変更したのであろう。
つまり記録上では最初に予定された役名のままになっているということなのではないだろうか。
ちなみに、62~63年ころのテレビ版キャストは波島進(立石主任)、南川直(橘部長刑事)、岩上瑛(荒牧刑事)、轟謙二(桃井刑事)、巽秀太郎(内藤刑事)となっており、詳しくないとわからない顔ぶれであろう。南川、岩上、轟は東映の脇役俳優であり、巽は特撮ヒーロー「ナショナルキッド」(60~61年)で主役(二代目)を演じていた。
波島は当時のスター俳優であるが、この番組を71年に降板直後に引退しているため知らない人も多いかもしれない。ちなみに初代七色仮面であり、千葉が二代目七色仮面である。