事件記者(劇場版)
今回は「事件記者」である。NHKで58~66年まで続き、その後フジテレビでも放送された人気シリーズだが、映画版も日活で10本、東宝(東京映画)で2本の12本が存在する。
ここでは、日活版の「事件記者」シリーズを取り上げたい。
NHK版に関しては世代ではないし、63年までは生放送だったこともあり現存する映像もはとんどないということで、ほぼ見たことがない。この時代の記者は新聞記者にしろ雑誌記者にしろドラマにしやすいこともあったのか、ヒーローのような扱いだった。
舞台は警視庁詰めの新聞記者が所属する「警視庁桜田クラブ」。
番組スタート翌年の59年に1作目の「事件記者」が公開される。1本50分程度のSPだが、59年の後半だけで6作が公開されている。
日活版では多くのテレビシリーズのキャストが、そのままの役で出ているが、数名のオリジナルキャストが存在する。主演の沢本忠雄演じる東京日報の新人・菅記者もオリジナルキャラである。
沢本忠雄は57年のデビュー。大学時代(日本大学芸術学部)に日活で助監督募集を見て応募するが、何故かエキストラとして映画に出演することになり、その時の阿部豊監督により見いだされ、次作の「雌花」でヒロインの南田洋子の弟役に抜擢された。翌58年の「十代の恋よさようなら」で初主演となるが、本人は元々裏方志望だったため、その旨を日活の幹部に伝えると「君を売り出すのにいくらかかったと思っていいるんだ」と言われ、役者を続けざるを得なかったという。
1作目~8作目では、テレビ版と同じく東京日報は永井智雄(相沢キャップ)、原保美(長谷部)、大森義夫(八田)、滝田裕介(伊那)、園井啓介(山崎)、綾川香(浅野)と全員出ているが、中央日日は高城淳一(浦瀬キャップ)、山田吾一(岩見)で、新日本タイムスは外野村晋(熊田キャップ)のみ。この時期にレギュラー入りしていたかは不明なのだが、近藤洋介、前田昌明、中原成男らは出演しておらず、清村耕次が演じた新日本の荒木記者は内田良平が演じている(1、2作目のみ)。
警察関係では宮坂将嘉演じる村田部長刑事のみテレビシリーズから登場。他はオリジナルキャストで、二本柳寛(捜査一課長)、清水将夫(西郷デスク)、相原巨典(中央日日・桑原)、雪丘恵介(毎朝・桜井キャップ)、相馬千恵子(ひさごの女将)、丘野美子(やす子)など。丘野美子は1,3,5作目に登場するが、主人公の菅ではなく滝田裕介演じる伊那の婚約者という設定である。4作目から高原駿雄(新日本・竹本)も登場する。
ゲスト出演は1作目は宍戸錠、2作目「真昼の恐怖」で小園蓉子、3作目「仮面の脅迫」で楠侑子、4作目「姿なき狙撃者」で南風夕子、5作目「影なき男」で待田京介といったところである。