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tetsu8
2025/11/24 03:10

東宝俳優録16 髙橋紀子/高橋厚子

東宝ニュータレント3期生は誰がいたのかは不明だが、4期生には黒沢年男、沢井桂子、そして高橋紀子などがいた。
 

高橋紀子は46年生まれ。名前は平凡だが、日本人離れしたハーフのような顔立ちが非常に目だっていた。アイドルとしてデビューしていても不思議はない気がする。64年、山梨英和高校を三年で中退して上京し、東宝に入社している。

ひばり、チエミ、いづみ三人よれば」(64年)の端役でデビュー。目立つ容姿だと思うのだが、しばらくは端役が続いた。クレージーキャッツの映画への出演が多かったが、次第に役柄も大きくなっていき、「クレージーだよ天下無敵」(67年)では谷啓の婚約者役を演じている。
 

東宝特撮映画に結構出演していたようなイメージが勝手にあるのだが、実はあまり出演していない。「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」(66年)では、ヒロインである島の娘ダヨ役に抜擢されているのだが、急性虫垂炎になり入院して降板の憂き目にあう。代役として急遽起用されたのが、特撮常連の水野久美であった。ちなみに、当時高橋は19歳で水野は29歳であったが、特にシナリオの変更はなかったらしい。高橋の起用はおそらく「ウルトラQ」(66年)の23話「南海の怒り」で、アニタという島の娘を演じていたことが大きかったのではないだろうか。
人気も次第に上がっていき、デビューから5年近く経過していたが、69年度の製作者協会新人賞を受賞している。
 

末期の若大将シリーズにも出演しており、「フレッシュマン若大将」(69年)では加山雄三に振られる役だったが、「ブラボー若大将」(70年)では逆に加山を振る役を演じている。

コント55号宇宙大冒険」(69年)でもヒロイン役を演じるなど、喜劇映画への出演が多かったが、同期の黒沢年男が主役の「白昼の襲撃」「野獣都市」(70年)というアクション映画でも、いずれもヒロインを演じた。
 

そして「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ決戦!南海の大怪獣」(70年)でもヒロインに抜擢。今回は島の娘ではないが、相手役は「南海の怒り」で結ばれた?久保明だった。しかし、彼女は本作を降板してしまう。その理由が結婚が決まったからというものだった。相手は寺田農である。寺田は東宝の俳優ではないので接点らしき部分といえばドラマ「青春とはなんだ」(66~67年)あたりだろうか。高橋紀子は3回ほどゲスト出演しており、その時に知り合っていてもおかしくはない。
それにしても怪獣が3体登場してタイトルに「南海の」がつくといずれも降板すると言う、わざとやってるかのような一致である。それはさておき、役者としては好調の波が来ていると思われる時に引退というのは、非常に勿体ない気がした。ちなみに、寺田とは06年に離婚したという。

さて高橋紀子とくれば、一文字違いの高橋厚子である。
高橋厚子は49年生まれ。劇団ひまわりを経て、東宝にはニュー・タレント6期生として66年に入社している。同期にはひし美ゆり子、牧れい(宮内恵子)、小林夕岐子など後々活躍したメンバーも多い。高橋厚子はその中では、キャラが弱いような気がするが、牧れいによれば、特に将来有望と言われていたのは高橋だったという。
 

デビュー当時は、ノンクレジットだったり出演シーンカットというような端役も多かったが、内藤洋子との共演が多かった。「伊豆の踊り子」「育ちざかり」(67年)では、共に内藤の友人役を演じ高橋自身も注目を浴びるようになった。
 

テレビに目を向けると、やはり東宝の青春ドラマである。「進め!青春」(68年)では、女生徒役でレギュラーだったが、放送がメキシコオリンピックの時期と重なり、わずか11回で終了してしまう。そのため、再放送にも恵まれない作品である。ちなみに主演は浜畑賢吉であった。そして「アテンションプリーズ」(70~71年)。ここでもレギュラーを得るが、ヒロイン(紀比呂子)の友人という役柄。映画でもそうだが、ヒロインの友人と言うポジションが多い。
 

基本的には助演の人だったが、唯一ヒロインを演じたのが「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ決戦!南海の大怪獣」(70年)である。前回も話題にしたが、結婚の為、急遽降板した高橋紀子の代役として起用されたのが彼女だったのである。名前が似ているから高橋厚子にしておこう、と思ったわけではないだろうが、ヒロインが転がり込んできたわけだ。共演で島の娘を演じているのが同期の小林夕岐子であった。公開は「アテンションプリーズ」の直前であった。
さて、これからという感じの高橋厚子であったが、出演記録は「人形佐七捕物帳」(71年)へのゲスト出演が最後となっている。恐らくこの辺りで引退したと思われるが、その後のことなどは一切不明である。

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