ザ・タイガース 世界はボクらを待っている
ザ・タイガースといえば、沢田研二のいたグループというイメージを持つ人が多いと思うが、他のメンバーもそれなりに有名なのではないだろうか。
加橋かつみ(ボーカル、リードギター)、森本太郎(リズムギター)、岸部修三(ベース)、瞳みのる(ドラムス)、そして加橋脱退後は修三の実弟である岸部シロー(四郎)が加入している。まあ、ご存知とは思うが岸部修三は今や名俳優となった岸部一徳のこと。人気で言えば沢田、瞳、加橋の順で、岸部はリーダーではあったが、今の姿が想像できた人はいないだろう。
さてタイガースの主演映画は三本あり、その一作目が「ザ・タイガース 世界はボクらを待っている」(68年)である。製作は東宝と渡辺プロ。監督はドリフや55号映画も手掛けた和田嘉訓である。挿入歌は10曲以上あり、映画の半分は彼らの演奏シーンである。とにかく、彼らが多忙で撮影時間もあまり取れなかったこともあり、ストーリーはかなり無理のあるものになったという。まあ、SFラブコメディとでも言うのであろうか。
ヒロインであるアンドロメダ星王女シルビィに扮するのは久美かおり。彼女も渡辺プロに所属していた新人歌手である。植木等主演の「日本一の男の中の男」(67年)にも「メイツガールズ」の一人として出演していた(他のメンバーは平山三紀、「トワ・エ・モア」の山室英美子)。彼女はタイガース映画全てのヒロインを演じることになる。
シルビイの従者に天本英世、浦島千歌子、婚約者であるナルシス殿下に三遊亭園楽(五代目)までが宇宙人役。浦島は当時40代の宝塚歌劇団出身の女優。聞き馴染みないと思ったら69年には引退しているようだ。圓楽は先日亡くなった六代目円楽(楽太郎)の師匠。キャッチフレーズに「星の王子さま」を使っていた。
他の出演者だが、松本めぐみ、高橋厚子、小橋玲子、なべおさみ、小松政夫、小澤昭一、石橋エータローなど。また、本作の挿入歌全ての作詞を手掛ける橋本淳、作曲を手掛けるすぎやまこういちもチラっと顔を出している。