戦場のメリークリスマス 撮影中の「コントのような現場」とぬか喜び。
※戦場メリークリスマスについてはシモ坊さんも書いておりますので、ぜひそちらもお読みください。
大島渚監督作品「戦場のメリークリスマス」にハラ・ゲンゴ軍曹役で出演したビートたけし。
当時、撮影の出来事ついてはオールナイトニッポン(木曜深夜1時~)で話題にしていた。
いくつかの撮影秘話の中、約40年たった今でもリスナーの語り草になっている「トカゲにキュー事件」があった。
「トカゲにキュー事件」
戦場のメリークリスマスの冒頭で南国の雰囲気をやや俯瞰で捕虜収容所をとるシーン。
演出上どうしても3秒間動かないトカゲの画がほしい大島監督。
しかし相手は爬虫類でどうにもうまく静止しない、そこで監督がスタッフに
『トカゲに3秒止まれと言え』
『もっと演技のできるトカゲはいないのか』どこの事務所だ!このヤロー!と怒鳴り散らす大島監督。
そこであまりの剣幕でおかしくなった?音響のスタッフがトカゲにキューを出しましょう!と言った。普通の現場では当然却下される・・ましてや相手はトカゲ・・がしかしその提案を受け入れる大島監督。トカゲにキューを出させた。
もちろんうまく行くわけもなく、イライラする監督にスタッフはさらに提案し、「トカゲの頭を叩いて弱らせてみたらどうか」といい、トカゲの頭を叩き、ヨーイ!スタート!とともにトカゲが落ちてしまい、助監督が確認すると『トカゲは死んでしまいました』というと、さらに大島監督が狂人的な発言をする。
『バカヤロー!3秒で生き返るトカゲはいないか!』とまわりのスタッフが困惑している様子をたけしは大笑いして見ていた。「まるでコント」だと。
重要な門が・・・。
映画のシーンではトカゲの画より重要だった門のシーンがあった。1時間もリハーサルをしてなかなか思うような画が撮れない状態が続く、トカゲのシーンで約2時間もパニックになった監督はあまりにもリハをし過ぎてとうとう門が壊れてしまった。
スタッフが監督に壊れたことを伝えると『そんなものどうでもいい』とまったく取り合えてもらえなかった。あの1時間のリハーサルはいったい何だったんだろう?とひとり冷静なたけしは映画現場での常軌を逸する状態と大島監督の狂気に触れた。そのことを踏またのか?北野監督は現場での怒鳴り声は禁止し、本番一発撮りでリハがほぼないのかもしれない。
カンヌ落選事件「ぬか喜び!のvサイン」
戦場のメリークリスマスはカンヌ映画祭に出品し、グランプリ確実といわれ、日本に残ったたけしはマスコミの取材を受け、Vサインで写真を撮るなど、あとは結果待ちだった。
しかし下馬評ではまったく話題にならなかった1983年公開、今村昌平監督作品の映画「楢山節考」がグランプリをとり、当然オールナイトニッポンで取り上げた。
放送の冒頭ではいかにも戦メリがグランプリを取った雰囲気(世界のたけし、グランプリ最有力!)にし、宴たけなわの時に放送作家の高田文夫が「えっ~戦メリは落選して、グランプリは楢山節考、左とん平です。」と伝え、悔しがるたけしはぼやき始める「グランプリ最有力候補といわれていたのに~楢山節考かよ!この際、大島渚を山に捨てる!」と言い放つ。翌日のスポーツ新聞にVサインをするたけしに対して『たけし、ぬか喜び!』と書かれさらに傷に塩を塗られる始末。
その数年後には、映画監督になり「HANABI」でベネチア映画祭金獅子賞を取りリベンジを果たすことになるとは。
ラロトンガ島から生中継?
