新作の前にM:Iシリーズ総ざらえ ~ 復習すべきはどの作品? ~
1996年に公開された劇場版第1作から27年。この間一人で主役を張り続けてきたトム・クルーズ=イーサン・ハント氏、還暦を超えて未だ現役バリバリの最前線で活躍中。まさに中高年の星!
新作に臨むにあたり、これまでの6作品を振り返ると・・・
①ミッション・インポッシブル(1996)
MISSION: IMPOSSIBLE(Brian De Palma)
長年にわたりIMFを支えてきたTVシリーズの功労者を事もあろうか裏切り者=敵役に祭り上げて始まった第1作。本シリーズで唯一計画性をもってミッションに臨んだ作品でもあります。当時のお目付け役、ヘンリー・ツェーニー演じるキトリッジが最新作でも重要な役どころで出演。よってお時間あれば復習をおすすめします。
②M:i-2(2000)
MISSION:IMPOSSIBLE Ⅱ(John Woo)
個人的にはクリストファー・マッカリー監督作品が登場するまでは本作がシリーズ最高傑作でした。ジョン・ウー監督のダンディズム=美学とハリウッド・アクションが融合した、見応えあるドン・パチ。アクション物の王道を華麗に突っ走っていてシビれました。カー・チェイスもガン・ファイトも肉弾戦も、それを操る肉体の醍醐味を疎かにしないから古びない。ありがちな内輪の裏切りも本作品には登場せず。
イーサンにミッションを伝えるIMFのお偉いさんがアンソニー・ホプキンスなのだけれど、エンディング・ロールにはクレジットされていませんでした。
③M:i:Ⅲ(2006)
MISSION: IMPOSSIBLE Ⅲ(J.J. Abrams)
成功不可能としか考えられないミッションを、驚くべきプランでやってのけるのがTVシリーズの原点。この劇場版シリーズが決してその意を汲んでいない事を実感した3作目。それをよしとさえすれば、スパイアクション物として見応えもあるのでしょう。ですが当時の私はそんな方向性が許せませんでした。内部の裏切りばかりが横行するのもねぇ、、、
④インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2012)
MISSION: IMPOSSIBLE - GHOST PROTOCOL(Brad Bird)
TVシリーズが頭脳勝負の知的ゲームを展開したのに対し、劇場版は出たとこ勝負の体力&ITまかせ。そして主人公が事件解決の為に世界中を巡り、最新鋭のスパイ道具を駆使して各地で派手に暴れ回りながら、敵の核心に近づいてゆく。
この4作目において、かつての007シリーズが担っていた娯楽スパイ物の王道路線を「M:I」シリーズが完全に継承してしまいました。IMFは米国版MI6、イーサン・ハントは本作で平成の(?)ジェームズ・ボンドを襲名したと言えるのでは。
良く出来たアクション・ムービーという点において、この4作目は十分合格ラインな見応えです。
⑤ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015)
MISSION: IMPOSSIBLE - ROGUE NATION(Christopher McQuarrie)
前作で確立したスタイルを継承し、いよいよスパイ・アクション物の様式美的な完成度を見せてきたこの5作目。トム君の体を張ったスタントが毎回話題となりますが、白眉なのはバイクによるカーチェイスで、もはや「Ⅱ」を超える疾走感とスリルを味あわせてくれる。
また今回のイーサンのお相手、レベッカ・ファーガソンが実にイイ♥。美しさと強さとキュートさを兼ね備えたシリーズ史上最高のM:Iシリーズ版ボンド・ガールだ。
脚本家出身のクリストファー・マッカリーは、これが監督3作目とは思えない達者な演出力を披露。世界中を股にかけて謎の美女を侍らせながら世界の危機を救うという、かつての007シリーズから受け継いだ娯楽スパイ物の王道を悠然と進むかのような安定感を創出してる。オリジナルへのオマージュに溢れるオープニングや、ラロ・シフリンのテーマ曲のアレンジもなかなか。
⑥ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018)
MISSION: IMPOSSIBLE - FALLOUT(Christopher McQuarrie)
前作に続いてクリストファー・マッカリー監督が担当した6作目。体を張ったアクションは健在で、同世代としてはその身体能力に驚きを禁じえません。彼がその足でロンドン市街のビル群の屋上を駆け抜けるシーンは、J=P・ベルモンド主演の「恐怖に襲われた街」を思い起こした。あの手この手で繰り出されるアクション・シーンの中でも前作同様カーチェイスはこの監督さんの十八番的な見どころで、随分と手慣れた演出でパリの街中での追跡劇にスピード感とスリルを生んでいる。
王道の娯楽スパイ・アクション・ムービーとして、前作に続いて楽しめました。ただ正直言って、寄る年波は1962年生まれのトムさんにも確実に訪れているようで、スクリーンに映る彼のアップでは度々頬のたるみが気になりました。
コロナもあって前作から間が開いてしまった最新作。レベッカ・ファーガソン演じるイルザが登場する5作目以降と、できれば1作目を復習しておけば、事前の準備は万全と思われます。