B.ベルトルッチとE.ロメールの愛のカタチ:「シャンドライの恋」と「冬物語」
❤ベルトルッチとロメールの恋愛ドラマ
問題作となったラストタンゴ・イン・パリ(1972)で知られるベルナルド・ベルトルッチと、穏やかで静かな佇まいのある自然派のエリック・ロメールの作品の中で、90年代の作品を切り取って、解説する。
◆「シャンドライの恋(Besieged)」(1998)
B.ベルトルッチ監督によるラブ・ロマンス。ローマを舞台に、本国から逃亡したアフリカ人女性と英国人ピアニストの官能的な愛を照らすイタリア映画。デヴィッド・シューリスとタンディ・ニュートンが共演。政治活動で夫が逮捕されアフリカから逃亡して屋敷の使用人となったシャンドライだが、医学の勉学に励む。屋敷の主人で寡黙なピアニストのキンスキーは、やがて肌の色の違う彼女を愛する様になる・・・。
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◆ベルナルド・ ベルトルッチ監督の関連作品
「ラストタンゴ・イン・パリ(Last tango in Paris)」(1972)
「シェルタリング・スカイ(The Sheltering sky)」(1990)
「魅せられて(Steling beauty)」(1996)
「ドリーマーズ(The Dreamers)」(2003)
★所感
純粋な気持ちで向き合う二人がほほえましい。無口なピアニストが届けるカトレアの花も意味深い演出である。ピアニスト役のデヴィッド・シューリスは、「太陽と月に背いて」でフランスの偉大な詩人ポール・ヴェルレーヌ役を演じ、主人公の破天荒なアルチュール・ランボー役のデカプリオの助演を務めるが、その飄々としたまなざしが、今作にも出ており、無口ながらも心根のきれいな役を演じきっていてすがすがしい印象をもった。
映像には、あまり関係ない異国の風景や、近所に咲くフジの花等が、何気に挿入され、映画に香しさを加えている。それにしても「ラストタンゴ・イン・パリ」や「ドリーマーズ」とは全く趣が異なる。
◆「冬物語(Conte d'Hiver)」(1991)
エリック・ロメール監督による「四季の物語」シリーズの第2作で、運命に翻弄されながら本物の愛を探し求める女性を描いた。フェリシーは旅先で出会った男性シャルルと運命的な恋に落ちるが、別れ際に彼に教えた自宅の住所が間違っていたことに気づく。5年後の冬、フェリシーは既婚者の恋人が経営する美容院で働きながら、シャルルとの娘エリーズを育てていた。彼女には図書館員ロイックという恋人もいたが、今でもシャルルのことを忘れられずにいる。だが、シャルルと運命的な再会を果たすことになる。
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★所感
「四季の物語」シリーズは春夏秋冬を順番に作成したわけではない。「冬物語」は、主人公のぶれない過去の恋人への思いが貫かれており、また恋人が登場した途端、華やかな印象になり、ずっと待っていた気持ちが良くわかった。「冬物語」の名称はシェイクスピアの演目からとられているが直接冬を象徴した作品ではない。また、この作品に端役で登場する、マリー・リヴィエールは、ロメール作品の「緑の光線」等の多数の作品に出演する中堅の女優であるが、その存在感が光る。★むしろ、中年の40代の落ちついた恋物語を綴った「恋の秋」も素敵な作品で、マリー・リヴィエールも登場し存在感を与える。
◆エリック・ロメール監督の関連作品
仏テレラマにより、2010年に死去したエリック・ロメール監督の読者によるトップ10が発表された。
1 「モード家の一夜」 (66)
2 「満月の夜」(84)
3 「緑の光線」(86)
4 「コレクションする女」(67)
5 「クレールの膝」(70)
6 「冬物語」(91)
7 「夏物語」(96)
8 「獅子座」 (59)
9 「愛の昼下がり」(72)
10 「O侯爵夫人」 (76)
◆関連の投稿
❤クイズで始まる2025 フランス映画のタイトルと地名、教えて!
実はJ.L.トランティニャンが主演したロメールの作品は、上記のNo.1の「モード家の一夜」でした。(先日のマニアのページの映画のタイトルのクイズの問題ですが、難しかったですかね。場所はクレルモン・フェランです。)
https://community.discas.net/announcements/ilhanzn7d8xy5tvb

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投稿を表示「シヤンドライの恋」、とても好きな作品です🥰
ディビッド・シューリスが不器用で純粋なキンスキーを見事に演じてますね 「太陽と月に背いて」のヴェルレーヌも、不器用で純粋といえばそうなのかもしれませんが、まったくタイプが違い、それぞれをそれらしく演じるシューリスはやはりスゴい役者さんだと感じます✨