またオールナイトニッポンではラロトンガ島(映画撮影現場)からラジオ初の衛星生中継と称し、東京のスタジオにいるアシスタントの片岡鶴太郎と掛け合いをしていた。いかにも電波障害と思えるSEなど細かい配慮を行い聞いている誰もが衛星生中継をしているものと思ったいた。しかし鶴太郎の声とラロトンガにいるはずの2人の声が近いので?と思った瞬間、鶴太郎が別スタジオにいた、たけし・高田のところに行きネタばらし。当時としてかなりこったドッキリの放送だった。
坂本龍一、デヴィッド・ボウイの美しいキスに震える/映画『戦場のメリークリスマス 4K修復版』予告編 moviecollectionjpより
おまけコーナー。
完全版トカゲにキュー事件の真相。(ビートたけしのオールナイトニッポンより)
たけし『まず、最初のシーンがトカゲなの』
高田『うん』
たけし『トカゲがドアについてて、トカゲを写してカメラをパーンさせると囚人が写る。だからトカゲで南洋の収容所の雰囲気を出す』わけ
高田『表現しといて~』
たけし『でも、よーいスタートでトカゲを針金で留めておいてパッと放すと、サッーとトカゲがにげちゃう。それが早すぎるんだよね~タイミングがね。でさ(だめだ、そのトカゲ!下手くそ!!)』
高田『下手くそなトカゲ』
たけし『ダメだ!どこの事務所だこのヤロー』
高田『どこの事務所って(大爆笑)』
たけし『どこの事務所もないって』
高田『アーハハハー』
たけし『トカゲに言っとけ、トカゲに。3秒とまれって』
高田『クワッハハーとさらに大爆笑』
たけし『止まらないっての。トカゲなんか3秒もとまらないんだよ~手を放せばさー。もう一回いくよ。よーいスタート トカゲ、チェンジ!』
高田『チェンジ!』
たけし『もっとうまいトカゲいないか?って
いるわけないんだよ!』
高田『うまいトカゲ~ケケケ~』
たけし『で、ニュージーランドのスタッフがさ、トカゲが箱にいっぱいはいっているからさ』
高田『探す』
たけし『ねっ 探すわけ』
高田『演技のうまそうなやつを うん』
たけし『オーそれよさそうだ、それいいよ』
高田『ブハハハー』
たけし『ヨーイスタート。カッ、逃げるじゃねーかバカヤロー』そしたらスタッフが『こうしましょう。トカゲがね。元気がいいからいけない』
高田『タハァ~ハハハー』
たけし『だから頭2・3発叩いて』
高田『弱めて、うんうん』
たけし『弱めておいて、気を失ったあと気づいたら動きますから』そしたらよーいスタートでポッと落ちゃった。『死んでるじゃないか!バカヤロー』
高田『死んでる、クククー』
たけし『もうちょっと死んでる間際のはいないのか』『3秒で生き返るってそんなのいないですよ監督』
高田『嗚咽しながら笑う』
たけし『とにかくトカゲの3秒がほしいだって言うから『これどうでしょうか、弱ってますか
ら』っていんでよーいスタートってやったら10秒、20秒経っても動かない。『動かないじゃねかバカヤロー』
そしたら音響のスタッフが『私がトカゲにキューを出します』誰だって、キュー出したって駄目ってきづくじゃない。でも『そうだな~キューだな やっぱり』
高田『キャー叫びのような笑い』
たけし『よーいスタート タタタタ(スタッフが走り寄る)でトカゲの前で『キュー』『指が入った、バカヤロー、カメラの前でやるなー』『そうじゃないとトカゲに気づいてもらえないと思ったので〜』
高田『キャー 椅子から転げ落ちる音が~』
たけし『まずいな~』『じゃあ竹の棒でやります』『それじゃ、指じゃなくて竹の棒が入るだろ』
高田『がーハハハー』
たけし『それを延々やってるの2時間』
高田『はぁ~トカゲにキューで』
たけし『もう疲れちゃって~』
高田『はあ~笑った』
たけし『挙句のあてにはさ、カメラの方にトカゲが向かってきちゃってさー』
高田『こんななって』
たけし『ウワーって逃げて、カメラブレちゃってさぁ~『駄目だ!』ってカメラの後ろの奥の方からキューだしてやっと撮ったの(笑)』
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投稿を表示くぼっちさん、コメントありがとうございます!「3秒止まるトカゲ」はいないですね~今は爬虫類専門のプロダクションもあるようです。「芦田愛菜ちゃんを超える!ハリウッドからオファー殺到の演技派のトカゲ」が現れるかも?!知れませんね(笑)
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投稿を表示「3秒止まるトカゲ」いないですよね。俳優のトカゲ、どこかにいたらぜひお会いしたいです笑 演技できる爬虫類って希少価値すごそう。事務所に所属したらオファー殺到かも?