ザ・テンプターズ 涙の後に微笑みを
ザ・テンプターズはショーケンこと萩原健一の居たグループとして知られている。逆に言えば、他のメンバーについては知らないという人が多いということになるかも。
萩原以外のメンバーだが、リーダーが松崎由治(リードギター、ヴォーカル)で、高久昇(ベース)、田中俊夫(サイドギター)、大口広司(ドラムス)という構成。この中では大口も萩原と同様に俳優をやったり、真行寺君枝と結婚したりしていたので、知っている人もいると思うが、他の三人は早くに表舞台を退いている。
全員が埼玉の出身で、ショーケンが与野、他の四人が大宮だ。スパイダースのリーダー田辺昭知によってスカウトされ、67年10月に「忘れ得ぬ君」でレコードデビュー。意外にもリードヴォーカルは松崎で、ショーケンはハーモニカ。二人の歌声はよく似ているので(素人耳には)、ショーケンが歌っているのかと思っていた。
この直後に公開された田辺と加賀まりこ主演の映画「濡れた逢引き」に演奏している彼らが映ったりしている。また浜田光夫、和泉雅子主演の「星影の波止場」(68年、日活)でもゴーゴークラブで演奏する彼らが登場している。
そして、主演映画となる「ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを」(69年、東宝)である。脚本は池田一朗(隆慶一郎)で、スーパーでのバイト仲間がバンドを結成するという青春映画だ。
新珠三千代がショーケンの母役、須賀不二男が高久の父役。他に山岡久乃、名古屋章、そして堺正章が特別出演扱いとなっている。ヒロイン役は聖ミカという人だが、本作以外には出演作は見当たらない。ただ、約15年が経過した83~84年にかけて同じ名前の女優が日活ロマンポルノに出演している。写真を見た限りでは似ているが、同一人物かどうかは不明だ。
劇中使用曲はほとんどがレコード音源だが、ピンキーとキラーズの「恋の季節」を生演奏で歌っている。「オーママ、マア~」で知られるシングル「おかあさん」を劇中で松崎、ショーケンそれぞれが歌っている。レコードでは松崎がメインボーカルなので、ショーケンバージョンは本作でのみ聞ける。この曲に関しては「ママ、ママなんて歌ってられるか」とショーケンが嫌がり松崎がメインボーカルになったらしい。
GSブームの終焉とともに彼等も70年12月にひっそりと解散。解散コンサートのようなものは行われなかったようだ。
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投稿を表示GS、良いですよね。近田春夫の著作を読んでいると近田春夫、そしてザ・タイガースの森本太郎も口を揃えて言うのが「GS界で音楽的才能が飛び抜けて凄かったのが、ザ・テンプターズのリーダーでありリードギターの松崎由治だった」と言っています。その松崎由治、テンプターズ解散後は地元埼玉で焼き鳥屋のオヤジをやってたはずですが・・・もう一度、見たかったなぁ。