2025必見映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦(九龍城寨之圍城)」
今週1/17(金)ついに!初見は去年のTIFFだったものの私が今年のベストにせざるを得ない!と熱狂した作品が公開されます。

2020年に施行された「国家安全維持法」で香港はボロボロになってしまいました。
言論に対する締めつけが一気に強まり、新たな映画の検閲基準が決められ、私の愛するノワール作品の制作はほぼ絶望的になりました。
中国内地の基準では罪人は基本的に法的に裁かれなければいけません。
その為私のオールタイムベストの「インファナル・アフェア(無間道)」の内地向けに改変されたエンディングでは、逮捕されないことで善人になる機会を未来永劫失ってしまい無間地獄(無間道)に堕ちる人物をあっさり捕縛してしまいます。(多分リメイクして「ディパーテッド」を作ったスコセッシはこちらのバージョンを見たんじゃないかと疑っています)
去年のCJIFFで観た作品も、復讐を果たして未来へと踏み出す素晴らしい復讐譚が最後に収監されることで台無しになっていました。
しかしそんな中、本作品は九龍城砦で暗躍するならず者たちを描いた作品として香港で熱狂的に迎えられました。噂を聞いて日本で公開される日を今か今かと待ち続け、去年のTIFFでついにこの目で作品を観ることができ、私が帰宅して最初にやったのはいつでも見返すことができるように香港版のブルーレイを通販購入する事でした笑
本作は九龍城砦にベトナムからの華系移民が逃げ込んでくるところから始まります(近年アカデミー賞助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クァンもかつて香港に逃げてきたベトナムからの移民でした)。九龍城砦は彼を受け入れ、彼はコミュニティの一員としてコミュニティの平和を脅かすものと戦っていくことになります。
香港自体が、多数の人たちが自由を求めて渡ってきた土地です。人々が身を寄せ合って独自のルールで生活し後に取り壊されてしまった「九龍城砦」は香港の縮図でもあるのです。
外界の変化で変わらざるを得ない環境の中で、それでも生きていく為の継承が行われていきます。この継承の流れを演舞的な古典的なアクションとリアルファイト寄りの今どきのアクションで本作は表現します。「大きな力に抗い、それでも生きていってやる」という心の叫びが伝わってくる華麗なアクションに落涙せざるを得ませんでした。香港の魂が籠った作品だと思います。
その作品に日本から香港に渡っていまや香港映画界で大活躍していらっしゃる谷垣健治さんがアクション監督として、そして川井憲次さんが音楽担当として携わっていらっしゃることも実に意義深いと思います。九龍城砦をセットで再現するにあたって日本に遺されていた資料も大いに活用されたそうです。
この圧倒的なパワーを是非その目でご覧ください。香港映画にまったく詳しくない方でも熱狂できる作品だと思います。
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執筆者:Kelly
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