宮内洋の出演映画 その3
引き続き宮内洋である。
73年といえば、宮内にとって大きな出来事が二つの大きな出来事があった。「キイハンター」の終了と「仮面ライダーV3」の主演抜擢である。オーディションではなく、関係者のリストアップから面接が行われた。面接とは知らずふてぶてしい態度だったというが、逆に気に入られたらしい。伝説にもなっているドアをけ破って入って来たという噂は「私にも常識はあります」と否定している。
ここからヒーロー人生がスタートし、出演作品の傾向も変わっていくようである。この73年「仮面ライダーV3対デストロン怪人」という30分強の映画版オリジナルも製作されている。三人ライダーの共演ではあるが、藤岡弘、佐々木剛は変身後の声だけの参加である。
V3の終了した74年にレギュラー出演したのが時代劇「助け人走る」である。映画テレビを通じて東映以外(松竹)の作品に出演するのは初めてであった。事情により「必殺」の文字はないが「必殺シリーズ」の第3弾である。第20話からの途中参加だが、1クールの放送延長が決まったことによる追加キャストという感じだろう。他の二人(田村高廣、中谷一郎)がベテランということもあり、前作「仕置人」の沖雅也のようなアクションのできる若手俳優として選ばれたのではないどろうか。役名は「島帰りの龍」で髪型は現代そのまんまで空手を使うが、殺し技は相手を持ちあげて脳天から逆さ落しにする「脳天砕き」。特撮ヒーロー同様のクールな正義感を演じたのである。
74年は前項のとおり「助け人走る」に出演していたが、その終了後に公開されたのが「女必殺拳」である。志穂美悦子主演のカンフーアクションだが、元々は主演は香港のスター女優・アンジェラ・マオに決定していたのである。
東映の女番長(スケバン)シリーズにも陰りが見え始め、岡田茂社長は代わりとして「女千葉真一」、つまりは女カンフーアクションのようなものを構想したのである。その千葉の下で修行をしていた志穂美悦子は既にデビューし「キカイダー01」等で活躍していたが、岡田は彼女の存在を知らなかったのである。
「東映女カラテ新路線香港女優で発進」という報道がされると、千葉がその監督予定だった鈴木則文の前に現れ、今度の映画に使ってくださいと志穂美の映像を見せたのである。その身のこなしに驚いた鈴木は「必ず重要な役で使う」と千葉に約束。もっとも千葉は「わざわざ香港から呼ばなくても、志穂美を主役に使えばいい」と思っていたそうだ。しかし、アンジェラが諸事情により参加できなくなり、鈴木は直ぐに志穂美の起用を岡田に進言したのである。こうして、志穂美主演が決定したが、元々予定されていたのは主役を助ける女空手家の役である。役名は早川絵美といったが、そこには菅沢恵美子が起用されることになった。少林寺拳法を特技としており、菅沢は役名をそのまま芸名とした。後に特撮ドラマ「ザ・カゲスター」にベルスター役で出演することになる。ちなみに、今は誠直也の奥さんである。ちなみに、鈴木は脚本のみの参加となり、監督は山口和彦がやることになった。
話が横に逸れたが、宮内の役は志穂美が演じる紅竜の兄であり、香港の麻薬捜査官。ただ行方不明であり、実は悪の組織に捕らわれていたという展開のなので活躍は出来ない。彼女の協力者として、師匠・千葉真一、大堀早苗、前述の早川絵美が登場する。大堀は「プレイガール」に最後の1クールのみメンバーとして出演していた。なお、本作には「プレイガールQ」に中盤からレギュラー入りした山本良々も顔を出している。内田朝雄、近藤宏が珍しく味方役である。悪の親玉は天津敏で、山本昌平、石橋雅史、日尾孝司などがその配下である。