話題沸騰の「ブルータリスト(The Brutalist)」
◆はじめに
今、話題沸騰中の「ブルータリスト(The Brutalist)」(2024)を先週土曜に鑑賞する予定だったが、「パリ1900年」の上映とダブルブッキングになったため、昨晩の20時のレートショーで鑑賞した。
上映館の居心地がよかったので、いつもの鑑賞より、気分が上がった感じで観入った。
◆作品概要
若き監督ブラディ・コーベットの作品で、主演は、「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディが務める。アメリカ・イギリス・ハンガリーの合作作品
ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トートは第2次世界大戦下のホロコーストを生き延びるが、妻エルジェーベトや姪ジョーフィアと強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるためアメリカのペンシルベニアに移住した彼は、著名な実業家ハリソンと出会う。建築家ラースローのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、彼の家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築を依頼。しかし母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には、多くの困難が立ちはだかる・・・。
![]() |
![]() |
◆所感
ブルータリズムは、20世紀中頃に流行した建築スタイルの一つで、「無骨さ」や「生な素材感」を特徴とし、この言葉はフランス語の “béton brut”(生のコンクリート)から派生したもので、装飾を極力排除し、構造そのものの素材美を前面に押し出したデザインが特徴。
そもそも、「ブルータリスト」という聞きなれないタイトルであり、建築が映画のテーマになるのは、随分前に鑑賞した「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」(2015)位かもしれない。
今回の主人公のラースロー・トートは架空の存在ではあるが、近いとすると、マルセル・ブロイヤー(1902-1981)になるかと思うが、年代的には10年位後の世代かと思う。マルセル・ブロイヤーはバウハウスで学んでおり、主人公もハウハウスで学んだと答えているが、ドイツではナチスが台頭し1933年には閉鎖されているので・・・。
主人公は、無骨だが純粋な精神をもっていたが、移民としてアメリカで成功することにはならなかったが、芯の強い妻との愛情を育み、精神的には満足した晩年を他国で送ることになる。妻役のフェリシティ・ジョーンズと事業家役のガイ・ピアソンも、強い個性を持った役柄で名助演をしているが、何といっても、米国人ではない、ブロディの表情の柔らかさや謙虚さが素晴らしかった。
流れている音楽は、50年代のアメリカ系のポップ調のオリジナルなものだったが、曲名は知らないが聴きなれたジャズ・ヴォーカルが流れ、ここちよかった。場所がNYでなくペンシルベニアだったのもよかった。
◆関連作品
・「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」
ル・コルビュジェ役をヴァンサン・ペレーズが演じていたので、また観たくなった。


◆関連投稿
・ポランスキーの「戦場のピアニスト」とショパンの名曲